北陸スペシャル棟方志功|未完の作品「東北経鬼門譜」と福光・復活の舞台裏【8月12日】|8/12 22:30

2026年8月12日(水)22時30分からNHK Eテレで放送される「北陸スペシャル ムナカタの声に耳をすまして〜北陸で甦る 世界的版画家の願い〜」では、世界的な版画家・棟方志功の大作「東北経鬼門譜(とうほくきょうきもんぷ)」が取り上げられます。

番組の中心となるのは、南砺市立福光美術館が入手した120枚の紙のピース。本来は幅約10メートルの六曲一双屏風として構成される作品ですが、福光美術館に渡った時点では屏風になる前の状態でした。棟方志功の孫で研究者の石井頼子さん、石川県で文化財修復に携わる梶青華さんらが、棟方の意図を読み取りながら「令和版」の屏風として甦らせていきます。

この記事では、「未完の作品とは何?」「東北経鬼門譜の読み方と意味は?」「なぜ棟方志功と富山・福光が深く結びついたの?」という放送前後に気になるポイントを中心に、復活プロジェクトの背景、出演者、福光美術館の最新展覧会情報までまとめます。

北陸スペシャル「ムナカタの声に耳をすまして」放送日時

番組名北陸スペシャル ムナカタの声に耳をすまして〜北陸で甦る 世界的版画家の願い〜
放送日2026年8月12日(水)
放送時間22:30〜23:00
放送局NHK Eテレ1・東京
テーマ棟方志功「東北経鬼門譜」を120枚の紙片から六曲一双屏風へ甦らせるプロジェクト
主な出演永井伸一、石井頼子、梶青華、大木浩司、中條誠子

この番組は北陸地域で2026年4月17日に放送された内容で、8月12日はNHK Eテレで全国向けに放送されます。作品そのものだけでなく、約90年の時を経て大作を再び屏風の形にする人たちの判断や葛藤が見どころです。

未完の作品は「東北経鬼門譜」|読み方と大きさ

番組で甦る作品は、棟方志功が1937年(昭和12年)に制作した「東北経鬼門譜(とうほくきょうきもんぷ)」です。棟方の戦前期を代表する大作で、120枚の版画を組み合わせ、屏風にすると横幅約10メートルの六曲一双になります。

  • 作品名:東北経鬼門譜
  • 読み方:とうほくきょうきもんぷ
  • 制作年:1937年(昭和12年)
  • 構成:120枚の版画
  • 完成形:六曲一双屏風
  • 大きさ:広げると幅約10メートル

今回「未完」として焦点が当たるのは、福光美術館が2023年に入手した作品が、屏風装されていない120枚の紙のピースの状態だったためです。完成形を知っていても、実物の紙をどこまで切るのか、折るのか、余白や書き込みをどう残すのかという問題があり、単純に並べて貼れば完成という話ではありませんでした。

東北経鬼門譜に込められた意味|故郷・東北を救いたい祈り

「東北経鬼門譜」は、棟方志功が故郷・東北への強い思いを形にした作品です。制作当時の東北は冷害や凶作に苦しんでいました。棟方は、日本の「鬼門」にあたると考えた東北を仏の力によって救いたいという願いを作品に込めました。

画面の中央には鬼門仏が置かれ、その身体は左右の屏風の境で二つに分かれています。その周囲に菩薩、羅漢、行者、人間などが配され、両端の暗い人物群から中央の光へ向かう構図になっています。棟方の孫・石井頼子さんは福光美術館の展示解説で、鬼門仏が自らの身を割るようにして人々を救う、強い祈りの構図だと紹介しています。

放送を見るときは、単に「巨大な版画」としてではなく、中央の鬼門仏と左右対称の群像が何を語っているのかに注目すると、作品の意味をつかみやすくなります。

なぜ棟方志功と北陸・福光は深い関係がある?

棟方志功は青森出身ですが、太平洋戦争末期に富山県福光へ疎開し、約6年8か月をこの地で過ごしました。福光での暮らしは単なる避難生活ではなく、宗教観や土地の人々との交流を通して、その後の創作を大きく方向づけた重要な時期とされています。

福光美術館は棟方志功の作品を常設展示する美術館で、分館の棟方志功記念館「愛染苑」には旧居「鯉雨画斎」も残されています。だからこそ、長い年月を経て見つかった「東北経鬼門譜」の紙片が福光に収蔵され、北陸の人たちによって完成形へ戻されることには大きな意味があります。

北陸の文化や歴史を扱う番組が気になる方は、NHK「ステータス 南禅寺界隈別荘群」別荘15軒と文化財の見どころもあわせてどうぞ。

120枚の紙をどう屏風にした?修復で難しかったポイント

福光美術館が入手した「東北経鬼門譜」は、120枚の紙がばらばらの状態でした。屏風にするには、紙の位置関係だけでなく、棟方本人の書き込みや余白をできる限り残しながら、長期保存に耐える形へ仕立てる必要があります。

  • 棟方の自筆の書き込みがある余白を不用意に切らない
  • 折り曲げた部分で紙の厚さに差が出ないよう調整する
  • 棟方旧蔵の和紙も使いながら厚みを補正する
  • 120枚全体を六曲一双として見たときに、作品の構図と意図を崩さない

