ワールドカップの審判抗議とVAR騒動、初心者はどう読み解く?エジプト対アルゼンチン戦を例に解説
2026年北中米ワールドカップのラウンド16、エジプト対アルゼンチン戦で判定を巡る抗議が大きなニュースになりました。試合終了後、エジプトサッカー協会はFIFAに正式抗議文を提出し、審判団の資格剥奪まで求める事態に発展しています。
こうした「審判への抗議」や「VAR騒動」のニュースは、ワールドカップのたびに繰り返し話題になります。ただ専門用語が多く、何が問題視されているのか初心者にはわかりにくい面もあります。
この記事では、エジプト対アルゼンチン戦の騒動を具体例として取り上げながら、VARの仕組みや過去の有名な誤審事件、そしてFIFAの対応方針まで初心者向けに整理して解説します。ニュースを読み解くための基礎知識として参考にしてください。
目次
この記事の要点
- エジプトはアルゼンチン戦(2-3)後、審判団への正式抗議文をFIFAに提出
- VARは「はっきりとした明白な間違い」を防ぐための仕組みで、判定を覆す万能装置ではない
- 2010年南アフリカ大会のランパード事件など、誤審は過去にもテクノロジー導入のきっかけとなってきた
- FIFAの審判任命は審判委員会の専権事項で、一国の抗議で審判が即交代することは基本的にない
- エジプト戦の詳しい経緯は関連記事で解説しています
なぜワールドカップで審判への抗議が話題になるのか
ワールドカップは4年に一度、世界最高峰の代表チームが激突する大会です。1点の重みが桁違いに大きいため、判定ひとつで結果が変わったと感じるファンの感情も強くなりがちです。
特に決勝トーナメントでは、敗退がそのまま代表チームの4年間の集大成の終わりを意味します。そのため誤審や疑惑の判定があると、選手や協会だけでなく国全体を巻き込む騒動に発展しやすいのです。
VARとは?導入の歴史と判定の仕組みを整理
VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)は、競技場内の映像を専門にチェックする審判が、主審の判定を映像で補助する仕組みです。国際サッカー評議会(IFAB)が2018年にルール化し、同年のロシアワールドカップで初めて本格導入されました。
VARが介入できる4つの場面
VARが確認できる対象は無制限ではなく、次の4つの場面に限定されています。得点かどうか、PKの判定、一発退場、警告・退場の人違いの4項目です。
- 得点になるかどうかの確認
- PK(ペナルティーキック)の判定
- 一発退場(レッドカード)に関わる反則の確認
- 警告・退場を与える選手の人違い
重要なのは、VARが「より良い判定」を探すための仕組みではないという点です。あくまで「はっきりとした明白な間違い」を修正するためのサポート役だと、日本サッカー協会(JFA)も説明しています。
過去のワールドカップで語り継がれる誤審事件
VAR導入前のワールドカップでは、誤審が大会の歴史に残る騒動になった例が複数あります。ここでは代表的な2つの事件を振り返ります。
2010年南アフリカ大会「ランパードの幻のゴール」
2010年南アフリカ大会の決勝トーナメント1回戦、イングランド対ドイツ戦でのシーンです。イングランドのフランク・ランパード選手が放ったシュートは明らかにゴールラインを越えていましたが、主審はゴールと認めませんでした。
このシーンはテレビのリプレー映像でも一目瞭然だったため、世界的な批判が巻き起こりました。この誤審がきっかけの一つとなり、FIFAはゴールラインテクノロジーの導入を検討し、2014年ブラジル大会から実際に採用しています。
1986年メキシコ大会「神の手」事件
さらに古い例では、1986年メキシコ大会準々決勝のアルゼンチン対イングランド戦での「神の手」事件も有名です。ディエゴ・マラドーナ選手が手でボールを叩き込んだゴールが、主審に見逃されてそのまま認められました。
当時は映像判定の仕組み自体が存在せず、誤審は人間が下す判定の一部として受け入れざるを得ませんでした。こうした積み重ねが、後年のVARやゴールラインテクノロジー導入の議論につながっていきます。
エジプト対アルゼンチン戦の抗議騒動をおさらい
試合で何が起きたのか
今回話題となっているのは、2026年7月7日に行われたラウンド16、エジプト対アルゼンチン戦です。エジプトは終盤まで2-0とリードしながら、後半終了間際に3失点を喫し、2-3で逆転負けを喫しました。
