
『殺し屋の営業術』をAudibleで聴いた感想|漫画のような疾走感と営業トークが痛快
トップ営業マンが殺し屋を相手に商談を始め、そのまま殺人請負会社の営業担当になる――。
野宮有さんの『殺し屋の営業術』は、そんな常識外れの設定から始まるエンターテインメント小説です。
設定だけを見ると荒唐無稽に思えますが、営業の考え方や心理戦にしっかりとした筋が通っています。Audible版は漫画を読むようなテンポで物語が進み、8時間38分をほとんど止めずに聴き終えました。
⚠️ この記事には、物語の設定・登場人物・途中の展開に関する記述が含まれます。犯人や結末そのものは明かしていませんが、事前情報を入れずに楽しみたい方は、ナレーションレビューまで読み飛ばしてください。
目次
『殺し屋の営業術』をAudibleで聴いた結論
細かいことを考えすぎず、勢いのある物語を一気に楽しみたい人に向く作品です。
「ビジネススキル」と「裏社会」という意外な組み合わせが面白く、営業マンの話術や状況判断が、そのまま命を守る武器として使われます。第71回江戸川乱歩賞受賞、2026年本屋大賞第6位と、受賞歴も申し分ない話題作です。
外崎友亮さんのナレーションは登場人物の違いが分かりやすく、会話が多い場面でも混乱しませんでした。場面の切り替わりや心理戦のテンポもよく、映像作品を音だけで観ているような感覚があります。
オーディオブックAudibleで確認する『殺し屋の営業術』の基本情報
| 作品名 | 殺し屋の営業術 |
|---|---|
| 著者 | 野宮有 |
| ナレーター | 外崎友亮 |
| ジャンル | ミステリー・クライム・エンターテインメント |
| 受賞・実績 | 第71回江戸川乱歩賞受賞/王様のブランチBOOK大賞2025受賞/2026年本屋大賞第6位 |
| 再生時間 | 8時間38分 |
| 聴き放題状況 | Audible公式ページで確認(2026年6月時点:聴き放題対象) |
ミステリーの要素はありますが、難解な謎解きをじっくり考える作品というより、個性的な設定とスピード感を楽しむエンターテインメント小説です。有栖川有栖さんは「乱歩賞作品の中でも異彩を放つ一作」、東野圭吾さんは「読み手の心を掴む力に満ちていた」と評しています。
『殺し屋の営業術』のあらすじ
主人公の鳥井は、契約を成立させるためなら手段を選ばない凄腕の営業マンです。
ある日、営業先で刺殺体を発見した鳥井は、現場にいた殺し屋に襲われます。目撃者として消されそうになった鳥井が始めたのは、命乞いではありませんでした。
殺し屋の仕事をひとつのビジネスとして分析し、契約率や売上目標の問題点を指摘。自分を営業担当として雇えば経営状態を改善できると持ちかけます。こうして鳥井は、殺人を請け負う会社で命がけの営業ノルマに挑むことになります。ノルマは2週間で2億円。稼げなければ、全員まとめて地獄行きです。
漫画のような勢いで一気に聴けた
最も印象に残ったのは、展開の速さです。
絶体絶命の状況から始まり、鳥井が営業トークで立場を逆転させ、次々と無理難題へ挑んでいきます。ひとつの問題が解決したと思ったら、すぐに次の問題が起きるため、途中で止めるタイミングを見つけにくい作品でした。
再生時間は8時間38分ありますが、長さはあまり感じません。複雑な世界設定を覚える必要もなく、会話を中心に進むため、Audibleでも展開を追いやすい作品です。重厚で静かなミステリーを求める人よりも、テンポのよいドラマや漫画・アニメが好きな人に向いています。
営業スキルが裏社会の武器になる発想が面白い
本作の魅力は、奇抜な設定だけではありません。
鳥井が相手の状況を観察し、問題点を見つけ、相手にとって断りにくい提案を組み立てる過程には、「カクテルパーティ効果」「ネガティブクロージング」など、実際の営業心理学の考え方が使われています。普通なら暴力や武器がものをいう世界で、鳥井は話術・度胸・論理を使って状況を変えていく。
殺し屋という現実離れした世界でありながら、「この営業マンなら本当にこう考えるかもしれない」と思わせる合理性があります。奇抜なアイデアと筋の通った展開のバランスが見事でした。
主人公・鳥井の有能さと危うさに引き込まれる
鳥井は、正義感の強い一般的な主人公ではありません。契約を取るためなら相手の心理を読み、必要であれば強引な方法も選びます。
物語の序盤では殺し屋に襲われる側ですが、環境へ適応するにつれて、営業マンとしての異常なまでの才能が表に出てきます。頼もしさを感じる一方で、「この人はどこまで変わってしまうのだろう」という怖さもありました。
