EU、子どものSNS利用制限へ|13歳未満は保護者の監督必須に

欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長が2026年7月13日、子どものSNS利用を制限する意向を表明しました。13歳未満は保護者の監督が必要になる方針の中身と、国際的な規制の流れ、日本の現状を整理します。

この記事の要点

  • EUが13歳未満の子どものSNS利用に保護者の監督を義務化する方針
  • 秋にも具体策を公表予定、3〜12歳は保護者の監督が前提
  • オーストラリアは16歳未満のSNS利用を禁止する法律を既に施行
  • ドイツ・フランス・ギリシャなどEU加盟国も独自の年齢規制を検討
  • 日本では年齢による一律の利用制限の議論はまだ本格化せず

何が起きたのか、EUの方針発表の経緯

フォンデアライエン委員長が表明した規制の中身

欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は7月13日、子どもによる交流サイト(SNS)の利用を制限していく意向を表明しました。13歳未満は保護者の監督がなければ利用を認めない方針で、秋にも具体策を公表するとしています。

フォンデアライエン氏はインターネット依存やいじめなどの問題点に触れ、「年齢に応じた制限が明らかに必要だ」と述べました。専門家からの提言では、3〜12歳の子どもは保護者が利用を監督し、オンライン上の交流がもたらす利益やリスクについて親子で話し合うべきだと指摘されています。

この提言は児童福祉や心理学の複数の専門家グループがまとめたもので、フォンデアライエン氏が13日に正式に受け取り、記者団の前で発表する形が取られました。専門家の科学的知見をもとにした政策形成という進め方も、今回の発表の特徴のひとつとされています。

今回の提言をまとめた専門家グループには、児童心理学や小児科学の専門家に加え、テクノロジー企業出身者も含まれていたとされます。多様な分野の知見を集約した提言という点は、政策の実効性を高める狙いがあるとみられます。

EUはこれまでも、デジタルサービス法(DSA)を通じて大手プラットフォーム事業者への規制を段階的に強化してきました。今回の子どものSNS利用制限も、DSAの枠組みを土台にした追加的な措置として位置づけられる可能性が高いとみられています。

「いつ子どもにアクセスさせるか」という論点

フォンデアライエン氏はX(旧Twitter)で「これは子どもがSNSにアクセスできるかどうかの問題ではない。SNSがいつ子どもにアクセスできるかの問題だ」と投稿し、年齢に応じた設計の必要性を強調しています。単純な利用禁止ではなく、段階的なアクセス許可という考え方が軸になっている点が特徴です。

具体策の公表は今秋を予定しており、プラットフォーム側にどのような技術的対応を求めるのかが今後の焦点になります。年齢確認の方法や、保護者の同意をどう技術的に担保するかといった、実務レベルの詳細設計が今後詰められていく見通しです。

SNSがもたらす具体的なリスクとは

専門家の提言では、SNSが子どもに与える影響として、睡眠不足や学業への悪影響、他人と自分を比較することによる自己肯定感の低下など、複数のリスクが具体的に挙げられています。アルゴリズムによって次々と刺激的なコンテンツが表示される仕組みが、依存を助長しているという指摘も繰り返しなされてきました。

また、見知らぬ大人からの接触や、性的搾取につながるやり取りのリスクも、規制の必要性を後押しする重要な要因として挙げられています。プラットフォーム側の年齢確認の甘さが、こうしたリスクを高めているという批判は、EU域内に限らず世界各国で共通して見られる論点です。

ネットの反応・世間の声

「日本も規制すべき」という賛成意見

ネットでは「日本も、子どものSNS利用は禁止すべき」として、EUの動きを踏まえ国内でも同様の議論を進めるべきだとする声が多く見られました。「投資詐欺や闇バイトなど犯罪の温床になっている」として、未成年に限らない規制の必要性を訴える意見もあります。

海外で話題になった『不安の世代』という書籍を引き合いに出し、「女子はSNSの害に脆弱で、自傷・自殺の増加も顕著。男子はゲームとポルノに依存する」といった海外の分析データを紹介しつつ、日本でも大規模な調査を行うべきだとする冷静な意見も見られました。

「スマホを禁止しているわけではなく、あくまでSNSだけの話だという点を誤解している人がいる」として、規制の対象範囲を正確に理解すべきだという指摘もありました。連絡手段としてのスマホ利用と、SNSの利用は切り分けて考えるべきだという意見です。

「規制が別の問題を覆い隠す」という懸念

一方で「SNSは子どもがいじめを告発する手段にもなっている」として、規制がいじめ問題の隠蔽につながりかねないという慎重な意見も寄せられました。「子どもからSNSを取り上げるのは簡単だが、それは問題の解決にはならない」という指摘です。

また「親の垢(アカウント)から入られたらどう統制するのか」など、規制の実効性そのものを疑問視するコメントも見られ、技術的な実現可能性への関心も高まっています。このあたりの技術的な課題をどう解決できるかが、規制全体の実効性を大きく左右する鍵になりそうです。学校でSNSを通じたいじめの実態把握が行われている現状を踏まえ、規制と見守りのバランスをどう取るかという議論も見られました。