特に物議を醸したのは、後半にモスタファ・ジーコ選手が決めたゴールがVARの介入で取り消された場面です。フランス人主審のフランソワ・レテキシエ氏は、ゴールの約30秒前にエジプトの選手がアルゼンチン選手のユニフォームを引っ張ったとして反則を認定しました。
エジプト側の抗議内容
さらにアディショナルタイム直前、エジプトの選手がペナルティーエリア内で倒された場面でPKが与えられなかったことも大きな不満につながりました。試合後、エジプトサッカー協会はFIFAに正式抗議文を提出し、審判団の調査とワールドカップからの除外を要求しています。
この試合を巡る抗議の詳しい経緯や、エジプトサッカー協会が具体的に何を要求しているのかについては、エジプトが審判団のW杯追放を要求した理由は?アルゼンチン戦の誤審騒動を初心者向けに整理で詳しく解説しています。
FIFAは審判団への抗議にどう対応するのか
FIFAは今回のエジプトからの抗議について、受理したことを認めています。ただ専門メディアの報道によると、審判の任命や解任はFIFA審判委員会の専権事項であり、特定の国からの抗議によって大会中に審判が交代することは基本的にないとみられています。
実際にレテキシエ氏のパフォーマンスは今後、FIFAの内部評価の対象にはなるものの、抗議への直接的な回答というより通常の技術審査プロセスの一環とされています。つまり抗議文の提出がそのまま大会からの追放を意味するわけではない点は、初心者が押さえておきたいポイントです。
初心者が誤審・VARニュースを読み解く3つのポイント
審判やVARを巡るニュースは感情的な論調になりやすく、初心者ほど混乱しがちです。読み解く際に意識したいポイントを整理しました。
- VARは「明白な間違い」の修正が目的で、微妙な判定まですべて覆すわけではない
- 抗議文の提出=処分決定ではなく、あくまでFIFAへの申し入れの段階にすぎない
- SNS上の「トレンド」や国内メディアの論調は、必ずしも中立的な事実とは限らない
この3点を押さえておくと、大会期間中に次々と流れてくる審判関連のニュースも冷静に受け止めやすくなります。特に決勝トーナメントは1試合ごとの重みが増すため、今後も同様の騒動が起こる可能性があります。
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よくある質問
Q. VARが導入されたのはいつからですか。
A. 2018年のロシアワールドカップで初めて本格導入されました。国際サッカー評議会が同年3月にルール化を決定しています。
Q. エジプトの抗議でレテキシエ主審は交代させられますか。
A. 2026年7月10日時点で確定情報はありません。審判の任命・解任はFIFA審判委員会の専権事項とされており、一国の抗議だけで即座に交代する可能性は低いとみられています。
Q. VARはすべての判定をやり直せますか。
A. いいえ。VARが確認できるのは得点・PK・一発退場・警告退場の人違いの4場面に限定されており、あらゆる判定を覆せるわけではありません。
参考
- Al Jazeera「Egypt criticises ‘influential refereeing’ in Argentina World Cup match」
- ESPN「Egypt FA: ‘Cannot remain silent’ about decisions in Argentina match」
- The National「Will Fifa act? Egypt’s complaint puts World Cup officials under scrutiny」
- フットボールチャンネル「アルゼンチン代表が劇的逆転も“疑惑の判定”で物議」
- JFA.jp「VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)|ルールを知ろう!」
- Wikipedia「ゴールライン・テクノロジー」
まとめ
エジプト対アルゼンチン戦の抗議騒動は、VARという仕組みそのものへの理解不足や、決勝トーナメントならではの1点の重みが重なって大きなニュースになりました。VARは「明白な間違い」を防ぐための補助的な仕組みであり、抗議文の提出がすぐに処分につながるわけではないという点を押さえておくと、今後の関連報道も冷静に読み解けます。
今大会は今後も接戦が続き、同様の判定騒動が起こる可能性があります。基礎知識を持って一次情報に触れることが、正確にニュースを理解する近道です。

