「ふすま絵 奇跡の再会」大英博物館と青森・宮越家の襖絵はなぜ同じ作品?展覧会も解説|8/10 2:55

2026年8月10日(月)午前2時55分からNHK総合で放送される「ふすま絵 奇跡の再会」は、イギリス・大英博物館と青森県中泊町の旧家・宮越家に分かれて残った、約400年前の狩野派の襖絵を取り上げる3分番組です。

大英博物館の《秋冬花鳥図襖》と宮越家の《春景花鳥図襖》は、近年の調査で同じ部屋を飾った一連の作品だった可能性が極めて高いと判明しました。さらに、かつて大英博物館の襖の裏面だったシアトル美術館の《琴棋書画仙人図襖》も加わり、東京の展覧会で青森・ロンドン・シアトルに分かれた襖絵が一堂に並びます。

「何が一致して同じ作品だと分かったのか」「誰が描いた襖絵なのか」「どこでいつまで見られるのか」が気になる人に向けて、番組情報と展覧会の公式発表をもとに整理します。

「ふすま絵 奇跡の再会」の放送日時・出演者

番組名ふすま絵 奇跡の再会
放送日時2026年8月10日(月)2時55分~2時58分
放送局NHK総合1・東京
ジャンルドキュメンタリー/教養
出演ロジーナ・バックランド(大英博物館学芸員)、山下善也(狩野派研究者)
語り杉嶋亮作
主な舞台東京都美術館、青森県中泊町・宮越家、大英博物館

番組は3分と短いものの、襖絵の発見、調査、再会までを凝縮した内容です。番組表では、絵の特徴や襖の引き手のデザインなどが一致したことが紹介されています。放送日は月曜日ですが、展覧会会場の東京都美術館は2026年8月10日に限って開室するため、番組を見た当日に実物を見に行くこともできます。

再会したのはどの襖絵?青森・ロンドン・シアトルの3作品

今回「再会」するのは、桃山時代末から江戸時代初期、17世紀初めに制作されたとみられる狩野派の襖絵です。展覧会公式サイトでは、狩野宗眼重信の作品として次の3組が紹介されています。

  • 《秋冬花鳥図襖》:大英博物館所蔵。紅葉から雪景色へ移る水辺に、雁、鴨、千鳥、ツバキ、ウメ、カエデ、ヒノキなどを描く。
  • 《春景花鳥図襖》:青森県中泊町の宮越家に伝来。雪解けの渓流、満開のヤマザクラ、雉子など、春の生命感を表現する。
  • 《琴棋書画仙人図襖》:シアトル美術館所蔵。音楽、囲碁、書、絵画という文人の教養や仙人を描いた作品で、大英博物館の襖の反対面だった。

「大英博物館と青森に同じ絵があった」というより、もともと一つの室内を四季の景色で取り囲んでいた大きな襖絵群の一部が、別々の場所に分かれて残っていたと考えると分かりやすいでしょう。

大英博物館の作品ページでは、《秋冬花鳥図襖》は4面で一つの壁を構成し、四季を描くさらに大きな構成の一部だった可能性が示されています。番組では、この分断された絵が展覧会場で隣り合う瞬間に焦点が当たります。

なぜ同じ一連の作品と判明した?5つの一致点

宮越家の《春景花鳥図襖》と大英博物館の《秋冬花鳥図襖》が同じ襖絵群だと考えられる根拠は、単に絵柄が似ているからではありません。画面をつなげて検討すると、構図、技法、建具の特徴に複数の連続性が確認できます。

  1. 岩と水辺の線がつながる
    春景と秋冬景を並べると、岩や岸辺、水の流れが一続きの景観として読めます。
  2. 飛来する雁に連続性がある
    一方の画面から別の画面へ鳥が移動するように配置され、四季の時間と空間をつなぎます。
  3. 金銀の加飾技法が共通する
    切箔、野毛、砂子など、細かな金銀の装飾方法が一致し、華やかで幻想的な空間を作っています。
  4. 狩野派らしい描写と材料が共通する
    花鳥の細密な描写、深い群青色の水面、金箔や鉱物顔料の使い方に共通性があります。
  5. 襖の引き手のデザインなど建具にも一致がある
    番組表では、絵そのものだけでなく引き手の意匠も照合材料になったと紹介されています。

美術史の調査では、筆致や構図だけでなく、紙の寸法、顔料、金箔の技法、表具、建具、伝来記録まで総合して判断します。今回の発見は、画面の連続性と物理的な特徴の両方が重なった点が重要です。

約400年前の襖絵が再会するまでの経緯

展覧会公式サイトと大英博物館の作品情報から、現在分かっている流れを時系列で整理すると次のようになります。

時期出来事
17世紀初め狩野派による四季花鳥図や仙人図の襖絵群が制作されたとみられる。
1922年宮越家9代目の正治氏が、春景花鳥図4面を含む計18面の襖絵を東京で購入。中泊町の離れ「詩夢庵」にしつらえた。
1930年代大英博物館に渡った襖の表裏が分離される。《秋冬花鳥図襖》は1937年から大英博物館が所蔵。
1951年反対面だった《琴棋書画仙人図襖》がシアトル美術館の所蔵となる。
2024年青森県中泊町の宮越家に残る《春景花鳥図襖》が、大英博物館の作品と一連の可能性が高いと報じられる。
2026年東京都美術館の展覧会で、青森・ロンドン・シアトルに分かれた襖絵を一堂に展示。

番組案内は「100年以上の時を経て」と表現し、展覧会公式サイトは「約150年ぶり」と紹介しています。年数の表現には幅がありますが、いずれも一つの空間を構成していた襖絵が長期間にわたり国内外へ分蔵され、現代の調査によって関係を取り戻したことを示しています。

