
飛行機でモバイルバッテリーが発煙したらどうする?2026年の機内持ち込みルール
飛行機の座席で、ポケットに入れていたモバイルバッテリーから急に煙が出たら、どう対応すればよいのでしょうか。実際に国内外の航空機内では、モバイルバッテリーが原因とみられる発煙・発火トラブルが相次いで報告されており、国土交通省は2026年4月24日から機内持ち込みに関する新たなルールを適用しています。
この記事では、国土交通省の報道発表資料や航空会社の公式案内をもとに、新ルールの正確な内容と発煙時の正しい対応、そして処分方法までをまとめて解説します。数値や日付は複数の一次情報を照合して確認しているため、搭乗前の最終チェックとして活用してください。
- 2026年4月24日から、機内持ち込みのモバイルバッテリーは2個(160Wh以下に限る)までに制限
- 機内でのモバイルバッテリー本体への充電、他機器への給電はどちらも禁止
- 発煙・発火に気づいたら自己対応せず、すぐに客室乗務員へ知らせることが最優先
- 使わなくなったバッテリーは家庭ごみに混ぜず、回収ボックスや自治体の収集を利用する
目次
2026年4月24日開始、モバイルバッテリー機内持ち込みの新ルールとは
国土交通省は2026年4月14日、国際民間航空機関(ICAO)による国際基準の緊急改訂を受けて、モバイルバッテリーの機内取り扱いに関する新ルールを発表しました。適用開始日は2026年4月24日(金)で、定期航空協会に加盟する国内主要19社が同日から新ルールの運用を始めています。
背景にあるのは、世界的に増加しているリチウム電池関連の火災です。ICAOの緊急改訂案は2026年3月27日(現地時間)に理事会で承認され、即日適用されました。日本ではこれに準拠する形で、告示や運用基準の一部改正が行われています。
新ルールの3つのポイント
今回追加されたルールは、従来の基準に上乗せされる形で導入されました。以下の3点が新たに求められる対応です。
- 機内持ち込みのモバイルバッテリーは2個(160Wh以下に限る)まで
- 機内でモバイルバッテリー本体に充電しないこと
- 機内でモバイルバッテリーから他の電子機器(スマートフォンなど)へ充電・給電しないこと
機内でスマートフォンなどを充電したい場合は、座席に備え付けられたUSBポートやコンセントを直接利用する必要があります。違反した場合は航空法に基づく罰則が科される可能性があるため、注意してください。
✈️飛行機に乗る前にチェック!
— 政府広報オンライン (@gov_online) 2026年4月24日
4月24日から、モバイルバッテリーの機内持込みルールが変更されました。
✅機内でモバイルバッテリーへの充電をしない
✅機内でモバイルバッテリーから他の電子機器への充電をしない
✅機内持込みのモバイルバッテリーは1人当たり2個(160Wh以下に限る)まで
カメラ用予備電池は個数制限が異なる
デジタルカメラなどから取り外した予備のリチウムイオン電池は、他の電子機器を充電する目的のモバイルバッテリーとは区別されます。容量帯によって扱いが変わるため、併用する場合は次の整理を確認しておきましょう。
- 100Wh以下の予備電池:個数制限なし
- 100Wh超160Wh以下の予備電池をモバイルバッテリー2個と併用:持ち込み不可
- 100Wh超160Wh以下の予備電池をモバイルバッテリー1個と併用:1個まで
- モバイルバッテリーを持たない場合の同容量帯の予備電池:2個まで
従来から続く基本ルールも忘れずに
今回の追加ルール以前から、モバイルバッテリーには次のような基準が設けられています。あわせて確認しておくと安心です。
- 預け入れ荷物(受託手荷物)への収納は禁止。必ず機内に持ち込むこと
- 端子はショート防止のため絶縁テープで保護するか個別のケースに収納すること
- 座席上の頭上収納棚には入れず、座席ポケットなど手の届く場所で保管すること(2025年7月8日から適用)
- 破損・膨張しているモバイルバッテリーは持ち込み不可
頭上収納棚への収納を禁止するルールは、実は2026年4月24日の新ルールより前、2025年7月8日から国土交通省の呼びかけで先行して運用されています。今回の改定とあわせて、手元での保管を徹底しましょう。
機内持ち込みに適したモバイルバッテリーの選び方
新ルールに対応するには、PSE技術基準に適合し、容量表示が明確な製品を選ぶことが大切です。代表的な製品としては、以下のようなPSE適合モデルがあります。
Anker モバイルバッテリー(10,000mAh, 22.5W, PSE技術基準適合)(Amazon)
Anker モバイルバッテリー(20,000mAh, 30W, PSE技術基準適合)(Amazon)
