
ETV特集「在韓被爆者の81年」なぜ“切り捨てられた”?支援・裁判の歴史【8月8日】|8/8 23:00
2026年8月8日(土)放送のNHK Eテレ「ETV特集」は、“切り捨てられた”被爆者 在韓被爆者の81年を取り上げます。放送時間は午後11時から午前0時までの1時間、語りはNHKの山内泉アナウンサーです。
広島・長崎で被爆した朝鮮半島出身者のうち、番組案内では約2万人が現在の韓国へ帰還したとされています。しかし、被爆による病や生活困窮を抱えながら、戦後長く日韓両政府の十分な支援につながりませんでした。この記事では、「在韓被爆者とは誰か」「なぜ国外に住むと援護から外されたのか」「裁判で何が変わったのか」「現在はどんな制度があるのか」を整理します。
この記事の要点
- 放送は2026年8月8日(土)23:00~24:00、NHK Eテレ
- 広島・長崎で被爆後、韓国へ帰還した人々の81年を追う
- 番組案内では、帰韓した被爆者は約2万人とされる
- 焦点は、日本政府が国外居住者をどう制度から線引きしたかを示す機密解除文書
- 1974年の「402号通達」と、孫振斗・郭貴勲らの裁判が制度転換の重要な節目
- 現在は在外被爆者も手帳、医療費、手当などの対象だが、実現まで長い時間を要した
- NHK ONEで同時・見逃し配信予定、放送後1週間と案内されている
ETV特集「在韓被爆者の81年」の放送時間・出演者
| 番組名 | ETV特集 “切り捨てられた”被爆者 在韓被爆者の81年 |
|---|---|
| 放送日 | 2026年8月8日(土) |
| 放送時間 | 午後11:00~午前0:00(60分) |
| 放送局 | NHK Eテレ |
| 語り | 山内泉 |
| 主なテーマ | 在韓被爆者、被爆者援護、日韓両政府、機密解除文書、戦後補償 |
| 配信 | NHK ONEで同時・見逃し配信予定(放送後1週間) |
番組が新たに迫るのは、被爆の実相だけではありません。近年機密解除された文書を手がかりに、日本政府が被爆者の間にどのような「線引き」を設けたのかを検証します。放送前の公表情報では文書名や具体的な作成者までは示されていないため、番組では行政内部の判断過程や日韓交渉との関係が重要な見どころになります。
在韓被爆者とは?約2万人が韓国へ帰還
在韓被爆者とは、広島・長崎で被爆し、戦後に朝鮮半島へ帰還した人など、韓国に居住する被爆者を指します。当時の朝鮮半島は日本の植民地下にあり、仕事、徴用、軍務、学業、家族の移動など、さまざまな事情で日本にいた人々が原爆に遭いました。
番組案内では、朝鮮半島出身の多くの人が被爆し、そのうち約2万人が現在の韓国へ帰還したとされています。この「2万人」は、2026年現在の生存者数ではなく、戦後に韓国へ戻ったとされる人数です。高齢化と死去が進み、日本の厚生労働省が公表する在外被爆者の手帳所持者は、韓国以外も含め2026年3月末時点で約2,061人となっています。
被爆者は放射線による健康不安だけでなく、貧困、病気、被爆への偏見にも直面しました。韓国政府の調査を伝えた報道では、被爆者本人に加え、被爆2世にも健康や経済面の困難、差別経験が確認されています。被爆を語ることが結婚や就職に不利になるのではないかという恐れから、長く沈黙した人もいました。
なぜ“切り捨てられた”?国外居住を理由にした線引き
戦後の日本では、1957年の原爆医療法、1968年の原爆特別措置法、1995年施行の被爆者援護法へと制度が整えられました。しかし実務では、日本国内にいることや国内に居住地を持つことが援護を受ける前提のように扱われ、韓国で暮らす被爆者は制度を利用しにくい状態が続きました。
大きな壁となったのが、1974年7月22日に厚生省が出した「402号通達」です。この通達は、被爆者健康手帳を持つ人でも、日本国外へ居住地を移すと被爆者としての法的地位や健康管理手当などの受給権を失うという行政運用の根拠にされました。法律には国外転居で権利を失うとの明文規定がなかったにもかかわらず、この扱いは2003年まで続きました。
