
『倒産続きの彼女』をAudibleで聴いた感想|伏線回収と女性弁護士コンビが面白い
新川帆立さんの『倒産続きの彼女』は、『このミステリーがすごい!』大賞受賞作『元彼の遺言状』に続くシリーズ第2作です。転職するたびに勤務先が倒産する女性の謎を、対照的な女性弁護士コンビが追うリーガルミステリーで、2026年6月にAudible版が配信されました。
実際に聴いてみると、主人公が美馬玉子に交代したことで前作とは違うテンポと人間関係が生まれ、随所の伏線が終盤で一気につながる構成が印象的でした。この記事では、Audible版『倒産続きの彼女』の感想と、黒羽咲希さんのナレーションの聴きどころ・注意点を詳しくレビューします。
目次
結論|女性弁護士コンビの掛け合いと伏線回収を楽しみたい人におすすめ
『倒産続きの彼女』のAudible版は、女性弁護士コンビの掛け合いと、企業を舞台にした軽快なミステリーを耳で楽しみたい人におすすめできます。
「会社を倒産へ導く女」と噂される女性社員、経営不振のアパレル企業、首切り部屋で発見される遺体という設定がわかりやすく、続きが気になって一気に聴き進められました。前作を知らなくても事件の大筋は追えますが、『元彼の遺言状』を先に聴いておくと人物関係をより深く楽しめます。
黒羽咲希さんの朗読はテンポがよく、女性同士の会話に勢いがあります。一方で、声質や一部キャラクターの高い声は好みが分かれるため、気になる方はサンプルを確認してから聴くと安心です。
オーディオブックAudibleで確認する『倒産続きの彼女』の基本情報
| 作品名 | 倒産続きの彼女 |
|---|---|
| 著者 | 新川帆立 |
| ナレーター | 黒羽咲希 |
| ジャンル | リーガルミステリー |
| 受賞・実績 | 『このミス』大賞受賞作『元彼の遺言状』の続編/シリーズ累計100万部突破/前作は連続ドラマ化 |
| 再生時間 | 10時間3分 |
| 聴き放題状況 | 聴き放題対象(Audibleで最新の配信状況を確認する |
再生時間や聴き放題状況は、2026年7月2日時点で確認した情報です。配信状況は変更される場合があります。聴き放題(プレミアムプラン)の仕組みについては、Audible聴き放題の仕組みを解説した記事も参考にしてください。
『倒産続きの彼女』のあらすじ【ネタバレなし】
山田川村・津々井法律事務所で働く弁護士の美馬玉子は、苦手意識のある先輩弁護士・剣持麗子とコンビを組むことになります。
二人が担当するのは、経営不振に陥った老舗アパレル企業・ゴーラム商会の内部調査です。調査対象の近藤まりあは、転職するたびに勤務先が倒産していることから、「会社を倒産へ導く女」と噂されていました。
横領の疑いを調べていた玉子と麗子は、社内の「首切り部屋」と呼ばれる小部屋で遺体を発見します。企業倒産と殺人事件が絡み合い、二人は思わぬ真相へ近づいていきます。
⚠️ ここから先は、物語後半の登場人物や展開に一部触れています。結末そのものは明かしていませんが、事前情報なしで楽しみたい方は、ナレーションレビューまで読み飛ばしてください。
『倒産続きの彼女』をAudibleで聴いた感想レビュー
主人公が美馬玉子に変わり前作とは違う面白さがある
本作では、美馬玉子が物語の中心となります。
剣持麗子は自信があり、相手が誰でも強気に向かっていく弁護士です。一方の玉子は、周囲からどう見られるかを意識しながら、婚活や仕事を現実的に進めています。
正反対に見える二人が反発しながらも協力していくことで、会話にも事件捜査にも勢いが生まれます。前作と同じ主人公をそのまま動かすのではなく、視点を変えたことでシリーズの世界が広がっていました。
美馬玉子の家庭環境に温かさを感じる
玉子は複雑な家庭環境の中で育っています。
それでも、ただ不幸な過去として描かれるのではありません。周囲の大人から愛情を受け、自分なりに生き抜く力を身につけてきたことが伝わります。
婚活へ熱心に取り組む姿も、単なるぶりっ子として片づけられません。彼女なりの不安や人生設計があり、その背景を知ることで人物への見方が変わりました。
剣持麗子の新しい一面も楽しめる
前作の主人公だった剣持麗子は、本作でも強烈な存在感を放っています。