Anker モバイルバッテリー(25,000mAh, 165W, 巻取り式USB-Cケーブル内蔵)(Amazon)
いずれもmAh表記から換算すると100Wh未満に収まる容量帯ですが、モバイルバッテリーである以上「2個まで」という上限は適用されます。購入前にWh表記が本体に印字されているかも確認しておきましょう。
機内で発煙・発火した場合の正しい対応
万が一、手元のモバイルバッテリーから煙や異臭、異常な発熱を感じた場合は、自分で消火しようとしたり、水をかけたりせず、すぐに近くの客室乗務員に知らせることが最優先です。リチウムイオン電池の火災は消火が難しく、専門の器具や手順を持つ乗務員に対応を任せる必要があります。
客室乗務員は、耐火性のバッグや消火器、水などを使って延焼を防ぐ訓練を受けています。指示があるまでは座席を離れず、バッテリーを頭上収納棚や自分のかばんの奥にしまい込まないことも重要です。
発煙・発火が疑われる兆候としては、本体の異常な膨張、焦げたようなにおい、触れないほどの発熱などが挙げられます。搭乗前にこうした兆候がある製品を持ち込まないことも、トラブルを未然に防ぐ大切な対策です。
なぜルールが変わった?実際に起きた発煙・発火事故
今回の規制強化の直接のきっかけとなったのは、2025年1月に韓国・釜山で発生したエアプサン機の火災です。モバイルバッテリー1個の熱暴走が原因とみられ、機体が焼損する大きな事故となりました。この事故を受けて、ICAOでの国際基準見直しの議論が加速したとされています。
国内でも同様のトラブルは相次いでいます。2025年7月にはJR山手線の車内で乗客が所持していたとみられるモバイルバッテリーから発火し、乗客数名が軽症を負いました。同年8月には東海道新幹線や上越新幹線の車内でも、座席ポケットに入れていたバッテリーが発煙・発火する事故が起きています。
航空機内でも、2025年9月に福岡発・仁川行きのイースター航空便で、乗客が手にしていたモバイルバッテリーから煙が発生する事案が報じられました。客室乗務員が迅速に対応し、大きな被害には至らなかったものの、機内での発煙リスクを改めて印象づける出来事となりました。
火災事故等の原因品目別の集計でも、モバイルバッテリーが最多を占め、2022年度の4,260件から2023年度には8,543件へと倍増したとの報告があります。こうした背景から、機内持ち込みルールの厳格化は今後も続く可能性があります。
モバイルバッテリーのWh容量の確認方法と計算式
航空会社の窓口では「mAh」ではなく「Wh(ワットアワー)」表記で容量を確認されることが一般的です。Whは「電圧(V)×電流容量(Ah)」で計算され、モバイルバッテリーの多くは公称電圧3.7Vのため、mAh表記から概算する場合は次のような式になります。
Wh = mAh ÷ 1000 × 3.7
例えば10,000mAhの製品はおよそ37Wh、20,000mAhはおよそ74Wh、27,000mAh前後で100Whに近づく計算です。本体やパッケージにWh表記がない場合、空港のセキュリティチェックで持ち込みを止められることがあるため、購入時にラベルを確認しておきましょう。
海外の航空会社・空港のルールとの違い
モバイルバッテリーの持ち込みルールは国・航空会社によって細かな違いがあります。海外便を利用する場合は、日本国内のルールだけでなく、渡航先や航空会社の基準も確認しておく必要があります。
- アメリカ(TSA基準・米系航空会社):100Wh以下は個数制限なし、100Wh超160Wh以下は2個まで、160Wh超は持ち込み・預け入れとも不可
- 日本(2026年4月24日以降):モバイルバッテリーは容量に関わらず2個(160Wh以下)まで、カメラ用予備電池は100Wh以下なら個数制限なし
- 共通ルール:160Wh超の製品はどの国でも預け入れ・持ち込みともに原則禁止
大きな違いは、日本の新ルールがモバイルバッテリー本体について「100Wh以下でも一律2個まで」と定めている点です。アメリカのように100Wh以下なら個数無制限とする国もあるため、海外の感覚のまま日本発着便に搭乗すると、個数超過で止められる可能性があります。
使わなくなったモバイルバッテリーの正しい処分方法
モバイルバッテリーは、可燃ごみや不燃ごみとして家庭ごみに混ぜて出すことはできません。ごみ収集車での圧縮や、ごみ処理施設の破砕機での衝撃によって発火し、施設火災につながった事例が実際に報告されています。
一般社団法人JBRCが運営する「小型充電式電池リサイクルBOX」は、家電量販店や公共施設などに設置されており、モバイルバッテリー本体を無料で回収しています。自治体によっては、清掃センターへの持ち込みや月1回程度の指定日回収を行っている場合もあるため、お住まいの自治体窓口にも確認してみましょう。
