給与所得控除とは?会社員の節税に役立つ基礎知識【2026年最新】

給与所得控除とは、会社員が年収から一定額を差し引ける、いわば「会社員にとっての必要経費」にあたる控除です。フリーランスのように経費を積み上げて節税することができない会社員でも、年収に応じて自動的にこの控除が適用され、所得税・住民税の計算のもとになる「所得」が小さくなる仕組みになっています。2025年分からは控除額の最低保障が引き上げられ、年収190万円以下の人は一律65万円が控除されるようになりました。この記事では、給与所得控除の仕組みと最新の計算方法、注意点をまとめて解説します。

給与所得控除とは

給与所得控除とは、雇用形態や職種にかかわらず、会社や企業に勤める「会社員」が、年収から一定の金額を差し引くことができる仕組みのことです。給与所得控除を理解するためには、まず「年収」と「所得」の違いを押さえておく必要があります。

年収と所得の違い

「年収」と「所得」は同じ意味で使われがちですが、税金の計算上は明確に区別されます。会社員にとっての年収とは、勤め先から支払われる給与や賞与の合計額のことです。この年収から給与所得控除を差し引いた残りの金額が「所得」となり、所得税や住民税はこの所得をもとに計算されます。給与所得控除の金額は、年収に応じて自動的に決まる仕組みになっています。

会社員にとっての「必要経費」のようなもの

フリーランスとして働く人は、仕事で使った備品代や打ち合わせの飲食代などを経費として計上することで、所得を減らし節税につなげることができます。一方、会社員は基本的にこうした経費を個別に計上することができません。その代わりに用意されているのが給与所得控除であり、年収に応じて一定額が自動的に「経費」として差し引かれるイメージで考えるとわかりやすいでしょう。

給与所得控除の計算方法(2025年分以降の最新版)

給与所得控除の金額は、自分で工夫して増減できるものではなく、年収に応じてあらかじめ計算式が決められています。2025年分の所得税から最低保障額が引き上げられ、現在は次のような計算式になっています。

  • 年収190万円以下:一律65万円
  • 年収190万円超~360万円以下:収入金額×30%+8万円
  • 年収360万円超~660万円以下:収入金額×20%+44万円
  • 年収660万円超~850万円以下:収入金額×10%+110万円
  • 年収850万円超:195万円(上限)

例えば年収300万円の会社員の場合、「300万円×30%+8万円」で給与所得控除は98万円となり、年収300万円から98万円を差し引いた202万円が所得となります。年収700万円の会社員であれば「700万円×10%+110万円」で給与所得控除は180万円となり、年収700万円から180万円を差し引いた520万円が所得です。

雇用形態や職種によって変わらない

給与所得控除の金額は年収によって変わりますが、正社員・契約社員・パート・アルバイトといった雇用形態や職種の違いによっては変わりません。同じ年収であれば、誰でも同じ計算式で控除額が算出されます。

給与所得控除の見直しと「年収の壁」の引き上げ

給与所得控除は、これまで何度か見直しが行われてきました。2020年(令和2年)分からは控除額が一律10万円引き下げられ、控除の上限額も「年収1,000万円超で220万円」から「年収850万円超で195万円」へと縮小されており、給与所得者にとっては実質的な増税となっていました。

その後、物価上昇や最低賃金の引き上げを背景に、2025年(令和7年)分の所得税から給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられ、最低保障が適用される年収の範囲も162.5万円以下から190万円以下に拡大されました。これにより、特に年収が低い層を中心に税負担が軽減されています。

さらに2026年度(令和8年度)税制改正では、基礎控除とあわせて給与所得控除の最低保障額をさらに上乗せする特例が盛り込まれ、いわゆる「年収の壁」を178万円程度まで引き上げる方向で見直しが進められています。控除額や適用時期については毎年のように制度が変わる可能性があるため、最新の国税庁の発表を確認しておくと安心です。

給与所得控除に関する注意点

給与所得控除は会社員にとって共通の仕組みですが、状況によってはイレギュラーな対応が必要になる場合があります。代表的な注意点を2つ紹介します。

年の途中で会社を辞めた場合

年の途中で退職した場合、その時点ではその年の年収が確定していないため、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄が空欄になっていることがあります。年内に再就職する場合は再就職先で年末調整が行われますが、年内に再就職しない場合は、自分で確定申告を行って所得税の精算をする必要があります。

年収に含まれない非課税の費用がある

給与所得控除の金額は年収をもとに計算されますが、一部の費用は非課税扱いとなり、年収には含まれません。代表的なものが通勤手当(通勤定期代)です。毎月の給与に上乗せされて支給されることが多いため、源泉徴収票の支払金額にこれらが含まれていると勘違いしないよう注意しましょう。

会社員でもできる個別の節税

給与所得控除は年収に応じて自動的に決まるため、会社員が自分の意思で控除額を増やすことはできません。しかし、会社員でも年末調整や確定申告を通じて利用できる控除は他にもあります。例えば、一定額を超える特定の支出をした場合に適用される「特定支出控除」や、生命保険料を支払っている場合に利用できる「生命保険料控除」などです。これらの制度をあわせて活用することで、給与所得控除だけでは届かない部分の節税につなげることができます。

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まとめ

給与所得控除は、会社員の年収から一定額を差し引き、税金の計算のもとになる所得を小さくする仕組みです。控除額は年収によって自動的に決まり、雇用形態や職種では変わりません。2025年分からは最低保障額が65万円に引き上げられ、年収190万円以下の人は一律65万円が控除されるようになり、2026年度税制改正でもさらなる見直しが進められています。仕組みを正しく理解したうえで、特定支出控除や生命保険料控除など他の制度もあわせて確認し、無理のない範囲で節税につなげていきましょう。

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