
『稲荷山誠造 ハワイの空に虹を呼ぶ』をAudibleで聴いた感想|豪快な昭和おやじと極上の演じ分け
「こんな年の重ね方をしたい」と思わせてくれる主人公でした。
香住泰さんの『稲荷山誠造 ハワイの空に虹を呼ぶ』は、シリーズ第3弾にして、ますます豪快さを増した痛快家族小説です。年齢による衰えを認めながらも、知恵・度胸・人脈・ハッタリを総動員して困った人を助ける誠造の姿が、とにかく格好いい。今回はハワイを舞台に、笑いと人情と逆転劇をたっぷり味わえました。
目次
結論:シリーズ第3弾でも勢いは落ちず、むしろさらに面白くなった
『稲荷山誠造 ハワイの空に虹を呼ぶ』は、王道の勧善懲悪・人情・家族の絆・豪快な逆転劇を楽しみたい人に向いています。
続編は回を重ねるほど勢いが落ちることもありますが、本作は逆です。これまでの登場人物が集まり、シリーズならではのお約束も増え、誠造の魅力がさらに引き立っています。細かな現実性を気にするより、年齢を重ねたヒーローが困った人を救う王道の気持ちよさに身を任せる作品です。最後まで耳を離せない吸引力がありました。
オーディオブックAudibleで確認するAudible版の基本情報
| 作品名 | 稲荷山誠造 ハワイの空に虹を呼ぶ |
|---|---|
| 著者 | 香住 泰 |
| ナレーター | 濱本 大史 |
| ジャンル | 痛快家族小説 |
| 受賞・実績 | 第1弾『稲荷山誠造 明日は晴れか』が第1回本のサナギ賞 優秀賞受賞 |
| 再生時間 | 7時間37分 |
| 聴き放題状況 | プレミアムプラン対象(対象状況は変わる場合があります) Audibleで確認する |
Audible版は2026年6月12日に配信開始、記事作成時点ではプレミアムプランの聴き放題対象として案内されています。対象状況は変わることがあるため、利用前に公式ページでご確認ください。
あらすじ|恩人を救うため、誠造がハワイへ乗り込む
関西の金融会社会長・稲荷山誠造、74歳。ある朝、送迎車に扮した男たちに拉致され、倉庫へ監禁されてしまいます。誠造を救ったのは、組織の使い走りをさせられていた青年・カイでした。カイには、最愛の妹をめぐる切実な事情があります。
恩人の涙を見た誠造は、持ち前の義理人情で立ち上がります。相手は、四国の海賊をルーツに持つ巨大組織。誠造は仲間とともに海を越え、ハワイで常識破りの救出劇へ挑みます。
⚠️ ここから先は、シリーズのお決まりの展開・登場人物の関係・終盤の感動的な場面に一部触れています。事件の具体的な決着や結末そのものは明かしていませんが、事前情報なしで楽しみたい方は、ナレーションレビューまで読み飛ばしてください。
男が惚れる、一本筋の通った昭和おやじ
誠造の魅力は、何より生き方に筋が通っていることです。締めるべきところは締め、出すべきところでは迷わず出す。困っている人を前にしたとき、損得を考えるより先に動ける。その潔さが格好よく、今の時代には少なくなった昭和の男らしさがあります。
ただの無敵な老人ではありません。自分の体力が落ちていることも理解しています。それでも、長年培った知恵・機転・人脈・度胸、そして必要なときのハッタリを使い、若い相手にも負けません。力だけではなく、人間力で勝負する姿に、一人の人間として憧れました。
人との出会いを宝物にする温かさ
誠造は一見すると頑固で強引ですが、人との縁を何より大切にします。自分を助けてくれた青年のために、危険を承知で動く。そこには計算ではなく、「受けた恩は返す」という信義があります。だからこそ、周囲にも人が集まります。誠造の行動力だけでなく、長い人生で築いてきた関係そのものが武器になるところが、このシリーズらしい魅力です。
水戸黄門のような安心感と爽快感
シリーズのお約束となった「館林」が登場する場面には、今回も思わず笑ってしまいました。水戸黄門で印籠が出る瞬間のように、「これこれ」と待っていたものが来る安心感があります。展開が分かっていても気持ちいい。むしろ分かっているからこそ盛り上がります。
近年は細かな心理描写を積み重ねる作品も多いですが、本作は天井を突き抜けるような豪快さがあります。多少のツッコミどころも含めて、最後に胸がすく王道エンターテインメントです。
第3弾でファミリーが勢揃いする楽しさ
シリーズ第3弾では、これまでの物語を支えてきた登場人物たちが集まり、チームとしての魅力がさらに増しています。誠造一人の活躍だけではなく、それぞれの人物が役割を持ち、助け合う。長くシリーズを追ってきた読者にとっては、ファミリーが揃うだけでも嬉しくなります。続編でありながら、パワーが落ちるどころか、笑いも感動も大きくなっていました。
ハワイの空気と食べ物が目に浮かぶ