修復を担ったのが、石川県文化財保存修復工房の文化財修復師・梶青華さんです。番組では「昔と同じに見せる」だけでなく、棟方が残した痕跡をどこまで守り、現代の技術でどう完成形へ導くのかという文化財修復の判断も大きな見どころになります。

古い作品が離れ離れになった後、再び一つの姿に近づいていく話に興味がある方は、「ふすま絵 奇跡の再会」大英博物館と青森・宮越家の襖絵も関連テーマとしておすすめです。

石井頼子・梶青華は誰?番組のキーパーソン

石井頼子|棟方志功の孫で研究者

石井頼子さんは棟方志功の孫で、長年にわたり棟方作品の調査・研究、展覧会監修、執筆などに携わってきた棟方志功研究の第一人者です。今回のプロジェクトでは、作品をどう読み、棟方ならどのような完成形を望んだのかを考える重要な役割を担います。

梶青華|文化財修復の専門家

梶青華さんは、石川県文化財保存修復工房で文化財修復に携わる専門家です。福光美術館では2026年3月、梶さんによる「東北経鬼門譜」の屏風装の舞台裏を紹介する講演会も開催されました。

作品を知る研究者と、紙や表装を扱う修復師。番組タイトルの「ムナカタの声に耳をすまして」は、残された作品や書き込みから作者の意図を読み取ろうとする二人の姿勢そのものを表していると考えると、番組がより見やすくなります。

福光美術館の最新情報|9月から棟方志功×奈良美智展

放送を見て棟方志功をもっと知りたくなった人に注目なのが、南砺市立福光美術館で2026年9月12日(土)〜10月25日(日)に開催予定の企画展「北からの風:棟方志功と奈良美智」です。

  • 会期:2026年9月12日〜10月25日
  • 会場:南砺市立福光美術館
  • 内容:青森出身の棟方志功と奈良美智を「北の風土」という共通点から紹介
  • 展示予定:奈良美智50点以上、棟方志功30点以上
  • 関連行事:9月12日に石井頼子さんのギャラリートーク予定

今回の「東北経鬼門譜」から棟方志功に興味を持った人にとって、作品の背景にある青森・東北の風土を別の角度から知る機会になりそうです。

木版表現そのものに興味がある方は、「浮世絵EDO-LIFE」北斎の作品を読み解く記事もあわせて読むと、版を通して絵を生み出す表現の面白さを広げられます。

放送前後に気になるポイント

  • 「東北経鬼門譜」は何と読む? → とうほくきょうきもんぷ
  • 何が未完だった? → 福光美術館が入手した個体は、屏風装前の120枚の紙片状態だった
  • なぜ北陸で甦った? → 棟方が福光に約6年8か月暮らし、当地が創作上の重要な場所だから
  • 誰が復活に関わった? → 棟方の孫・石井頼子さん、文化財修復師・梶青華さんら
  • 作品のテーマは? → 凶作に苦しむ故郷・東北の救済を願う祈り
  • どれくらい大きい? → 120枚を組み、六曲一双屏風として広げると約10メートル

30分番組なので、放送中に作品名を見て「読めない」「何がすごいの?」と検索する人も多そうです。上の6点を押さえておくと、修復作業の映像だけでなく、作品に込められた祈りまで理解しやすくなります。

よくある質問

北陸スペシャル「ムナカタの声に耳をすまして」はいつ放送?

2026年8月12日(水)22:30〜23:00、NHK Eテレ1・東京で放送されます。

棟方志功の未完の作品名は?

「東北経鬼門譜」です。読み方は「とうほくきょうきもんぷ」。1937年制作の大作で、福光美術館が入手したものは120枚の紙片状態でした。

東北経鬼門譜はどのくらい大きい?

120枚の版画から成り、六曲一双屏風として広げると幅約10メートルになります。

棟方志功はなぜ富山県福光にいた?

太平洋戦争末期に戦禍を避けて福光へ疎開したためです。その後約6年8か月暮らし、土地の信仰や人々との交流が制作に大きな影響を与えました。

石井頼子さんは棟方志功とどんな関係?

棟方志功の孫で、棟方志功研究家です。作品調査、展覧会監修、執筆などを通じて棟方の作品と人物像を伝えています。

まとめ

  • 放送は2026年8月12日22:30〜23:00、NHK Eテレ
  • 甦る作品は1937年制作の「東北経鬼門譜」
  • 読み方は「とうほくきょうきもんぷ」
  • 120枚の版画をつなぎ、幅約10mの六曲一双屏風になる
  • 故郷・東北を凶作などの苦境から救いたいという祈りが込められた作品
  • 福光美術館が2023年に120枚の紙片状態で入手
  • 石井頼子さん、梶青華さんらが作者の意図と保存の両方を考えながら屏風装に取り組んだ
  • 棟方志功は福光で約6年8か月暮らし、北陸は創作上の重要な土地
  • 福光美術館では2026年9月12日から「北からの風:棟方志功と奈良美智」を開催予定

「東北経鬼門譜」が約90年の時を越えて形を取り戻す過程は、美術品の修復というだけでなく、作者が作品に込めた願いを現代の人がどう受け取るかという物語でもあります。番組では、120枚の紙片が一つの屏風へつながる瞬間と、そこに関わった人たちが何を「ムナカタの声」と感じたのかに注目です。

参考にした主な情報

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