なお、公式情報で具体的に確認できるのは、宮越家が1922年に襖絵を購入したこと、大英博物館が1937年から《秋冬花鳥図襖》を所蔵していること、シアトル美術館が1951年から反対面の作品を所蔵していることです。それ以前にどこで、どのような経緯で一群が分かれたのかは、番組で注目したい点です。

青森県中泊町の宮越家と「詩夢庵」とは

宮越家は青森県中泊町にある旧家です。9代目・宮越正治が1922年に東京で購入した18面の襖絵は、離れの「詩夢庵」にしつらえられました。今回の《春景花鳥図襖》は、その中に含まれていた4面です。

《春景花鳥図襖》では、盛り上げた白色顔料によって満開のヤマザクラを立体的に表し、雪解けから春らんまんへ移る景色を描いています。大英博物館の秋冬景と並べることで、春から夏、秋から冬へ展開した本来の四季空間が想像しやすくなります。

古美術では、作品そのものだけでなく、誰がいつ購入し、どこで保管してきたかという「伝来」が重要です。屏風や襖絵の真贋・価値を判断する視点は、当サイトのなんでも鑑定団の柳沢淇園屏風の記事でも解説しています。

襖絵を見られる展覧会はどこ?会期・料金・開館時間

襖絵の再会が実現するのは、東京都美術館の特別展「大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱~海を越えた江戸絵画」です。大英博物館の日本コレクション約4万点から、江戸絵画、浮世絵、屏風、掛軸、絵巻などを厳選して紹介しています。

展覧会名東京都美術館開館100周年記念 大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱~海を越えた江戸絵画
東京会場東京都美術館 企画展示室(東京・上野公園)
会期2026年7月25日(土)~10月18日(日)
休室日月曜日、10月13日(火)※8月10日、9月21日、10月12日は開室
開室時間9時30分~17時30分、金曜日は20時まで(入室は閉室30分前まで)
当日料金一般2,300円、大学生・専門学校生1,300円、65歳以上1,600円
無料対象18歳以下、高校生以下など。証明書類が必要

最新の休室日、入場条件、チケット情報は東京都美術館の展覧会ページで確認できます。襖絵の構図や3館の作品画像は展覧会公式サイトの「みどころ」に掲載されています。

東京展の後は、2026年10月31日(土)から2027年1月31日(日)まで大阪中之島美術館への巡回が案内されています。東京で見られない場合は大阪展も候補になりますが、展示作品や展示期間が変更される場合があるため、巡回先の公式情報を確認してください。

ウェブの声|放送前後に気になりやすいポイント

番組情報や展覧会の告知を見た人が検索したくなる疑問を、個別の投稿をそのまま引用せず「ウェブの声」として整理しました。

「青森とイギリスにあるのに、どうして同じ襖絵だと分かったの?」

「“同じ作品”は複製という意味ではなく、一つの部屋を飾った続き絵ということ?」

「シアトル美術館の襖絵はなぜ裏面だったの?」

「約400年前の作品を、実際に並べた状態で見られるのはいつまで?」

「番組で紹介された襖絵は大英博物館の常設展示でも見られる?」

特に誤解しやすいのは「同じ作品」という表現です。今回一致したのは、全く同じ絵が二つ存在したという意味ではありません。春、秋冬、仙人図などの複数面が、もともと同じ建物や部屋のために制作された一群だったと考えられる、という発見です。

また、展覧会では襖絵だけでなく、北斎、歌麿、写楽、広重などの作品も展示されます。番組をきっかけに見に行く場合は、襖絵の画面がどこでつながるか、金銀の加飾が作品ごとにどう共通するかを意識すると、短い番組の内容を現地でより深く確認できます。

よくある質問

「ふすま絵 奇跡の再会」はいつ放送されますか?

2026年8月10日(月)午前2時55分から2時58分まで、NHK総合1・東京で放送予定です。

大英博物館と宮越家の襖絵は全く同じ絵ですか?

同じ絵の複製ではありません。もともと同じ室内を飾った一連の襖絵で、春景と秋冬景が連続する構図だった可能性が高いと考えられています。

同じ一連の作品と判断された根拠は何ですか?

岩や水辺の構図、飛来する雁、切箔・野毛・砂子などの金銀加飾、顔料や描写の特徴、襖の引き手の意匠などに一致や連続性が確認されたためです。

再会した襖絵はどこで見られますか?

東京では東京都美術館の「大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱~海を越えた江戸絵画」で、2026年10月18日まで展示予定です。その後は大阪中之島美術館への巡回が案内されています。

襖絵を描いた狩野宗眼重信とは誰ですか?

今回の襖絵群の作者として紹介される狩野派の絵師です。展覧会では狩野宗眼重信の作として紹介されていますが、大英博物館の作品情報では「帰属」とされ、今後も比較研究が必要と説明されています。

まとめ

NHK「ふすま絵 奇跡の再会」は、大英博物館の《秋冬花鳥図襖》と青森県中泊町・宮越家の《春景花鳥図襖》が、一連の四季花鳥図だったと判明した経緯を紹介する番組です。

岩や水辺のつながり、雁の配置、金銀の加飾、引き手の意匠などが手がかりとなり、離れて保管されてきた作品の関係が明らかになりました。さらに、反対面だったシアトル美術館の《琴棋書画仙人図襖》も加わり、3地域の襖絵が東京都美術館で一堂に展示されます。

放送は2026年8月10日午前2時55分から。展覧会は東京都美術館で10月18日まで開催され、放送日の8月10日も特別に開室します。短い番組ですが、約400年前の一つの空間が、国境と時間を越えて再構成される過程を知る入口になりそうです。ほかの放送情報はテレビ・ドラマカテゴリーで紹介しています。

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