本体が膨張・破損している場合は、リサイクルBOXに投入すると内部で圧力がかかり発火するおそれがあるため、投入は避けてください。まずは自治体の清掃担当窓口に電話し、膨張したバッテリーの処分方法を個別に相談することをおすすめします。処分前には端子部分を絶縁テープで覆っておくと、輸送中のショートを防げます。
なお、経済産業省は改正資源有効利用促進法に基づき、モバイルバッテリーや携帯電話、加熱式たばこなどを対象に、製造・販売事業者へ回収とリサイクルを義務付ける方針を示しており、2026年4月から順次施行される予定です。今後は購入した店舗などでの回収ルートも整備されていく見込みです。
バッテリー本体だけでなく、内蔵バッテリーを使う周辺機器の扱いに悩んだ経験がある方は、iPadのバッテリーを自分で交換する前に知っておきたいこと|リチウムイオン電池の処分方法と費用の目安もあわせて参考にしてください。リチウムイオン電池全般の処分の考え方は共通しています。
PSE認証とリコール対象製品の確認方法
日本国内で販売されるモバイルバッテリーは、電気用品安全法(電安法)の規制対象で、2019年2月以降はPSEマークのない製品の販売が禁止されています。購入時は本体にPSEマーク(丸形記号)が印字されているかを必ず確認しましょう。
経済産業省は市場に流通する製品を対象に試買テストを行い、技術基準への適合状況を確認しているほか、インターネット通販サイトのパトロールも実施しています。基準不適合と判断された製品は、経済産業省の製品安全ガイドの「リコール情報」ページで随時公表されるため、手持ちの製品が対象になっていないか一度確認しておくと安心です。
特に、フリマアプリや海外通販で購入した安価なモバイルバッテリーは、PSEマークの表示が偽装されているケースも指摘されています。価格の安さだけで選ばず、国内の正規販売ルートやメーカー公式ストアでの購入を検討してください。
よくある質問
モバイルバッテリーは何個まで機内に持ち込めますか
2026年4月24日以降は、160Wh以下のモバイルバッテリーに限り、1人あたり2個までの持ち込みが認められています。160Whを超える製品は、これまでどおり持ち込み・預け入れのどちらもできません。
カメラの予備電池も2個までに含まれますか
他の電子機器の充電を目的としないカメラ用の予備電池は、100Wh以下であれば個数制限がありません。ただし100Wh超160Wh以下の予備電池を持つ場合は、モバイルバッテリーの所持数に応じて上限が変わるため、事前に組み合わせを確認しておきましょう。
機内でスマホを充電したいときはどうすればいいですか
モバイルバッテリーからの充電はできなくなったため、座席に備え付けられたUSBポートやコンセントを直接利用してください。長時間フライトでは、搭乗前にモバイルバッテリーではなく本体を満充電にしておくことが基本的な対策になります。
膨張したモバイルバッテリーはどう処分すればいいですか
膨張・破損したバッテリーは、JBRCのリサイクルBOXに投入せず、自治体の清掃担当窓口へ個別に相談してください。無理に自分で分解したり、そのまま持ち歩いたりすることは発火のリスクを高めるため避けましょう。
ガジェット全般のトラブルを防ぐために日頃からできることはありますか
バッテリー関連のトラブルは、本体の劣化や熱がこもりやすい状態で使い続けることでも起こりやすくなります。スマートフォンの動作が重くなってきたと感じる場合は、スマホのキャッシュは消していい?iPhone・Androidの削除方法と動作が重くなる前のチェックポイントを参考に、日頃のメンテナンスも見直してみてください。
搭乗前の実践チェックリスト
- モバイルバッテリーの容量(Wh表記)を確認し、160Wh以下・2個以内に収まっているか
- 本体にPSEマークが印字されているか
- 膨張・破損がないか、端子は絶縁されているか
- 預け入れ荷物ではなく、手荷物に入れているか
- 頭上収納棚ではなく、座席ポケットなど手元に置いているか
- 機内でモバイルバッテリーを使った充電をしない前提でスケジュールを組んでいるか
これらの項目を出発前にひとつずつ確認しておけば、空港での足止めや、機内でのトラブルの多くを未然に防ぐことができます。ルールは今後も見直される可能性があるため、搭乗前には利用する航空会社の最新案内もあわせてチェックしてください。
- 報道発表資料:モバイルバッテリーの機内持込みの新たなルールについて(国土交通省)
- モバイルバッテリーの機内持ち込み個数および充電に関するルール変更についてのお願い(JAL)
- 機内でのモバイルバッテリー使用が「全面禁止」に。持ち込みは2個まで(デジカメWatch)
- モバイルバッテリーに関するFAQ(経済産業省)

