ファストリ純利益5000億円へ|ユニクロはなぜ海外で強いのか

ファーストリテイリングが2026年8月期の連結純利益予想を、過去最高となる5000億円に上方修正しました。けん引役は海外ユニクロ事業です。最新の決算データから、海外事業が強い理由と今後の注目点を整理します。

この記事の要点

  • ファーストリテイリングは2026年7月9日、2026年8月期第3四半期(9カ月累計)決算と通期予想の上方修正を発表しました
  • 2026年8月期の純利益予想は前期比15.5%増の5000億円で、4月予想からさらに200億円引き上げられました
  • 海外ユニクロ事業の9カ月累計事業利益は3453億円(前年同期比45.4%増)で、国内ユニクロ事業の約2倍の規模です
  • 2025年8月末時点の海外ユニクロ事業の店舗数は1725店で、国内794店を大きく上回っています
  • ジーユー事業も9カ月累計事業利益が321億円(同28.0%増)と、増収を上回るペースで増益が続いています

ファーストリテイリング2026年8月期第3四半期決算の要点

ファーストリテイリングは2026年7月9日、2026年8月期第3四半期(2025年9月〜2026年5月の9カ月累計)の決算を発表しました。連結売上収益は3兆651億円(前年同期比17.1%増)、事業利益は5927億円(同33.6%増)でした。

親会社の所有者に帰属する四半期利益は4260億円(同25.6%増)となり、9カ月間として過去最高を更新しています。同時に発表された通期の業績予想では、親会社の所有者に帰属する当期利益は5000億円(前期比15.5%増)を見込んでいます。

これは2026年4月時点の予想からさらに200億円引き上げられたもので、売上収益も3兆9700億円(同16.7%増)へ700億円の増額修正となりました。実現すれば、純利益は過去最高を更新することになります。

年間配当金は、すでに支払われた中間配当金320円と合わせて1株当たり640円を見込んでおり、前期比140円の増配となる見通しです。増額修正の理由としては、6月までの実績に加え、第4四半期の為替レート前提を足元の実勢に合わせて見直したことが挙げられています。

海外ユニクロ事業が絶好調な理由

海外ユニクロ事業の9カ月累計の売上収益は1兆8340億円(前年同期比25.9%増)、事業利益は3453億円(同45.4%増)でした。国内ユニクロ事業の事業利益1729億円と比べると、海外事業はすでに約2倍の規模に達しています。

地域別にみる第3四半期3カ月間の動向

地域別の業績(現地通貨ベース)を整理すると、以下のようになります。

地域第3四半期3カ月間の動向(現地通貨ベース)
グレーターチャイナ(中国大陸)増収、2桁の増益
香港・台湾増収増益
韓国2桁の増収増益
東南アジア・インド・豪州2桁の増収増益
北米2桁の増収増益
欧州2桁の増収増益、特に好調

中国大陸ではマーケティングの強化に加え、気温が上昇した5月にイージーパンツやUVカット商品の需要が盛り上がりました。北米と欧州はいずれも2桁の増収増益を達成しており、欧州は新規出店した店舗の販売好調に加え、リネンシャツなど夏物商品も評価され大幅増収となりました。

出店ラッシュが続く北米・欧州・韓国

第3四半期3カ月間だけで、北米はシカゴの旗艦店を含め、ニューヨークやボストンに大型店を計6店舗出店しました。欧州も英国ブリストルやオランダユトレヒトなど新規都市を含む計4店舗を開業し、韓国では明洞にグローバル旗艦店をオープンしています。

LifeWearを体現する大型店の出店やコア商品のアップデートといった継続的な情報発信が、ブランド力向上につながっているとファーストリテイリングは説明しています。こうした店舗投資が、海外ユニクロ事業の増収増益ペースを支えている構図です。

国内ユニクロ・ジーユー・グローバルブランド事業の明暗

国内ユニクロ事業とジーユー事業は増収増益

国内ユニクロ事業の9カ月累計の売上収益は8676億円(前年同期比8.3%増)、事業利益は1729億円(同15.1%増)でした。第3四半期3カ月間の既存店売上高は9.9%増となり、トレンドを反映したボトムスや気温変化に対応した機能性商品の販売が好調でした。

ジーユー事業の9カ月累計の売上収益は2656億円(同3.7%増)、事業利益は321億円(同28.0%増)でした。増収の伸び率を上回るペースで利益が拡大しており、品番数の絞り込みや在庫の適正化といった店舗オペレーション改革が、収益性の改善に寄与しているとみられます。

