プログラミングを子供が楽しみながら学べるScratch(スクラッチ)とは?

「うちの子はプログラミングの授業についていけるだろうか」「得意な子と苦手な子で、差がついてしまうのではないか」。子供のプログラミング教育について、こうした不安を感じる親御さんは少なくありません。

小学校では2020年度からプログラミング教育が必修化され、その後は中学校・高校へと段階的に広がり、2025年度からは大学入学共通テストにも「情報I」が出題科目として加わりました。プログラミングは、もはや一部の子供だけのものではなく、すべての子供が向き合う科目になっています。

不安を解消するいちばんの近道は、何が・どこまで求められているのかを具体的に知ることです。この記事では、子供のプログラミング教育がどのようなものか、そして子供向けプログラミング環境として広く使われている「Scratch(スクラッチ)」について解説します。

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1. 「プログラミングは難しい」と感じる理由

「プログラミング」と聞くと、専門家だけが扱える難しい技術というイメージを持つ人は多いはずです。実際、一般的なプログラミングでは専用の言語を使ってコンピューターに指示を出します。この言語を覚えるのは、外国語を学ぶのと似ていて、知らなければ何も指示を出せません。

さらに、プログラムを書く作業は「コーディング」と呼ばれ、キーボードでの文字入力(タイピング)が欠かせません。普段からパソコンに触れる機会が少ない人にとっては、この時点でハードルを感じてしまいます。つまり「専門用語を覚えること」と「パソコンを操作すること」の2つが、プログラミングを難しく感じさせる主な原因です。

2. キーボード操作が要らない「Scratch」

こうした「難しさ」を取り除き、子供でも扱えるように作られたプログラミング環境が「Scratch(スクラッチ)」です。MITメディアラボが開発した無料のツールで、世界中の学校教育で広く使われています。

Scratchの最大の特徴は、文字を打ち込む代わりに、画面上のブロックをマウスで組み合わせてプログラムを作る点です。タイピングによるコーディングが不要なため、初めてパソコンに触れる子供はもちろん、パソコンが苦手な大人でも直感的に操作できます。画面の中で動き回るキャラクター(スプライト)に命令ブロックをつなげていくと、いつの間にかひとつのプログラムが完成している、という体験ができます。

「スプライト」とは、Scratchの画面(ステージ)上で動かすキャラクターや図形のことです。Scratchを開くとまず表示される猫のキャラクターも、スプライトのひとつです。スプライトの追加方法や役割について詳しく知りたい方は、スクラッチ(Scratch)の基本[3]-スプライトとはもあわせてご覧ください。

3. 遊びながら本格的なプログラミングが身につく

「見た目が子供向けだから、遊びで終わってしまうのでは」と気になる方もいるかもしれません。しかしScratchで作れる作品は、見た目以上に本格的です。音や画像を組み合わせたアニメーション、パズルゲーム、ミュージックビデオ風の作品まで、子供たちのアイデア次第で幅広く形にできます。

同じような作品を、専用のプログラミング言語を使ったコーディングで一から作ろうとすると、プログラミング経験のない大人でも数カ月かかることがあります。Scratchであれば、子供でも短い時間で作品を完成させながら、プログラミングの考え方(順番に処理を実行する、条件によって動きを変える、繰り返すなど)を自然に学べます。

完成した作品は、Scratchの「共有」ボタンひとつでオンライン上に公開でき、ほかのユーザーからコメントや「いいね」をもらうこともできます。世界中のユーザーの作品を見たり参考にしたりできるのも、Scratchならではの楽しみ方です。共有の具体的な手順はScratch(スクラッチ)のプロジェクトを公開・共有する方法【手順を画像で解説】で画像つきで解説しています。

4. 学校のプログラミング教育とScratch

2020年度に必修化された小学校のプログラミング教育では、特定のプログラミング言語を学ぶことよりも、「順序立てて考える力(プログラミング的思考)」を育てることが重視されています。実際にどのツールを使うかは学校や自治体ごとの判断に委ねられていますが、Scratchのようなビジュアル操作型のプログラミング環境は、文部科学省の資料でも例として取り上げられています。

文部科学省の資料に掲載されたビジュアル型プログラミングの例
引用:小学校プログラミング教育の手引(第二版)(外部PDF)

Scratchはパソコンとインターネット環境があれば誰でも無料で利用できます。学校で本格的に学ぶ前に、家庭で触れて慣れておくだけでも、お子さんの心理的なハードルはぐっと下がるはずです。

5. Scratchは何歳から使える?

Scratchはキャラクターのデザインやインターフェースが親しみやすく、見た目には小さい子供向けという印象を持たれがちです。そのため「中学生や高校生には物足りないのでは」と思う方もいるかもしれません。

しかし、Scratchで扱える内容は条件分岐・変数・関数の考え方など、年齢が上がっても十分に通用するレベルまで対応しています。小学生は基本操作に親しむ入口として、中学生・高校生は「情報I」で扱うアルゴリズムやデータの考え方を確認する教材として、それぞれの段階に合わせた使い方ができます。年齢で線引きするのではなく、どんな課題に取り組むかによって難易度を調整できるのがScratchの強みです。

まとめ

子供のプログラミング教育は、すでに「これから始まるもの」ではなく「すでに始まっているもの」です。最後に、この記事のポイントを振り返ります。

  • プログラミング教育は小学校(2020年度〜)・高校「情報I」(2022年度〜)と段階的に広がり、2025年度からは大学入学共通テストにも出題されている
  • 「専門用語」と「タイピング」が、プログラミングを難しく感じさせる主な原因
  • Scratchはキーボード操作が不要で、ブロックを組み合わせるだけでプログラムが作れる
  • 遊び感覚で操作しながら、プログラミングの考え方を本格的に身につけられる
  • 年齢を問わず、課題のレベルを変えることで小学生から高校生まで活用できる

子供がプログラミングを学ぶ際は、ぜひ大人も一緒に画面をのぞいてみてください。「パソコンが苦手だから」とためらう必要はありません。Scratchの基本的な始め方は小学校プログラミングの基本を理解する4つのポイントでも紹介しています。子供と一緒にプログラミングに触れることが、これからの学びを楽しむ第一歩になります。

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