危険な世界に巻き込まれた被害者を見るというより、鳥井の中に最初からあった資質が少しずつ明らかになる過程を見ているようです。この有能さと危うさが同居している点も、続きを聴きたくなる理由でした。
外崎友亮さんのナレーションをレビュー
Audible版のナレーターは、声優・ナレーターとして活動する外崎友亮さんです。アクロスエンタテインメントに所属し、アニメ・ゲーム・吹き替え・ナレーションなど幅広く活動しています。北海道出身で、看護師免許を持つことでも知られています。
プロフィールはアクロスエンタテインメント公式サイトで確認できます。
「本性を見せない仮面」を声で表現
鳥井という人物は、表向きは優秀で礼儀正しい営業マンですが、内面には別の顔がある。外崎さんのナレーションは、その「仮面を被った人物」を見事に表現しています。営業マンらしい落ち着いたトーンの中に、どこか底知れないものを感じさせる声です。
登場人物の演じ分けが分かりやすい
鳥井の冷静でスマートな話し方と、裏社会に生きる人物たちの荒々しい雰囲気がはっきりと分けられています。登場人物ごとに声の高さや話し方が変わるため、一人で朗読していることを忘れる場面もありました。複数人が続けて話す場面でも、誰のセリフなのか迷いにくかったです。
作品の疾走感を邪魔しない語り口
感情を大げさに押し出す朗読ではなく、作品の速さを邪魔しないスマートな語り口です。そのため、鳥井が淡々と相手を追い込んでいく怖さも際立っていました。1.3〜1.5倍速での再生も快適で、2日間で聴き切れたというレビューも複数あります。
『殺し屋の営業術』をめぐる反応と口コミ
X(旧Twitter)やレビューサイトには、Audibleで聴いた方の感想が多く投稿されています。
物語としては、キャッツアイvsシティハンターみたいなエンタメ感と疾走感があってめちゃくちゃ面白い。ナレーションがすごく上手で声の使い分けすごい!!
出典:Audible カスタマーレビュー
声優さんの高い演技力によって、作品の持つディープな世界観や緊張感がより鮮明に伝わり、読書とはまた違った魅力を味わえました。終盤の展開は非常に痛快で、大きなカタルシスを感じました。
出典:BookLive レビュー
「殺人請負会社」という裏社会を描く設定と、「営業術」という自己啓発本のような要素が見事に融合していて、とても面白かったです。ドラマや映画にしたら絶対面白そう。
出典:読書メーター
Audibleと相性がよいと感じた理由
『殺し屋の営業術』は、紙でじっくり読むよりもAudibleでテンポよく聴く楽しさが大きい作品です。
- 会話が多く、音声でも場面を想像しやすい
- 登場人物の声を聞き分けやすい
- 短い間隔で状況が変わり、集中が途切れにくい
- 難しい図表や専門用語がない
- 通勤や家事の途中でも続きを再開しやすい
鳥井の営業トークは、文章として読むよりも、ナレーションで聴いたほうが説得力や圧力を感じやすい場面があります。通勤時間のながら聴きについては通勤時間の勉強が続かない人へ|Audibleで耳学習を続けるコツもあわせてご覧ください。
一方で、展開が速いため、寝る前に静かに聴きたい場合には刺激が強いかもしれません。続きが気になりかえって眠れなくなる可能性もあります。
気になった点と注意したい描写
痛快な作品ですが、誰にでも気軽にすすめられる内容ではありません。
殺し屋や暴力団が関わる物語のため、暴力や殺人に関する描写があります。また、動物に関するショッキングな場面も含まれています。描写が長時間続く作品ではありませんが、動物が傷つく場面やグロテスクな表現が苦手な人は注意してください。
また、物語は現実的な犯罪小説というより、漫画的な勢いを重視したエンターテインメントです。設定の現実味や細部の厳密さを最優先する人は、好みが分かれる可能性があります。
おすすめする人・おすすめしにくい人
おすすめする人
- テンポのよいミステリーや犯罪小説が好きな人
- 頭脳戦や心理戦を楽しみたい人
- 有能な主人公が状況を逆転する物語が好きな人
- 営業や交渉を題材にした作品に興味がある人
- Audibleで一気に聴ける小説を探している人
- 漫画やアニメのような疾走感を楽しみたい人
おすすめしにくい人
- 暴力や殺人の描写が苦手な人
- 動物が傷つく場面を避けたい人
- 静かで落ち着いた物語を聴きたい人
- 現実性を重視した本格的な犯罪小説を求める人
- ゆっくり余韻を味わう作品が好きな人
紙・Kindle・Audibleのどれがおすすめ?
