視点・論点「裁量労働制の行方」内容は?対象業務・残業代・見直しを水町勇一郎が解説|8/13 4:50

NHK総合「視点・論点 裁量労働制の行方」が、2026年8月13日(木)午前4時50分から放送されます。番組表では再放送として案内され、出演するのは早稲田大学教授の水町勇一郎さん。政府が検討を進める裁量労働制の「対象のあり方」を軸に、制度の仕組みと見直しの課題を考える10分間です。

裁量労働制について検索すると、「どんな仕事が対象?」「残業代は出ないの?」「2026年に対象拡大が決まったの?」といった疑問が出てきます。結論からいうと、2026年8月時点で対象拡大が決定したわけではありません。政府資料では、健康確保や長時間労働の防止、適切な処遇などの濫用防止措置を前提に、対象のあり方を見直す検討を進める方向が示されています。

「視点・論点 裁量労働制の行方」の放送日時・出演者

番組名視点・論点 裁量労働制の行方
放送局NHK総合1・東京
放送日時2026年8月13日(木)4:50~5:00
出演水町勇一郎(早稲田大学教授)
テーマ裁量労働制の内容と、対象のあり方を見直す際の課題

番組表では「再放送」の表示があります。テーマは、政府が示した裁量労働制の見直し方向を受け、制度そのものの内容と、対象を見直す場合に何が課題になるのかを整理するものです。

結論を先取り|裁量労働制の対象拡大はまだ決まっていない

  • 対象拡大は決定事項ではなく「見直しを検討する」段階
  • 政府資料では、健康確保・長時間労働防止・適切な処遇などを前提条件としている
  • 2026年夏以降、労働政策審議会で労働時間法制を議論する方針
  • 厚生労働省は2026年7~8月に裁量労働制の実態調査を実施する計画を示している
  • 調査では本人同意・撤回、みなし労働時間、健康確保、実際に裁量があるかなども確認対象になる

つまり、「対象職種をすぐ増やす」という単純な話ではありません。制度を柔軟に使いたいという意見と、長時間労働や「名ばかり裁量」への懸念をどう両立させるかが、今回の大きな論点です。

そもそも裁量労働制とは?「働いた時間」ではなく「みなし時間」で扱う制度

裁量労働制は、業務の進め方や時間配分を労働者の裁量に委ねる必要がある一定の業務について、実際に何時間働いたかではなく、労使で定めた時間を働いたものとみなす制度です。

大きく分けると、「専門業務型裁量労働制」「企画業務型裁量労働制」の2種類があります。

種類主な対象ポイント
専門業務型研究開発、システム分析・設計、取材・編集、デザイナー、プロデューサー・ディレクターなど法令で指定された業務現在は20業務が対象。会社が自由に対象職種を決められる制度ではない
企画業務型事業運営に関する企画・立案・調査・分析など業務遂行の方法や時間配分について、使用者が具体的な指示をしないことなどの要件がある

裁量労働制の対象業務は?専門業務型は現在20業務

専門業務型裁量労働制は、厚生労働省が示す対象業務に限って導入できます。代表例として、研究開発、情報処理システムの分析・設計、新聞・出版や放送の取材・編集、コピーライター、デザイナー、放送番組や映画などのプロデューサー・ディレクター、弁護士・公認会計士などがあります。

2024年4月からはM&Aに関する調査・分析や助言などの業務が追加され、専門業務型は20業務となりました。

一方、企画業務型は「本社で企画職なら自動的に対象」というものではありません。会社の事業運営に関する企画・立案・調査・分析の業務で、仕事の進め方や時間配分に実質的な裁量があることが重要です。

裁量労働制だと残業代は出ない?「一切出ない」は誤解

裁量労働制は、実労働時間ではなく「みなし労働時間」で労働時間を計算するため、通常の時間管理とは残業代の考え方が異なります。ただし、「裁量労働制=残業代が一切出ない」ではありません

  • みなし労働時間の設定によって時間外労働の割増賃金が必要になる場合がある
  • 深夜労働や法定休日労働には、裁量労働制でも割増賃金のルールが適用される
  • 制度の要件を満たさず無効となれば、通常の労働時間規制に基づいて扱われる場合がある

個別の給与計算は契約内容や労使協定・労使委員会決議、実際の勤務状況によって異なります。「裁量だから何時間働いても同じ」とだけ理解するのは危険です。

2024年の制度改正で何が変わった?本人同意や撤回ルールを強化

2024年4月から裁量労働制のルールが改正されました。専門業務型では、対象労働者本人の同意を得ることが必要となり、同意しなかったことを理由に不利益な取り扱いをしないことなども制度運用上の重要なポイントになっています。

2026年に計画されている実態調査でも、本人同意や同意の撤回、撤回後の配置・処遇、健康・福祉確保措置、みなし労働時間の設定、実際の裁量の程度などが調査項目として挙げられています。今回の見直し議論では、対象を広げるかどうかだけでなく、2024年改正が現場で機能しているかも重要な材料になります。

なぜ2026年に見直し?経済界と労働側で意見が分かれる

裁量労働制の見直しをめぐっては、労使で考え方に違いがあります。厚生労働省の労働政策審議会資料では、制度が適正に運用されれば労働者にもメリットがあり、健康確保や長時間労働防止などとセットで拡充を議論すべきだという意見が示されています。