さらに、長い間は手帳や手当の申請に日本への渡航が必要でした。高齢で病気を抱え、経済的にも厳しい在韓被爆者にとって、渡航費、滞在先、証人や被爆資料の確保は非常に高いハードルです。制度が存在していても、利用するための入口が事実上閉ざされていたことが、「切り捨てられた」という番組タイトルにつながります。
孫振斗・郭貴勲訴訟から医療費判決まで|制度を変えた裁判
| 年 | 主な出来事 | 意味 |
|---|---|---|
| 1972年 | 在韓被爆者の孫振斗さんが被爆者健康手帳の交付を求め提訴 | 外国籍・在外被爆者にも原爆医療法が適用されるかが争点 |
| 1974年 | 厚生省が402号通達を発出 | 国外へ移ると手帳上の地位や手当を失う運用が続く |
| 1978年 | 最高裁が孫振斗さんへの手帳交付を認める | 原爆医療法には国家補償的配慮があると示した重要判決 |
| 1998年 | 郭貴勲さんが帰韓後の健康管理手当打ち切りを提訴 | 「被爆者はどこにいても被爆者」が正面から争われる |
| 2002年 | 大阪高裁が郭さん側勝訴、国が上告を断念 | 国外転居で被爆者の地位は失われないとの判断が確定 |
| 2003年 | 402号通達の失権扱いを廃止 | 在外被爆者への手当送金が進む |
| 2005年 | 国外から手当・葬祭料を申請できる制度を整備 | 渡日を前提とした手続きが一部解消 |
| 2008年 | 国外から被爆者健康手帳を申請できるよう法改正 | 手帳取得のための渡日負担を軽減 |
| 2015年 | 最高裁が韓国で受けた医療費の支給を認める | 海外での医療にも援護法を適用 |
| 2017年 | 韓国の「韓国人原爆被害者支援特別法」が施行 | 韓国政府による実態調査と医療支援の法的枠組みが整う |
制度は行政が自発的に一度に整えたのではなく、当事者が名前を出し、病身で海を渡り、長い裁判を続けた結果として少しずつ変わりました。特に孫振斗訴訟と郭貴勲訴訟は、「国籍」や「居住地」ではなく、被爆した事実を基準に救済すべきだという考えを制度に反映させる転機になりました。
現在の在外被爆者支援|手帳・医療費・健康管理手当
厚生労働省は現在、海外に住む被爆者にも国籍を問わず被爆者健康手帳を交付しています。国外居住者も、被爆者援護法に基づく医療費、健康管理手当などの支給を受けられます。韓国在住者の医療費は長崎県、それ以外の国の居住者は広島県が支給窓口です。
- 被爆者健康手帳:国外から交付申請が可能
- 医療費:居住国で受けた医療について支給制度がある
- 各種手当:健康管理手当、医療特別手当などを国外から申請可能
- 渡日支援:手帳交付や日本での治療が必要な人の旅費を支援
- 現地支援:医師派遣、健康相談、現地医師の研修など
一方、制度が現在整っていることと、過去の空白が解消されたことは同じではありません。支援を受けられないまま亡くなった人、記録不足で被爆を証明できなかった人、病気や貧困の中で裁判を断念した人もいます。番組は、現在の制度紹介だけでなく、救済までに何十年もかかった責任を問い直す内容になると考えられます。
機密解除文書で何が分かる?番組の見どころ
今回の最大の注目点は、近年公開された機密文書から、政府内でどのような議論が行われ、国外居住者を援護から外す判断が形づくられたのかを追う点です。法令の文言だけを読むと見えにくい、官僚組織の解釈、財政負担への懸念、外交関係への配慮などが、文書によって具体化される可能性があります。
ただし、放送前に公表された紹介文では、資料の名称や作成時期、関係省庁は明かされていません。この記事では推測で内容を補わず、番組が示す原文、作成者、決裁経路、当時の証言を確認することが重要です。
同じ戦後81年の生活史を別の角度から考える記事として、「あさイチ戦時中の食事は何?配給・代用食・すいとん」では、食卓から戦争の記憶をたどっています。また、長崎と原爆の記憶が作品の背景にある「『ミス・サンシャイン』をAudibleで聴いた感想」も、個人の記憶を次世代へ渡す意味を考える入口になります。