| 形式 | 向いている人 |
|---|---|
| Audible(8時間38分) | 演じ分けと疾走感を楽しみながら一気に聴きたい人 |
| 紙の本 | 営業トークや伏線を自分のペースで読み返したい人 |
| 電子書籍(Kindle) | 外出先でも読み、気になる部分を検索したい人 |
本作のスピード感と会話の多さを考えると、最初に触れるならAudible版がおすすめです。外崎友亮さんの演じ分けによって登場人物の個性が伝わりやすく、鳥井の営業トークにも迫力があります。仕掛けや伏線を振り返りたい場合は、紙やKindleで読み直す楽しみ方もできます。
紙の本・Kindle版で読む
よくある質問
Audible版の再生時間はどのくらいですか?
再生時間は8時間38分です。展開が速く会話も多いため、数字ほどの長さは感じませんでした。1.3〜1.5倍速での再生も快適で、2日間で聴き切れたというレビューも多くあります。
Audible初心者でも聴きやすいですか?
登場人物の声を聞き分けやすく、物語の目的も分かりやすいため、Audible初心者にも比較的聴きやすい作品です。ただし、暴力描写が苦手な人には向きません。活字を読むのが苦手でオーディオブックを試したい方には活字を読むと眠くなる人へもご覧ください。
倍速再生でも楽しめますか?
会話が多くテンポも速いため、最初は標準速度か少し速い程度から始めるのがおすすめです。人物の関係や営業トークに慣れてから速度を上げると、内容を追いやすくなります。
Audibleの聴き放題対象ですか?
2026年6月時点では聴き放題対象です。聴き放題の対象作品は変更されることがあります。最新の配信状況はAudible公式ページでご確認ください。もし対象外だった場合の購入方法はAudible聴き放題対象外の本を買う方法をご覧ください。
続編はありますか?
シリーズ第2作『殺し屋の出世術』が2026年7月29日に発売予定です。発売日や配信予定は変更される可能性があるため、最新情報は出版社やAudibleの公式ページでご確認ください。
Audible公式ページで配信状況を確認するまとめ
『殺し屋の営業術』は、トップ営業マンの話術と論理が裏社会で武器になる、独創的なエンターテインメント小説です。
漫画のように次々と状況が変わり、絶体絶命の場面を営業トークで切り抜けていく展開には爽快感があります。同時に、主人公・鳥井の有能さの奥にある危うさも見逃せません。
外崎友亮さんのナレーションは登場人物を聞き分けやすく、作品の疾走感ともよく合っています。8時間38分ありますが、途中で止めにくいほど一気に聴けました。暴力や動物に関するショッキングな描写には注意が必要ですが、頭脳戦・有能な主人公・テンポのよい逆転劇が好きな人なら、Audibleで聴く候補に入れやすい一冊です。
Audible(オーディブル)を長年利用。読書が苦手で続かなかった経験から、通勤・家事・寝る前の“スキマ時間読書”として活用しています。ビジネス書(文章術/マーケティング/AI/副業/経営)や小説(新作/古典/名作)、趣味全般を中心に、学び直し・インプット習慣づくりを実践中。

