起承転結とは?意味と使い方を【作家志望者】にわかりやすく解説

小説や童話、漫画、脚本などの作家志望者にとって文章の構成能力は必要不可欠です。構成には起承転結という形式を利用することがあります。しかし、起承転結の意味や実際の使い方を知っている人は意外に少ないかもしれません。ここでは、起承転結の意味と使い方についてわかりやすく解説していきます。

起承転結とは?勉強するメリット【作家向け】

作家志望者が文章を書くときに、ただやみくもに書き進めることもできます。なかには素晴らしい物語を、深く考えることもなくすらすらと書き上げる人もいるかもしれません。しかし、大抵の作家志望者にとって、文章を書いている際に行き詰まったり、文章自体が面白みに欠けてしまったりすることはよくあることです。

それは、文章全体の構成がよくないことが原因かもしれません。そういう時に、起承転結を学ぶことは大事です。起承転結とは文章を作成する際の手法のひとつであり、中国の漢詩から転用したもので、現在ではとてもポピュラーな手法です。基本的なこの手法を身につけることは、文章能力を向上させるとともに、作家志望者にとっての助けとなることでしょう。

作家でも理解できる起承転結の意味と使い方

それでは作家志望者にとって大事な起承転結の意味と使い方を説明しましょう。起承転結とは簡単に言うと、「起=はじまり」、「承=受けて動き出す」、「転=思わぬ方向へいく」、「結=結末がどうなるか」、と四つの部分に分かれています。その意味と使い方を具体的に説明していく際に、例を使って考えるとわかりやすいので、ここでは童話の「シンデレラ」を題材にしてわかりやすく解説していきます。

起承転結の「起」をわかりやすく解説

起承転結の「起」の意味は、物語の始めの導入部分で、物語の前提を説明することです。作家志望者にとって「起」の導入部分は、読者に興味を抱かせるための大切なところとなります。

その使い方を童話の「シンデレラ」で考えてみましょう。シンデレラは、父親に先立たれ、意地悪な継母と義理の姉二人と暮らしています。シンデレラは美しい十代の娘ですが、継母と義理の姉たちにこきつかわれて召使いのように暮らしています。ここでの「起」は、シンデレラの現在の境遇を説明しています。意地悪な継母や義理の姉たちの存在が、「シンデレラはかわいそう」などの共感を読者に与えています。そして、読者は先を読み進めたくなってきます。

このようにして「起」は、物語の設定や前提を説明し、読者を次の「承」へと導きます。

起承転結の「承」をわかりやすく解説

起承転結の「承」の意味は、「起」で語られた物語の前提を受けて、物語が動き出すことです。「起」で語られた前提をじっくりと説明していくことになります。作家志望者としては、ここで主人公の魅力を伝え、読者の感情移入を促します。

その使い方を「シンデレラ」で見てみましょう。シンデレラは毎日家の掃除、洗濯、料理、裁縫などに明け暮れて、顔を洗うひまもありません。暖炉の灰をかぶりながら寝てしまうほど疲れ果てた毎日をすごしています。継母や義理姉たちの意地悪はエスカレートしていき、シンデレラを「灰かぶり(=シンデレラ)」とあざけります。お城の舞踏会のためにお古のドレスを自分のために用意しておくのですが、それも見つかりぼろぼろにされてしまいます。

このように、悲惨なシンデレラの現状を「承」では説明しています。「起」で語られたシンデレラの現状が、これほどひどいものであることを読者に伝えています。読者はシンデレラに同情し、けなげな娘だと感情移入してしまうことでしょう。

起承転結の「転」をわかりやすく解説

起承転結の「転」の意味は、物語が変化し、思わぬ方向へ進んでいくことを指します。

「シンデレラ」でその使い方を見ていきましょう。疲れ果てたシンデレラは、舞踏会へも行けずに泣いています。するとそこへ魔法使いのおばあさんが現れます。魔法使いはシンデレラに魔法をかけ、美しいドレスとガラスのクツ、馬車などを用意します。そして、十二時までに帰ってくることを約束させ、お城へ送り出します。お城では王子さまをとりこにしますが、十二時になり、慌てて帰らなkればなりません。そこでガラスのクツを忘れてくるのです。

見事な「転」のシンデレラのストーリーです。「承」のみじめな生活を受け、「転」の思わぬ方向へと流れていきます。物語が盛り上がり、シンデレラの見事な変身ぶりが読者を魅了します。このように物語の山場となる「転」では、思わぬ方向への逆転が描かれることが多いです。作家志望者にとっては腕の見せどころとなる場面です。

起承転結の「結」をわかりやすく解説

最後に起承転結の「結」の意味ですが、結末がどうなるかということです。物語の締めくくりであり、まとめということになります。また、物語のテーマや伝えたいことを述べるところでもあります。

「シンデレラ」でその使い方を見ていきます。シンデレラの残したガラスのクツにより、シンデレラがその持ち主であることがわかります。シンデレラは意地悪な継母や義理姉たちの家を出て、王子様と結婚します。そして、幸せに暮らしました。

こうして物語は、起承転を経て、「結」へとたどりつきます。「結」とは、結末がどうなるかを説明するとともに、読者に安心して本を閉じてもらうために納得させる場面でもあります。「シンデレラ」では、ガラスのクツがぴったりとシンデレラの足にはまることで、シンデレラが本人だとわかります。そして、王子と結婚というわかりやすいハッピーエンドで終わります。作家志望者はここで、物語のテーマや伝えたいことを説明することが大事です。

作家志望者にとって起承転結の大切さ

作家志望者にとって、起承転結という手法が役に立つことを理解してもらえたでしょうか?必ずしも、起承転結にこだわる必要はありません。起承転結を理解したうえで、自分なりの手法をみつけていくことも良いでしょう。ですが、はじめのうちは、物語を構成する上で起承転結が、伝えたいテーマを書いていくのに大切な役割を果たしていくことでしょう。

このテーマの関連記事はこちら