
ICTとは?これからの生活・仕事・教育がどう変わるかをわかりやすく解説
「ICTが世界を変える」とよく言われますが、抽象的でいまひとつピンとこない人も多いはずです。けれども実際には、私たちの買い物・働き方・学び方は、すでにICTによって大きく変わってきました。この記事では、ICTとは何かをかんたんに整理しながら、これからの生活・産業・働き方・教育がどう変わっていくのかを、4つのポイントに分けてわかりやすく解説します。
目次
ポイント1|ICTとは?まずは言葉の意味を理解する
ICTは「情報を伝達する技術」
ICTはInformation and Communication Technologyの頭文字をとった言葉です。いずれも中学英語なので、意味はつかみやすいかもしれません。Informationは「情報」、Communicationには「伝達」や「やりとり」という意味があり、Technologyは「技術」です。
つまりICTは「情報を伝達する技術」と日本語に訳せます。実際にコミュニケーションをとる行為そのものや、これらをベースとした産業全体を総称する際にも使われる言葉です。意味や用法を知ると、ICTという無機質な言葉にも少し親しみがわいてきます。
ICTは国境を超える
身近なICTの例としてスマートフォンが挙げられます。スマホ本体、極小サイズの内蔵コンピューター、アプリ、さらにスマホの部品製作から流通にいたるまで、ICTが凝縮されています。日本で生活する私たちの手の中に外国で作られたスマホが収まり、海外発のSNSやアプリを使い、外国の友だちとビデオ通話をする。そこに国境を意識する人は、もうほとんどいないでしょう。
国際的な共通ルールとしてのICT
道端で外国人に異国の言葉で話しかけられると、ドギマギしてしまうかもしれません。話す言葉や習慣が違えば警戒心が生まれ、すぐにコミュニケーションを取るのは難しいものです。
しかしスマホなどのICTを介すると、翻訳やメッセージのやり取りを通じて、異文化コミュニケーションをスムーズに交わせます。多くの人がすでに実感しているとおりです。ICTが共通の「ルール」のように機能することで、異なる文化や風習をもつ人どうしが理解し合えるようになります。これからの世界を生きる私たちにとって、ICTは欠かせない概念なのです。
ポイント2|ICTでこれからの産業・経済が変わる
産業の土台となるICT
かつてアンディ・ウォーホルがキャンベル社のスープ缶を並べた作品で風刺したのは、大量生産・大量消費の時代でした。現代にも通じる部分はありますが、すでに産業や経済のかたちは大きく変わっており、その中心にはICTが鎮座しています。
価値あるものだけを買う時代へ
若者がモノを買わなくなったといわれて久しいですが、本当にそうでしょうか。確かに、省エネ・リサイクル・シェアリングといったキーワードに象徴されるように、むやみに購入する頻度は減ったかもしれません。一方で、価値があると認めたモノには惜しみなくお金を使う面もあります。価値を見出す基準が、より個人的になったといえるでしょう。
知識から価値が生まれ、産業になる
価値とは、個々人がもつ感覚によるところが大きく、それは情報によって判断されます。たとえば、ある商品を買うときに、さまざまな情報をネットで比較検討する人は多いでしょう。
価値ある情報は、知識によって生み出されます。知識は他の知識に誘発され、連鎖的に増えていくものです。これらの情報や知識をやり取りする媒体がICTであり、ICTが関わる産業は「知識産業」とも呼ばれます。この知識産業は、これまでの大量生産型の産業に取って代わる可能性を大いに秘めています。
知識産業はICTによって成り立つ
知識産業は、大量生産の産業に比べてコピーされにくいという特徴があります。アップデートが前提である場合が多く、常に更新が必要なことが理由のひとつです。知識のない第三者にはノウハウがないため、簡単には真似できません。
たとえばApple社のiPhoneは、端末そのものの販売だけでなく、サブスクリプションやアプリ課金といったサービス面での収益を大きく伸ばしてきました。オンラインでつながった端末に、常に最新のサービスを届け続ける仕組みがあるのです。これはまさに、ICTによる知識産業を体現しているといえるでしょう。