今回の舞台はハワイです。道中のドタバタ、美味しそうな食べ物、気候のよい街並みが描かれ、聴いているだけで旅行気分を味わえました。懐かしいハワイの景色が浮かび、「また行きたい」と思う一方で、今の物価を考えるとランチ代はいくらになるのかと現実的な心配も頭をよぎります。その感覚まで含めて、身近なハワイ描写でした。
読者・リスナーの声
シリーズを通じて高い評価を維持しており、「読み出したら止まらない」「次回作も期待している」といった声が寄せられています。第3弾もAudible版でカスタマーレビュー4.9(2026年6月30日時点)と、シリーズ最高水準の評価を記録しています。
濱本大史さんのナレーションをレビュー
Audible版のナレーターは、前作までと同じ濱本大史さんです。濱本さんは声優事務所リマックス所属で、Audibleでは『稲荷山誠造』シリーズのほか複数の作品を朗読しています。
一人で朗読しているとは思えないほど、登場人物ごとの声色が違います。誠造のダミ声、大阪弁、若い人物、年配者まで自然に切り替わり、掛け合いを複数の声優が演じているように感じました。特に誠造の「そうでしゃろ」という独特の言い回しは耳に残ります。聴き終わったあとも、声ごと頭の中で再生されるほどのはまり役でした。
地の文を抑えることで濃い人物が際立つ
情景描写や地の文は、さらりと淡々と読みます。その抑えた語りがあるからこそ、誠造をはじめとする濃い登場人物の声が際立ちます。地の文と会話のメリハリが明確で、聴き手が場面へ入りやすい朗読でした。
Audible版をおすすめする人
- 豪快で人情味のある主人公が好きな人
- 王道の勧善懲悪と逆転劇を楽しみたい人
- シリーズ第1弾・第2弾を聴いてきた人
- ハワイを舞台にした家族小説を聴きたい人
- 関西弁と個性的な演じ分けを楽しみたい人
- 気持ちよく笑って泣ける作品を探している人
おすすめしにくい人
- 現実性を細部まで重視する人
- 静かで繊細な心理小説を求める人
- 豪快な昭和的主人公が苦手な人
- シリーズ物を途中から聴くことへ抵抗がある人
紙・Kindle・Audibleはどれがおすすめか
| 形式 | 向いている人 |
|---|---|
| Audible | 誠造の大阪弁と濱本大史さんの演じ分けを音で楽しみたい人 |
| 紙の本 | 会話や情景を自分のペースで読み返したい人 |
| Kindle | 移動中にも読み、気になる場面へすぐ戻りたい人 |
このシリーズは、誠造の声と関西弁が大きな魅力なので、Audibleとの相性が特に良い作品です。
Amazonで『稲荷山誠造 ハワイの空に虹を呼ぶ』の紙の本を探す
Amazonで『稲荷山誠造 ハワイの空に虹を呼ぶ』のKindle版を見る
よくある質問
『稲荷山誠造 ハワイの空に虹を呼ぶ』のナレーターは誰ですか?
リマックス所属の声優・濱本大史さんです。シリーズ全作を通じて担当しており、誠造の大阪弁とダミ声をはじめ、複数の人物を一人で自然に演じ分けています。
倍速でも聴きやすいですか?
関西弁のテンポよい会話が魅力なので通常速度が最もおすすめですが、1.25〜1.5倍速でも内容を十分楽しめます。展開が早くスピーディな作品なので、倍速でも置いていかれる感覚は少ないです。
Audible初心者にも向いていますか?
向いています。7時間37分と適度な長さで、関西弁のテンポよい会話と豪快な展開が続くため、オーディオブック初心者でも聴き進めやすい作品です。ただしシリーズ第3弾のため、第1弾から聴くとより楽しめます。
Audibleの聴き放題対象ですか?
記事作成時点では、Audibleプレミアムプランの聴き放題対象として配信されています。対象状況は変わる場合があるため、Audible公式ページで最新情報をご確認ください。聴き放題対象外の場合の購入方法については、聴き放題対象外の作品の買い方もあわせてご覧ください。
オーディオブックAudibleで確認するまとめ|豪快さと人情がさらに増したシリーズ第3弾
『稲荷山誠造 ハワイの空に虹を呼ぶ』は、シリーズ第3弾でも勢いが落ちず、誠造ファミリーの魅力がさらに増した痛快家族小説です。一本筋の通った誠造の生き方、王道の逆転劇、ハワイの開放的な空気、脇役まで愛着が湧く人物描写——細かなツッコミどころも吹き飛ばすほど、最後まで気持ちよく楽しめました。
濱本大史さんの朗読も、何人もの声優がいるような演じ分けで、シリーズの面白さを何倍にも高めています。これからも『男はつらいよ』のように長く続いてほしいシリーズです。Audibleを退会・解約した場合の作品の扱いが気になる方は、Audible退会後はどうなるかの記事もあわせてご覧ください。
Audible(オーディブル)を長年利用。読書が苦手で続かなかった経験から、通勤・家事・寝る前の“スキマ時間読書”として活用しています。ビジネス書(文章術/マーケティング/AI/副業/経営)や小説(新作/古典/名作)、趣味全般を中心に、学び直し・インプット習慣づくりを実践中。