セオリーなどグローバルブランド事業は苦戦

一方、セオリーやプラステ、コントワー・デ・コトニエ/プリンセス タム・タムを含むグローバルブランド事業は、9カ月累計の売上収益が963億円(同4.2%減)、事業利益は19億円(同33.4%減)と減収減益でした。卸売り販売の減少や、シーズン初めの気温が低く夏物商品の販売が伸び悩んだことが響いています。

不採算店舗の集約も進んでおり、コントワー・デ・コトニエ/プリンセス タム・タム事業の店舗数は、前年同期の144店舗から77店舗へとほぼ半減しました。すべての事業が好調というわけではなく、ユニクロ事業への依存度がなお高い構造がうかがえます。

為替相場が業績に与える影響

ファーストリテイリングが通期業績予想を上方修正した理由の一つに、第4四半期の想定為替レートを足元の実勢に合わせて見直したことが挙げられています。外国為替市場では、2026年7月10日時点でドル円相場はおおむね162円台から163円台で推移しており、円安傾向が続いています。

海外での売上や利益は現地通貨で計上されたのち円換算されるため、想定レートの見直しは連結業績を直接押し上げる要因になります。一方で国内ユニクロ事業では、第3四半期の仕入れに対応する為替予約が比較的円高の水準だったことで、原価率がわずかに低下したと説明されています。

為替の動き方一つで、国内と海外それぞれの事業利益に与える影響の向きが異なる場合がある点は、決算を読み解くうえで押さえておきたいポイントです。第4四半期は円安の影響で原価率が上昇する可能性も、通期予想の説明のなかで触れられています。

過去の決算推移と海外店舗数の拡大ペース

ファーストリテイリングが公表している連結業績推移によると、親会社の所有者に帰属する当期利益は、2021年8月期の1698億円から、2022年8月期2733億円、2023年8月期2962億円と増加してきました。さらに2024年8月期3720億円、2025年8月期4330億円と、5年連続で増益が続いています。

2026年8月期の予想である5000億円が実現すれば、6期連続の増益となります。売上収益も2021年8月期の2兆1330億円から2025年8月期には3兆4005億円まで拡大しており、成長ペースは着実に加速しています。

店舗数の面でも、海外の伸びは顕著です。2025年8月末時点の海外ユニクロ事業の店舗数は1725店で、国内の794店を大きく上回っています。

国・地域別では、中国大陸が902店と最多で、次いで米国75店、韓国132店、台湾71店、タイ70店、フィリピン77店、インドネシア77店などが続きます。欧米での出店拡大が、今後の成長ドライバーとして引き続き期待されています。

決算発表を読み解くときのポイント

今回の決算で注目したいのは、海外ユニクロ事業の事業利益がすでに国内の約2倍に達している点です。海外セグメントの動向次第で、グループ全体の業績が大きく左右される構造になっていると言えます。

また第4四半期については、国内ユニクロ事業が前年からの反動で若干の減収、事業利益は2桁の減益になる見込みが示されている点にも注意が必要です。2年連続で業績が大きく拡大したハードルの高さや、円安による原価率上昇、6月の売上が計画を下回ったことによる販管費比率の上昇が理由とされています。

2026年10月ごろに発表される見通しの本決算では、通期の実績が上方修正どおりの5000億円に達するかどうかが焦点になります。海外ユニクロ事業の各地域が2桁増収増益を維持できるかどうかも、あわせて確認したいところです。

よくある質問

ファーストリテイリングの純利益5000億円は、いつの決算の話ですか。

2026年8月期(2025年9月〜2026年8月)通期の業績予想です。2026年7月9日発表の第3四半期決算にあわせて、4月時点の予想から200億円上方修正されました。

ユニクロは海外で何店舗展開していますか。

2025年8月末時点で、海外ユニクロ事業は1725店です。国内の794店より多く、中国大陸が902店と最大の規模になっています。

ジーユー事業の業績はどうですか。

2026年8月期9カ月累計の売上収益は2656億円(前年同期比3.7%増)、事業利益は321億円(同28.0%増)でした。増収の伸びを上回るペースで、利益が拡大しています。

本決算の発表はいつ予定されていますか。

ファーストリテイリングの本決算(通期)は例年10月に発表されており、2026年8月期の本決算も2026年10月ごろに公表される見通しです。

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参考

まとめ

ファーストリテイリングが純利益5,000億円規模を見込む背景には、海外ユニクロ事業の成長とブランドの現地化があります。今後は為替や地域ごとの消費動向に加え、出店拡大と収益性を両立できるかが焦点になります。

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