「作って終わり」の産業は、もう終わりを告げました。これからは常に知識や情報をブラッシュアップし、新たな価値を生み出し続けなければなりません。
ポイント3|ICTでこれからの働き方が変わる
より効率的な働き方へ
無駄な仕事は、誰もが避けたいものです。ICTの普及により、個々人の働き方も効率的になり、より有益なものへと変わることが期待されています。
たとえば、定型的な仕事を人件費の安い海外へ発注するスタイルは、以前より身近になりました。ICTによって、世界中のどこにいてもシームレスにつながれる環境が整ったことが要因のひとつです。一方で、それを管理する側にはICT関連のスキルが求められるようになっています。
優秀な人材の確保が重要になる
知識や情報を活用して何かを生み出す複雑な仕事には、高いスキルを備えた人材が必要です。すでに世界中で、優秀なエンジニアの獲得競争が始まっています。オンライン学習サービスで専門知識を無料公開して人材確保につなげたり、専門技術をもつ人材と企業をつなぐマッチングサービスが数多く登場したりしているのも、その表れです。
いまの職を失ってしまうのか
「ICTの波に乗り遅れると職を失う」と警鐘を鳴らす声もあります。AIの台頭によって「人間の仕事の多くが機械に置き換わる」といった予測も話題になりました。生成AIが普及した現在、こうした見方はますます現実味を帯びています。
確かに職種によってはそうなるかもしれませんが、過度に恐れる必要はないという声もあります。技術が確立されると、それを使いこなし管理する側が必要になるからです。すべての人がエンジニアになる必要はなく、最低限のICT知識を備えておけば、変化にうまく対応していけるでしょう。
ポイント4|ICTでこれからの日常・教育が変わる
ICTを「利用する」ことと「使いこなす」ことは違う
私たちの日常には、ICTがあふれています。スマホやパソコンでAmazonや楽天で買い物をしたり、InstagramやX(旧Twitter)で情報をシェアしたりすることに、抵抗を感じる人は少なくなりました。しかしこれはICTを「利用している」のであって、「使いこなしている」わけではない点に気づく必要があります。これらのサービスは、提供会社が誰でも使えるように整えてくれているものです。大切なのは、その先でICTを自分の目的のために使いこなすことです。
日本人はICTの活用が苦手といわれてきた
日本人は、世界に比べてICTの活用力が低いと指摘されてきました。これはPIAAC(ピアック)という国際的な調査で明らかになった傾向です。
PIAACでは、大きく「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力」の3分野が調査対象となります。日本は「読解力」「数的思考力」では参加国の中で上位に入った一方、「ITを活用した問題解決能力」では順位が振るいませんでした。これは、ICTを使いこなすことが苦手であることを示唆しています。つまり、日本のこれからの教育では「ITを活用した問題解決能力」をどう伸ばすかが大きなテーマになると考えられるのです。
小学校でプログラミング教育が必修化
文部科学省の学習指導要領により、日本の小学校では2020年度からプログラミング教育が必修化されました。それ以前は中学校で初めて取り組んでいたプログラミングに、より早い段階で触れられるようになったかたちです。これは、国を挙げてICTに取り組む必要があると判断した結果だといえるでしょう。
関連:ICT教育で小学校・中学校・高校の何がかわるの?ざっくり解説
まとめ|これからの時代に欠かせないICT
ICTの発展は、世界規模の大きな潮流です。この変化は、産業のかたちや私たちの働き方、そして毎日の暮らしにまで影響を与えています。日本ではこれまで、ICTを使いこなす人材を育てる土台が十分ではありませんでした。しかし小学校でのプログラミング教育の必修化をはじめ、ICTを理解し活用するための取り組みは少しずつ広がっています。まずは身近なところからICTに親しみ、「利用する」だけでなく「使いこなす」意識をもつことが、これからの時代を生きるうえで大切になるでしょう。

