ICTでこれからの生活が変わる!かんたんに理解できる4つのポイント

「ICTは世界を変える」。決して大げさな表現ではなく今が過渡期の真只中だと論ずる人もいます。世界という抽象的な表現ではピンとこない人でも、自分や家族の生活が変わるのであれば関心は高いはずです。ICTによってこれからの生活がどのように変わるのか解説します。

 

ICTによるこれからの世界

ICTとは

ICTはInformation and Communication Technologyのイニシャルをとった言葉です。いずれも中学英語なので、なんとなく意味をつかみやすいかも知れません。Informationは「情報」、Communicationには「伝達」や「やりとり」という意味があります。Technologyは「技術」です。

「情報を伝達する技術」と日本語に訳せます。実際にコミュニケーションをとる行為そのものや、これらをベースとした産業全体を総称する際にも使われる言葉です。意味や用法を知るとICTという無機質な言葉にも親しみが沸きます。

ICTは国境を超える

身近なICTの例としてスマートフォンが挙げられます。スマホ本体、極小サイズの内蔵コンピューター、アプリ、またスマホの部品制作から流通にいたるまでICTが凝縮されているのです。「ICTは世界を変える」「ICTは世界をつなげる」を体現するスマートフォン。日本で生活する私達の手の中に、外国で作られたスマホが収まり、Facebookなど国外サービスやアプリを利用し、外国人の友だちとskypeでビデオチャットをする。そこに国境を意識する人は少ないはずです。

国際ルールとしてのICT

道端で外国人に異国の言葉で話しかけられたとしたら、ドギマギしてしまうかもしれません。原因はルールの違いにあります。話す言葉などが日本人のそれと違えば警戒心が生まれ、コミュニケーションを取ることは仕方ないかもしれません。
しかしICT、上記の例ではスマホですが、それを介することで実にスムースに異文化コミュニケーションを交わせることは多くの人が実感済みです。ICTを共通のルールとして定めることで、はじめて異なる文化や風習を認めあえます。これからの世界に生きる私達にとってICTは無くてはならない概念なのです。

ICTによるこれからの産業・経済

産業の土台となるICT

1960年代に誕生したアンディ・ウォーホルのキャンベル社のスープ缶をいくつも並べた作品は、大量生産・大量消費を風刺したポップアートです。2019年の現代にも通ずる部分はありますが、すでに産業や経済のかたちは変革しており、その中心にはICTが鎮座しています。

価値あるものだけ購買する

若者がモノを買わなくなったといわれて久しいですが、本当にそうでしょうか。確かに省エネ、リサイクル、シェアリングなどのキーワードに象徴されるように、むやみに購買する頻度は減ったかも知れません。一方で、価値があると認めたモノに対しては、惜しみなくお金を使う面もあるといわれています。これは価値を見出す基準がより個人的になったといえるでしょう。

知識から価値が生まれ、産業となる

価値とは個々人が持つ感覚によるところが大きく、それは情報で判断されます。例えばある商品を買う際に、さまざまな情報をネットで比較検討する人は多いです。
価値ある情報は知識によって生みだされます。知識は他の知識に誘発されてバイラル的に増殖していくもの。これらの情報や知識をやり取りする媒体がICTです。このことからICTが関わる産業は、知識産業とも言われています。この知識産業はこれまでの大量生産の産業形態に取って代わる可能性を大いに秘めているのです。

知識産業はICTにより成り立つ

知識産業は大量生産の産業に比べてコピーされにくい特徴があります。アップデートが前提である場合が多く、常に更新が必要なことが理由のひとつです。知識がない第三者にはノウハウがないので、それができません。

たとえばApple社のiPhoneなどは競合他社のスマホの中でも人気が高く売上が安定しています。しかし2018年のiPhoneの販売台数は4000万台超(4~6月期)であり、昨年から横ばい推移にとどまっています。
一方好調なのはサービス面での収益です。アップル社がiPhoneやiPad1台から得る利益は、ここ数年の間に飛躍的に伸びているといいます。オンラインでつながった端末には常に最新にアップデートされたサービスが注ぎ込まれるシステムがあるのです。これはまさにICTによる知識産業を体現しているといえるでしょう。

作って終わりの産業は終わりを告げました。これからは常に知識や情報をブラッシュアップして、新たな価値を産み出し続けなくてはならなりません。

ICTによるこれからの働き方

より効率的な働き方へ

無益な仕事は誰もが避けたいものです。ICTの登場により、個々人の働き方も効率的になり、より有益なものへ昇華することが期待されています。
たとえば単純な仕事は人件費の安い外国へ発注するスタイルが、今よりもっと頻繁に行われるでしょう。ICTによって世界中のどこにいてもシームレスにつながれる環境が確立したことが、要因の一つです。一方で管理者には、ICTの関連スキルが求められます。

優秀な人材の確保が重要

知識や情報を活用して何かを生み出すような複雑な仕事には、高いスキルを備えた人材が必要です。すでに世界中で優秀なエンジニアの獲得合戦は始まっています。たとえば、アメリカの大学では授業をクラウドに無料公開するなどして、人材確保に勤しんでいます。また、専門技術を持つ外国人を雇用するマッチングサービスも多数存在しているのです。

いまの職を失うか

ICTの波に乗り遅れると職を失ってしまうと警鐘を鳴らす風潮もあります。AI技術の台頭により話題となった「人間が行ってきた仕事のうち半数は機械に取って代わられる」というアメリカの大学教授の予測も眉唾ものとは言い切れません。
確かに職種によってはそうなるかも知れませんが、あまり大きな問題ではないという声もあります。技術が確立されるとそれを管理する側が必要になるからです。なにもすべての人がエンジニアにならなければいけない、というわけではありません。最低限のICT知識を備えていれば問題ないでしょう。

ICTによるこれからの日常

ICTを利用することと、使いこなすことは違う

私たちの日常にICTは溢れています。スマホやパソコンを使ってAmazonや楽天で買い物したり、インスタグラムやTwitterで情報をシェアしたりすることに抵抗を感じる人は少なくなりました。しかし、これはICTを利用しているのであって、使いこなしているわけではないことに気付かなければなりません。これらのICT「商品」は、提供会社などが誰でも使えるようにしているのであって、ユーザーとして利用できるのは、ある意味で当たり前のこと。大切なポイントは、ICTを使いこなすことです。

日本人はICTが苦手

日本人は、世界に比べてICTへの対応力が低いことがわかりました。これはピアック(PIAAC)という国際テストに取り組んで明らかになった結果です。
PIAACでは、おおきく「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力」の3分野が調査対象となります。日本は「読解力」「数的思考力」では24カ国中で1位になりましたが、「ITを活用した問題解決能力」では10位と振るいませんでした。これはICTを使いこなすことが苦手であることを示唆します。つまり、日本におけるこれからの教育制度を変えるには「ITを活用した問題解決能力」がテーマになると考えられるのです。

学習指導要領により小学校プログラミングが必修化

文部科学省の学習指導要領により、日本の小学校でも2020年度からプログラミング授業が必修化されます。これまでは中学ではじめて取り組んでいたプログラミングですが、触れる機会が若年化したかたちです。これは国を挙げてICTに取り組む必要があると判断した結果だと考えられるでしょう。

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これからの教育に欠かせないICT

ICTの発展は世界規模の潮流です。この変化は産業や働き方にも影響を与えるでしょう。しかし今までの日本の教育では、ICTを使いこなすための人材を育てる土台ができていませんでした。2020年度からは小学校でプログラミング教育が必修化されます。このような取り組みがICTの理解に役立つよう期待されているのです。

 

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