実際に小学生の子どもにタブレット端末を持たせているという保護者からは、「AIを使いこなす力を早いうちから身につけさせたい」という声もあり、デジタル教育とSNS規制のバランスをどう取るかという、より実践的な視点からのコメントも見られました。

ネットでは、SNSの社会的影響力の大きさに触れ、「政治を左右し、商取引にも利用されている以上、一部の行為だけでも年齢制限どころか免許制もあり得るかもしれない」という、規制強化を支持する踏み込んだ意見も見られました。

一方で「少年少女のSNS利用を禁止することで、何かデメリットがあるのか」として、位置情報の共有や連絡手段としての利用であれば、通話機能のみの端末で十分ではないかという指摘もありました。全員が利用しなければ仲間はずれの心配もないという、規制の副次的な効果に着目したコメントです。

今回の発表を受け、EU域内の主要SNS事業者やアプリ開発企業からも反応が伝えられています。一部の企業は自主的な年齢確認の強化を表明する一方、規制強化が広告収益を軸にしたビジネスモデルに与える影響を懸念する声も業界内では出ているとされます。

知っておきたい背景・世界で進む未成年SNS規制

EUはこれまでにも、GDPR(一般データ保護規則)を通じて未成年者の個人情報保護に取り組んできた経緯があります。今回のSNS利用制限の議論も、こうした一連のデジタル政策の延長線上に位置づけられるものです。個人情報保護と青少年保護という2つの観点が組み合わさることで、より包括的な子ども向けデジタル政策が形作られつつあります。こうした複合的な政策アプローチは、他地域の規制モデルとしても参考にされる可能性があります。

加盟国ごとに異なっていた規制を統一的な枠組みでまとめることは、EU域内で活動するグローバル企業にとっても、国ごとに異なる対応を取る必要がなくなり、方針を一本化しやすくなるというメリットがあります。域内共通のルール整備は、企業側のコンプライアンス対応の効率化にもつながるとみられます。

オーストラリアが世界に先駆けて施行した禁止法

子どものSNS利用制限は、いまや世界各国で共有される国際的な大きな潮流になりつつあります。オーストラリアは2025年12月、世界に先駆けて16歳未満の利用を禁止する法律を施行しており、各国の政策担当者から注目を集めてきました。

EU加盟国でも、ドイツやフランス、ギリシャなどがそれぞれ年齢によって規制する方針を独自に打ち出しています。今回のフォンデアライエン氏の表明は、こうした加盟国ごとの動きをEU全体の統一的な枠組みにまとめようとする試みとも言えます。

オーストラリアの禁止法は、SNS事業者に対して合理的な年齢確認手段の実施を義務付け、違反した場合には高額な罰金を科す仕組みになっています。事業者側に実効性のある対応を求めるという点で、EUが検討する枠組みにも影響を与える可能性があります。

フランスでは2023年に、15歳未満のSNS利用に保護者の同意を義務付ける法律が成立しており、EU域内における先行事例のひとつとして知られています。ドイツでも青少年保護の観点から、プラットフォーム事業者に対する規制強化の議論が進められてきました。

ギリシャは2025年、AIを活用した年齢確認システムの導入を検討していると報じられており、技術的な年齢確認の精度向上が各国共通の課題になっています。虚偽の生年月日を入力すれば簡単に登録できてしまう現状のシステムには、限界があるとの指摘が根強くあります。顔認証技術を用いた年齢推定など、新しい技術の活用も一部で検討され始めています。

日本の現状と今後の課題

日本では、年齢による一律の利用制限の議論はまだ本格化していません。SNSの社会的影響力が政治や商取引にまで及ぶなかで、営利目的での利用規制や免許制まで視野に入れるべきだという意見も一部で出ています。

今後、EUが今年秋に公表する具体策の内容次第では、日本国内での議論にも影響を与える可能性があります。プラットフォーム事業者側がどのような対応を取るのかも、あわせて注目されるポイントです。海外の制度を参考にしながらも、日本独自の実情に合わせた制度設計が求められることになりそうです。

日本のSNS利用に関する規制は、これまで主に事業者側の自主規制やガイドラインに委ねられてきました。法制度による強制力のある規制を導入するかどうかは、今後の国会審議や省庁間の議論の行方によって左右されそうです。

まとめ

EUの今回の表明は、「アクセスの可否」から「アクセスのタイミング」へと議論の軸を移した点が特徴的です。オーストラリアの禁止法とは異なるアプローチだけに、秋に公表される具体策の中身が注目されます。

日本でも同様の議論が進むかどうか、そしてプラットフォーム側がどのような技術的対応を用意するのか、引き続き注視していきたいテーマです。子どもたちが安心してインターネットを使える環境づくりに向けて、各国の取り組みからどのような教訓が得られるのかも重要な視点になりそうです。保護者、教育現場、そしてプラットフォーム事業者それぞれの役割分担についても、今後の議論の深まりが期待されます。

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