検索で多い疑問|「韓国人被爆者はなぜ対象外だった?」
番組をきっかけに検索されやすいのは、「在韓被爆者とは」「韓国人被爆者は何人」「なぜ日本政府の支援を受けられなかった」「402号通達とは」「被爆者健康手帳は海外でも使える」「韓国人被爆者2世への影響」といった疑問です。
特に注意したいのは、帰韓した約2万人、韓国側の登録者数、現在の生存者数、日本の被爆者健康手帳所持者数は、それぞれ母集団と集計時点が異なることです。数字だけを並べると誤解につながるため、「いつの、誰を数えた数字か」を確認する必要があります。
また、韓国人被爆者を一括して「徴用工」と表現するのも正確ではありません。植民地支配下で日本へ渡った事情は人によって異なり、強制動員された人、軍人・軍属、家族と暮らしていた人、仕事や学業で滞在していた人などが含まれます。番組で紹介される一人ひとりの経歴を丁寧に見ることが大切です。
見逃し配信はNHK ONE|放送後1週間の予定
NHKの番組案内では、「ETV特集 “切り捨てられた”被爆者 在韓被爆者の81年」はNHK ONEで同時・見逃し配信予定とされ、見逃し配信は放送後1週間と案内されています。
- 放送中:NHK ONEのEテレ同時配信を確認
- 放送後:番組名または「在韓被爆者」で検索
- 配信期限:作品ページに表示される日時を確認
- 保存版視聴:NHKオンデマンドで後日配信される場合は作品ページを確認
権利上の事情で配信対象や期間が変更される場合があります。視聴時はNHK公式の番組ページに表示される最新情報が基準です。
よくある質問
ETV特集「在韓被爆者の81年」はいつ放送?
2026年8月8日(土)午後11時から午前0時まで、NHK Eテレで放送予定です。
在韓被爆者とは?
広島・長崎で被爆し、戦後に韓国へ帰還した人など、韓国に居住する被爆者を指します。番組案内では約2万人が現在の韓国へ帰還したとされています。
なぜ日本の被爆者援護を受けにくかった?
長く国外居住者を制度の対象外とする行政運用が続き、日本への渡航を前提とする手続きも大きな壁になりました。裁判や法改正を経て、国外からの申請や海外での医療費支給が順次認められました。
402号通達とは?
1974年に厚生省が出した通達で、被爆者が日本国外へ居住地を移すと被爆者としての法的地位や手当の権利を失うという運用の根拠にされました。2003年にこの扱いは廃止されました。
現在、在外被爆者は支援を受けられる?
現在は国籍を問わず被爆者健康手帳の交付対象となり、国外居住者も医療費や健康管理手当などを受けられます。制度ごとに申請先や必要書類が異なります。
見逃し配信はある?
NHKの案内ではNHK ONEで同時・見逃し配信予定で、放送後1週間の配信が案内されています。実際の期限は番組ページで確認してください。
まとめ
ETV特集「“切り捨てられた”被爆者 在韓被爆者の81年」は、広島・長崎で被爆しながら、国境の外に暮らしたことで援護から遠ざけられた人々の戦後を追う番組です。約2万人が韓国へ帰還したとされますが、多くの人が病気、貧困、差別に苦しみ、支援制度の利用にも渡航や居住地の壁がありました。
1978年の孫振斗訴訟、2002年の郭貴勲訴訟、2003年の402号通達廃止、2008年の国外申請、2015年の医療費判決へと制度は変わりました。しかし、その変化の裏には当事者の長い闘いがあります。番組では、機密解除文書によって「誰が、どのような理由で線を引いたのか」がどこまで明らかになるかに注目です。
主な確認先
- 被爆81年 NHK広島 夏の特集番組|NHK
- 在外被爆者援護対策の概要|厚生労働省
- 在外被爆者医療費訴訟(最高裁判決)について|厚生労働省
- 原子爆弾被爆者対策|厚生労働省
- 在外被爆者の裁判|日本被団協
- 韓国人原爆被害者支援特別法|韓国国家法令情報センター

