【上岡龍太郎の名言】ツッコミは誤解されている|パペポで語った”参加する”という本質

「ツッコミ」というと、相手の失敗やボケにすかさず突っ込む——そんなイメージを持っている方は多いのではないでしょうか。

ところが、話芸の達人・上岡龍太郎さんは、パペポTVのなかでまったく違う視点からツッコミを定義していました。その言葉は、笑いの本質だけでなく、コミュニケーション全般に通じる深い洞察を含んでいます。

上岡龍太郎が語った「ツッコミは誤解されている」

まず、上岡さんの言葉をそのまま受け取ってみてください。

ツッコミというのは、ちょっと誤解されているのが、何か相手の欠点を鋭く指摘することだけがツッコミみたいに思われているけどね。 せやなくて、そこに言葉の上で参加していくね、それがツッコミなんですよ。 せやから、テレビ見てても、僕なんかも家でも、ようツッコんでるもん。 「映せこっちを」「そこやないがな」「こっち側のカメラから移さんかい」とかね。

パペポ-上岡龍太郎

「欠点を鋭く指摘する」だけではない。「言葉の上で参加していく」こと——これがツッコミの本質だと、上岡さんははっきり言っています。

一見シンプルな言葉ですが、読み返すほどに重みが増してくる名言です。

パペポTVとは?——上岡龍太郎の舞台

この言葉が生まれた『鶴瓶・上岡パペポTV』は、1987年から1998年まで読売テレビ(日テレ系列)で放送されたトーク番組です。

笑福亭鶴瓶さんと上岡龍太郎さんの2人が、台本なし・打ち合わせなしで60分間しゃべり続ける——というシンプルなスタイルが特徴でした。それでいて深夜番組としては異例の人気を誇り、最盛期には全国20局近くにネットされていました。

「見てるあんたも同罪じゃ」というキャッチコピー(糸井重里氏考案)が示すとおり、過激な発言も辞さない番組でした。それでもコアなファンがスタジオ観覧に行列を作るほど愛され続けた、伝説的な番組です。

「ツッコミ=欠点の指摘」という誤解はなぜ生まれたのか?

テレビのお笑い番組を見ていると、ボケに対してすかさず「なんでやねん!」と突っ込むシーンが繰り返されます。その印象が積み重なって、「ツッコミ=欠点や間違いを素早く指摘するもの」という固定観念が生まれたのでしょう。

しかし上岡さんは、それはツッコミの一側面にすぎないと言います。本来のツッコミとは、相手の言葉や状況に「乗っかり、参加していく」行為なのだ、と。

たとえばテレビを見ながら「映せこっちを」とつぶやく。これは別に相手の欠点を指摘しているわけではありません。目の前の状況に自分の言葉で介入し、場に参加している——それがツッコミだというのです。

「参加する」ツッコミはコミュニケーションの本質でもある

「言葉の上で参加していく」という表現は、お笑いの話にとどまりません。

日常会話でも、誰かの話に相槌を打ち、言葉を返し、場の流れに乗ることが「会話を成立させる」基本です。ただ黙って聞いているだけでは、相手はひとりでしゃべっている状態になってしまいます。

上岡さんが言う「ツッコミ」は、そうした「場への参加」そのものを指しているのではないでしょうか。正しいとか間違いとかではなく、そこに言葉で関わっていくこと——その姿勢がツッコミであり、それがコミュニケーションを豊かにする、ということだと私は読んでいます。

上岡龍太郎という人物——「恵まれない天才」の話芸

上岡龍太郎さんは1942年生まれ、京都出身の元漫才師・司会者です。1959年に「横山パンチ」の芸名で「漫画トリオ」としてデビューし、その後ピン活動に転じて関西を代表するタレントになりました。

「芸は一流、人気は二流、ギャラは三流、恵まれない天才、私が上岡龍太郎です」という自己紹介が有名で、ユーモアと自己分析を同時にやってのける話芸の人でした。

探偵!ナイトスクープの初代局長としても知られ、2000年に58歳で芸能界を突然引退。その後は2023年5月に81歳で他界するまで、メディアにほとんど姿を見せることはありませんでした。

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上岡さんが残した他の名言も深い

ツッコミ論以外にも、上岡さんはさまざまな分野で鋭い言葉を残しています。いくつか紹介します。

「苦しい時は登っている時。自分がすごいと慢心した時は、下っている時だから気をつけろ。」——努力と謙虚さの大切さを、登り下りという比喩で語ったこの言葉は、多くの人に刺さっています。

「スポーツマンくずれ、学者くずれ、みんな芸能界に行きます。では芸能人くずれはどこへ行くか、政治の世界です。」——これは現代でもそのまま当てはまると感じる人が多く、今でもSNSで頻繁に引用されています。

「夏の暑い日は道の真ん中を歩け。冬の寒い日は道の端っこを歩け。そうすれば、世の中は受け入れてくれる。」——状況に応じて自分を調整することの大切さを、日常の風景に例えた名言です。

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まとめ:ツッコミは「参加」である

上岡龍太郎さんがパペポTVで語ったツッコミ論は、一言でまとめるなら「場に言葉で参加すること」です。

相手の欠点を指摘する技術ではなく、目の前の状況に乗っかり、自分の言葉を差し込んでいく姿勢——それがツッコミであり、コミュニケーションの豊かさの源泉だということです。

テレビに向かって「そこやないがな」とつぶやくひとりの時間も、上岡さんに言わせれば立派なツッコミです。そう思うと、なんだか日常が少し楽しくなりませんか。

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