一方で、長時間労働になりやすい、十分な裁量や適切な処遇が確保されないケースがあるとして、まず2024年改正後の適正運用を徹底すべきだという慎重論もあります。経済界は自律的な働き方と生産性向上を重視し、労働側は働き方改革の後退につながることを警戒している構図です。

政府の2026年方針では、健康確保、長時間労働防止、適切な処遇などの濫用防止措置を前提に、現場の実態と労使双方の立場を踏まえて対象のあり方を検討するとしています。

2026年夏の実態調査で何を調べる?秋をめどに結果提示の計画

厚生労働省は、2024年改正を含めて現行制度が実際にどのように運用されているかを把握するため、2026年7月から8月にかけて実態調査を行う計画を示しています。対象は、裁量労働制を導入している事業場・労働者だけでなく、対象業務に相当する仕事がありながら制度を導入していない事業場なども含みます。

  • みなし労働時間の設定
  • 健康・福祉確保措置
  • 本人同意と撤回
  • 撤回後の配置・処遇
  • 労使委員会の機能
  • 賃金・評価制度
  • 業務遂行における実際の裁量の程度

調査結果は2026年秋をめどに示す計画です。今後の制度設計は、こうした実態データを踏まえて議論されることになります。

水町勇一郎とは?早稲田大学で労働法を研究

出演する水町勇一郎さんは、早稲田大学法学部の教授です。専門は労働法で、研究テーマは「労働法の歴史と理論」「労働法の比較研究」。『労働法〔第10版〕』『詳解 労働法〔第3版〕』『労働法入門〔新版〕』などの著書があります。

裁量労働制は、法律上の仕組みだけでなく、現場の働き方、健康確保、賃金・評価、企業の生産性まで関わるテーマです。労働法の専門家がどこを「見直しの条件」と考えるのかが、番組の注目点といえます。

ウェブの声で目立つのは「自由な働き方」と「名ばかり裁量」への不安

裁量労働制をめぐるウェブ上の反応を整理すると、「成果を重視して自分のペースで働けるなら相性がいい」という期待がある一方、「実際には上司から細かく指示されるのに、労働時間だけ裁量扱いになるのでは」という不安も目立ちます。

また、「本人同意が制度上必要でも、職場で本当に断れるのか」「専門性や責任に見合う待遇とセットで考えるべき」といった論点もあります。こうした声は、政府が掲げる健康確保・長時間労働防止・適切な処遇という条件と重なります。

裁量労働制だけではない|「柔軟な働き方」をめぐる関連記事

働き方を柔軟にする議論は、裁量労働制だけではありません。企業ではリモートワークから出社へ戻す動きもあり、制度の自由度と組織運営のバランスが問われています。関連記事「GMOが在宅勤務を完全廃止した理由は?原則出社の経緯とリモートワークの今後」もあわせてどうぞ。

また、労働時間だけでなく「休むこと」をどう捉えるかも働き方改革の重要テーマです。「杉並区長の23日間休暇は長すぎる?自治体トップが休む意義と影響を解説」では、休暇と組織運営の関係を整理しています。

賃金面の制度変更が気になる方は「最低賃金2026はいつ決まる?東京・神奈川・千葉の現在額と時給1900円試算」も参考になります。

よくある質問

「視点・論点 裁量労働制の行方」はいつ放送?

NHK総合1・東京で2026年8月13日(木)午前4時50分から5時まで放送予定です。番組表では再放送の表示があります。

出演する水町勇一郎さんはどんな人?

早稲田大学法学部教授で、労働法の歴史・理論や比較研究を専門とする研究者です。

裁量労働制の対象は誰ですか?

専門業務型は法令で指定された20業務、企画業務型は事業運営に関する企画・立案・調査・分析など、一定の要件を満たす業務が対象です。職種名だけで自動的に対象になるわけではありません。

裁量労働制では残業代は出ないのですか?

「一切出ない」という理解は正確ではありません。みなし労働時間の設定や深夜・法定休日の勤務などにより、割増賃金が必要になる場合があります。

2026年に裁量労働制の対象拡大は決まった?

2026年8月時点では、対象拡大そのものが決定したわけではありません。政府は濫用防止措置を前提に、対象のあり方について見直しを検討する方針を示しています。

2024年から何が変わりましたか?

裁量労働制の導入・継続に関する手続きが見直され、専門業務型では本人同意が必要になるなど、同意・撤回や健康確保に関するルールが強化されました。

まとめ|8月13日の「視点・論点」は裁量労働制の“対象見直し”を考える

「視点・論点 裁量労働制の行方」は、2026年8月13日午前4時50分からNHK総合で放送されます。出演は労働法を専門とする早稲田大学教授・水町勇一郎さんです。

注目したいのは、裁量労働制の対象拡大がすでに決まったわけではなく、健康確保・長時間労働防止・適切な処遇といった濫用防止策を前提に検討が進んでいる点です。現在の対象業務、残業代の考え方、2024年改正、2026年の実態調査まで押さえておくと、番組の論点が理解しやすくなります。

参考情報

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