大塚製薬のADHD治療薬センタナファジンとは?FDA承認・日本発売・副作用・コンサータとの違い

大塚製薬が開発した注意欠如・多動症(ADHD)治療薬センタナファジンが、2026年7月24日に米食品医薬品局(FDA)の承認を取得しました。米国での製品名はSIMTRIYOです。

新しい作用機序を持つ薬として注目されていますが、今回の承認は米国でのものです。日本の薬局で買えるようになったわけではなく、日本での承認申請や発売時期も現時点では発表されていません。

この記事では、FDA承認の内容、対象年齢、米国での発売時期、副作用、日本のADHD治療薬との違い、「市販薬として買えるのか」「勉強目的で使えるのか」「薬で性格が変わるのか」といった疑問まで、公式情報をもとに整理します。

この記事の要点

  • センタナファジンは米国でSIMTRIYOとしてFDA承認を取得
  • 対象は成人と、6歳以上かつ体重20kg以上の小児
  • 1日1回の徐放性カプセルで、3つの神経伝達物質の再取り込みを阻害
  • 米国発売はDEAの規制区分決定後、2026年中を予定
  • 日本での承認・発売は未発表で、市販薬ではない
  • 小児の自殺念慮・行動と、乱用・依存について枠付き警告がある

センタナファジンのFDA承認内容をわかりやすく整理

項目内容
一般名センタナファジン(centanafadine)
米国製品名SIMTRIYO
承認日2026年7月24日(米国時間)
対象成人、6歳以上かつ体重20kg以上の小児
剤形1日1回の徐放性カプセル
薬の位置づけNDSRI、中枢神経刺激薬
米国発売DEAの規制区分決定後、2026年中を予定
日本での承認2026年7月27日時点で未発表

承認の根拠となったのは、成人、青少年、小児を対象にした4つの無作為化二重盲検プラセボ対照フェーズ3試験です。大塚製薬によると、成人ではAISRS、小児・青少年ではADHD-RS-5という評価尺度を用い、プラセボ群と比べて症状の統計学的に有意な改善が確認されました。改善は試験開始後1週目から見られたとされています。

一部報道では製品名が「シントリオ」と表記されていますが、米国公式の製品名はSIMTRIYOです。国内向けの正式なカタカナ表記はまだ公表されていないため、本記事では英字表記を使用します。

センタナファジンはどんな薬?3つの神経伝達物質に作用

センタナファジンは、ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニンの再取り込みを阻害する薬です。この作用機序はNDSRI(norepinephrine, dopamine and serotonin reuptake inhibitor)と呼ばれます。

既存のADHD治療薬には、ドパミンやノルアドレナリンに関係する薬が複数あります。一方、FDA承認薬として3つすべての再取り込みを阻害するNDSRIはSIMTRIYOが初めてです。ただし、「3つに作用するから既存薬より必ず優れている」という意味ではありません。ADHDは症状、年齢、併存症、副作用の出方が人によって異なるため、治療薬は医師が個別に選びます。

大塚製薬は2017年に米バイオ企業ニューロバンスを買収し、センタナファジンを獲得しました。大塚ホールディングスの事業説明資料では、米国でのピーク売上高を年1,000億円超と見込む大型候補として位置づけています。

ADHDの特性や当事者の歩みを知りたい方は、当サイトのニトリ創業者・似鳥昭雄さんが74歳でADHDと診断された経緯も参考になります。

米国ではいつ発売?日本発売はいつになる?

米国発売は2026年中の予定

FDA承認後すぐに販売開始となるわけではありません。SIMTRIYOは中枢神経刺激薬であり、乱用や依存の可能性があるため、米麻薬取締局(DEA)が規制区分を決める手続きが残っています。大塚製薬は、手続き完了後の2026年中に米国で販売を開始する予定です。

日本の承認・発売時期は未定

2026年7月27日時点で、大塚製薬から日本での製造販売承認申請、承認予定、発売時期は発表されていません。米国FDAが承認しても、日本で販売するには日本の規制当局による審査と承認が必要です。

したがって、「米国で承認されたから日本でもすぐ処方される」「個人輸入すれば同じように使える」と考えるのは危険です。日本での進展は、大塚製薬やPMDAの公式発表を確認する必要があります。

日本のADHD治療薬一覧|コンサータなどとの違い

日本で使われている主なADHD治療薬と、米国で承認されたセンタナファジンを大まかに比較すると次のようになります。使い分けは効果の強弱だけで決まるものではなく、年齢、症状、併存症、持続時間、副作用、過去の治療歴などを考慮して医師が判断します。

一般名主な分類・特徴日本での状況
コンサータメチルフェニデート中枢神経刺激薬、徐放錠6歳以上の小児・成人に処方。登録制
ビバンセリスデキサンフェタミン中枢神経刺激薬、プロドラッグ小児期ADHDが対象。登録制
ストラテラアトモキセチン非刺激薬、ノルアドレナリン再取り込み阻害6歳以上の小児・成人に処方
インチュニブグアンファシン非刺激薬、選択的α2A受容体作動薬6歳以上の小児・成人に処方
SIMTRIYOセンタナファジンNDSRI、中枢神経刺激薬米国承認。日本は未承認・発売未定

