西洋の美学・美術史 第11回「幻視と召命」|カラヴァッジョ・バロックを見るポイント【8月27日】|8/27 14:15
放送大学『西洋の美学・美術史』第11回「幻視と召命―キリスト教美術の本質」が、2026年8月27日(木)14:15~15:00、BS231で放送予定です。講師は神戸大学教授の宮下規久朗さんです。
放送大学公式ページは、第11回で西洋美術の大きな柱であるキリスト教美術を扱うことを明示しています。公式SIの番組説明では、カトリック改革、バロック、カラヴァッジョ、召命、幻視、回心がキーワード。宗教画が“信仰の説明図”から、見る人を物語の中へ引き込む劇的な空間へ変わっていく過程が中心です。
第11回「幻視と召命」の放送情報
| 科目 | 西洋の美学・美術史(’24) 第11回 |
|---|---|
| テーマ | 幻視と召命―キリスト教美術の本質 |
| 放送日時 | 2026年8月27日(木)14:15~15:00 |
| 放送 | 放送大学テレビ BS231 |
| 講師 | 宮下規久朗(神戸大学教授) |
| キーワード | カトリック改革、バロック、カラヴァッジョ、召命、幻視、回心 |
第11回は何を学ぶ?|宗教画が“劇場空間”になるまで
公式番組情報では、中世後期以降の宗教画が徐々に自然主義的な表現へ変わり、バロック美術に至ると観者を巻き込む“劇場空間”になったと説明されています。つまり、聖人や聖書の出来事を遠くから眺めるのではなく、自分の目の前で神との出会いが起きているように感じさせる表現が重要になります。
この変化を見るための主題が「幻視」「召命」「回心」です。いずれも人間が神や超越的な存在と出会い、それまでの人生の方向が大きく変わる瞬間を扱います。静かな教義の説明ではなく、一瞬の衝撃や身体の反応をどう絵画化するかがポイントです。
「幻視」「召命」「回心」の違いを先に整理
幻視とは
幻視は、通常の視覚では見えない神・聖人・天上的な出来事などを“見る”宗教体験です。絵画では、現実空間と超自然的な空間を同じ画面に共存させる必要があり、光、雲、身振り、視線などが重要な手掛かりになります。
召命とは
召命は、神から特定の使命へ呼び出されることです。キリスト教美術では、人物が呼びかけを受けて人生を変える決定的瞬間が題材になります。誰が呼ばれているのか、どの瞬間に気づいたのかを、指差しや視線、光で示す作品が多くあります。
回心とは
回心は、信仰や生き方が根本から転換することです。劇的な転倒、まぶしい光、驚きや畏れの表情などによって“以前の自分”と“変わった自分”の境目を一場面に凝縮する表現が生まれました。
カラヴァッジョに注目|宗教美術の近代化とは
第11回の説明で具体名が挙がるのがカラヴァッジョです。彼の宗教画は、聖書世界の登場人物を理想化された遠い存在としてではなく、現実の人間のような身体感覚で描く点に大きな特徴があります。
強い明暗対比によって、暗い画面の中へ光が差し込み、その光が“神からの呼びかけ”そのもののように機能する作品もあります。宗教的な出来事を、観者が同じ部屋に立ち会っているかのような現実感で見せるため、バロック美術の劇場性を理解するうえで欠かせません。
なぜバロック美術は観者を巻き込むのか
ルネサンス美術が均衡や秩序を重視したのに対し、バロックでは斜めの構図、強い光、激しい動き、画面外へ続く身振りなどが多用されます。視線が画面の中で完結せず、作品の前に立つ観者の空間へ伸びてくることで、絵と現実の境界が曖昧になります。
宗教改革後のカトリック世界では、信仰を頭で理解するだけでなく、感情や身体を通じて強く経験させる表現が重視されました。第11回の「キリスト教美術の本質」という副題は、宗教画が単なる歴史記録ではなく、見る人に“出会い”を体験させる装置だったことを考える入口になります。
見る前に押さえたい3つの鑑賞ポイント
- 光はどこから差しているか:自然光なのか、神の呼びかけを示す象徴的な光なのかを見る
- 人物の視線と手:誰が誰を見ているか、指差しや驚きの身振りが物語の瞬間をどう示すかを見る
- 観者の立ち位置:絵の出来事を外から眺める構図か、自分も同じ空間に巻き込まれる構図かを比べる
この3点を意識すると、作品名や聖書の細かな物語をすべて知らなくても、なぜその絵が劇的に感じられるのかを読み取りやすくなります。
東西の宗教美術を比べると理解しやすい
放送大学公式の科目概要は、西洋美術を扱いながら、ときに東洋の事例と比較するとしています。宗教画が信仰対象としてどのように機能するか、人物の神聖さをどのような姿勢・光・装飾で表すかを比べると、西洋キリスト教美術の特徴がよりはっきり見えてきます。
日本の宗教絵画に関心がある方は、当サイトの日曜美術館「南都仏画」後期展示の見どころもあわせて読むと、宗教的イメージを“見る人にどう働きかけるか”という共通点と違いを比較できます。
『西洋の美学・美術史』全体の中での第11回
この科目は、美・芸術・感性を扱う美学の成立と展開を学びながら、西洋美術史では人間像を中心に、キリスト教美術、死、性、食、自然などの主題へ進む構成です。第11回は、聖像や聖母などの基礎を踏まえて、宗教体験そのものをどう視覚化するかへ踏み込む回と位置づけられます。
作品を“何が描いてあるか”だけで見るのではなく、なぜその瞬間が選ばれ、なぜその光や構図が必要だったのかまで考えると、美術史と美学がつながります。第11回は、バロック絵画を見る目を一段深くする内容です。
よくある質問
『西洋の美学・美術史』第11回はいつ放送?
2026年8月27日(木)14:15~15:00、放送大学テレビ(BS231)で放送予定です。講師は神戸大学教授の宮下規久朗さんです。
第11回のテーマは?
「幻視と召命―キリスト教美術の本質」です。中世後期からバロックにかけて、宗教画が自然主義化し、観者を巻き込む劇場的空間へ変化する流れを考えます。
カラヴァッジョはなぜ重要?
番組情報では、宗教美術の近代化を考える代表としてカラヴァッジョが挙げられています。光と闇、現実的な人物表現、劇的な瞬間の構成が、召命や回心という宗教体験を強く可視化したためです。