センタナファジンは「コンサータの代替品」として単純に置き換えられる薬ではありません。薬ごとに作用機序、対象年齢、禁忌、相互作用、管理方法が異なります。現在服用中の薬から変更したい場合も、自己判断で中止・切り替えをせず、処方医に相談してください。

ADHD治療薬は市販で買える?勉強目的の使用はできない

センタナファジンを含むADHD治療薬は、ドラッグストアや通販で自由に購入する市販薬ではありません。ADHDの診断は標準的な診断基準に基づいて行われ、薬物治療が必要かどうかを医師が判断します。

検索では「ADHD治療薬 勉強」「集中力を上げる薬」といった言葉も見られますが、試験勉強や仕事の能率を上げる目的で、診断を受けていない人が使う薬ではありません。中枢神経刺激薬には乱用、依存、心拍数・血圧上昇、精神症状などのリスクがあります。他人に薬を渡すことも避けなければなりません。

医療用医薬品を本来の目的と異なる方法で使う危険性については、マンジャロの目的外使用に対する厚労省の注意喚起でも解説しています。

センタナファジンの副作用と重大な警告

FDAの添付文書では、SIMTRIYOに2つの枠付き警告が設定されています。

  • 小児の自殺念慮・自殺行動:6~12歳の試験でプラセボ群より高い割合が報告され、6歳以上の小児全体を注意深く観察するよう求められています
  • 乱用・誤用・依存:中枢神経刺激薬として乱用や依存につながる可能性があり、過量摂取では死亡する危険もあります

比較的よく報告された副作用は年齢によって異なります。

年齢主な副作用
6~12歳発疹、食欲減退
13~17歳食欲減退、吐き気、発疹、頭痛、腹痛
成人頭痛、食欲減退、不眠、吐き気、口渇、下痢

そのほか、重い心疾患がある人への使用回避、血圧と心拍数の確認、精神病性・躁症状、重いアレルギー反応、成長抑制、レイノー現象、セロトニン症候群、チックやトゥレット症候群の悪化などにも注意が必要とされています。

この記事は薬の選択や服用を勧めるものではありません。実際の治療では、添付文書だけでなく、本人の症状や既往歴、併用薬を医師・薬剤師が確認して判断します。

ADHD薬で性格が変わる?違和感があるときの考え方

ADHD治療薬の目的は性格を変えることではなく、不注意、多動性、衝動性などによる生活上の困りごとを軽減することです。治療が合うと、落ち着いて話を聞ける、作業を始めやすい、忘れ物が減るなどの変化が表れ、それを周囲が「性格が変わった」と感じる場合があります。

一方で、表情や感情が乏しく感じる、強い不眠や食欲低下が出る、イライラや不安が増える、普段と違う行動が見られる場合は、用量や薬が合っていない可能性もあります。自己判断で急に中止せず、変化を記録して早めに処方医へ伝えることが大切です。

ADHD治療薬不足はどうなっている?コンサータは限定出荷

日本では、ADHD治療薬コンサータが需要増加の影響を受け、2025年9月から限定出荷の状態が続いています。厚生労働省は製造販売業者に増産を要請し、医療機関や薬局には当面必要な量のみを購入するよう協力を求めています。

処方薬が入手しにくいときは、複数の薬局を自己判断で回ったり、服用間隔を勝手に変えたりするのではなく、まず処方元の医療機関と薬局に相談してください。代替薬への変更が可能かどうかは、年齢、症状、治療歴、副作用、併用薬によって異なります。

薬を自己判断で中断するリスクについては、抗てんかん薬を自己判断で中断する危険性を解説した記事もあわせてご覧ください。

よくある質問

センタナファジンは日本で市販されていますか?

いいえ。2026年7月27日時点では米国で承認された段階で、日本での承認・発売は発表されていません。ドラッグストアで購入できる市販薬でもありません。

SIMTRIYOは刺激薬ですか?

はい。FDAの添付文書では、NDSRIであると同時に中枢神経刺激薬と位置づけられています。乱用・誤用・依存に関する枠付き警告があります。

コンサータより副作用が少ない薬ですか?

単純には比較できません。臨床試験では一定の有効性と安全性が確認されていますが、薬ごとに作用機序や警告、副作用が異なり、直接比較だけで優劣を決めることはできません。

ADHDではない人が勉強のために飲めますか?

飲むべきではありません。診断を受けていない人の集中力向上を目的とした薬ではなく、乱用、依存、心血管系や精神面の副作用につながる可能性があります。

日本で使えるADHD治療薬は何がありますか?

主な薬としてコンサータ、ビバンセ、ストラテラ、インチュニブがあります。対象年齢や作用、副作用、流通管理が異なるため、医師が個別に選択します。

公式情報・参考資料

まとめ

大塚製薬のセンタナファジンは、米国でSIMTRIYOとしてFDA承認を取得しました。成人と6歳以上・体重20kg以上の小児を対象とする1日1回のADHD治療薬で、ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニンの3つに作用する初のNDSRI承認薬です。

一方、日本での承認や発売はまだ発表されていません。また、新しい作用機序であっても副作用や乱用リスクがなくなるわけではなく、小児の自殺念慮・行動、乱用・依存について重大な警告があります。

ADHD治療薬の選択や変更は、症状だけでなく年齢、体質、併存症、生活への影響を含めて判断する必要があります。現在服用している薬の不足や副作用が気になる場合も、自己判断で中断せず、処方医や薬剤師に相談してください。

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