玉子の視点から見ることで、前作では見えにくかった麗子の得意分野や私生活、他人との距離の取り方が見えてきます。
高飛車で扱いにくい人物に見えても、仕事に対する責任感や、自分なりの正義を持っています。玉子との関係が変化するにつれ、麗子の新たな魅力が浮かび上がりました。
散りばめられた伏線が終盤でつながる
物語の序盤から、事件とは直接関係がなさそうな会話や人物の背景がいくつも描かれます。
それらが終盤でつながり、事件の真相だけでなく、登場人物が抱えていた感情まで見えてくる構成が秀逸でした。
伏線回収は驚かせるためだけではありません。人物同士の関係を補い、最後の感動へつなげています。途中の何気ない場面を聞き流さずに聴くと、終盤の印象がより深くなります。
犯人を予想できても楽しめる
ミステリーに慣れている人は、比較的早い段階で犯人を予想できるかもしれません。
しかし、本作の魅力は犯人当てだけではありません。企業倒産の背景、登場人物が取った行動の理由、玉子と麗子の関係がどのように変化するかも見どころです。
真相へ至る過程と伏線のつながりを楽しめるため、犯人がわかっても面白さは大きく損なわれませんでした。
キャラクター描写が長く感じる場面もある
玉子や周囲の人物の個性を細かく描くため、事件の進行だけを追いたい人には、会話や人物描写が長く感じられることがあります。
ただし、後半の伏線回収には人物の背景が関わります。早送りしすぎると、終盤の感動や人物の行動理由が伝わりにくくなるため、内容をしっかり聴くほうが楽しめます。
読者・リスナーの声
読書レビューサイトでは、対照的な女性弁護士コンビの関係性や、独特なキャラクター造形を評価する声が目立ちます。
「麗子と玉子の関係も登場人物もストーリーも独特」
出典:ブックライブ
このレビューでは、前作に続いて3作目も早く読みたいと続編への期待が語られています。ほかにも、玉子の視点から剣持麗子を描く新鮮さや、キャラクターの人間臭さを評価する感想が複数見られました。
「前作よりもバージョンアップした気がします」
出典:紀伊國屋書店(読書メーター投稿レビュー)
弁護士ものとしては変化球ながら、シリーズとしての成長を感じたという声です。一方で、玉子視点になったことで前作のような疾走感は薄れたという指摘や、事件の動機に無理を感じたという厳しめの感想もあり、評価が分かれる部分もあります。
「彼女は彼女のやり方で仕事に向き合う姿に、私は勇気づけられました」
出典:宝島社『倒産続きの彼女』特設サイト
出版社の特設サイトでは、担当編集者が玉子というキャラクターの魅力をこのように語っています。強気な麗子とは違うやり方で仕事に向き合う玉子の姿は、読者レビューでも共感を集めているポイントです。
黒羽咲希のナレーションをレビュー
Audible版のナレーションは、INSPIONエージェンシー所属の声優・ナレーター、黒羽咲希さんが担当しています。オーディオブックのほか、ゲームキャラクターやテレビCMナレーションなど幅広く活動している方です。
軽快な朗読でテンポよく聴ける
玉子と麗子の会話をテンポよく読み分け、企業調査と事件捜査が進む勢いを支えています。重くなりすぎない朗読のため、殺人事件を扱いながらも軽快なリーガルミステリーとして楽しめました。
人物の感情がわかりやすく、会話中心の場面では誰が話しているのかも比較的つかみやすいです。
声質や高音のキャラクターは好みが分かれる
朗読全体を楽しく聴けた一方で、声質には好みが分かれそうです。
鼻にかかったように感じる声や、一部のキャラクターで使われる高い声が気になる人もいるでしょう。人物を強く演じ分ける朗読が苦手な場合は、会話部分を聴きづらく感じる可能性があります。
声との相性は文章の評価とは別の問題なので、気になる場合はAudibleの商品ページにあるサンプルを確認してから聴くのがおすすめです。
『倒産続きの彼女』のAudible版が向いている人
- 女性弁護士が活躍するミステリーを聴きたい人
- 伏線が終盤でつながる物語が好きな人
- 企業を舞台にした事件ものに興味がある人
- 『元彼の遺言状』の登場人物をさらに知りたい人
- テンポのよい朗読で長編を楽しみたい人
おすすめしにくい人
- 犯人当ての難しさだけを重視する人
- キャラクター同士の会話が多い作品を苦手とする人
- 高い声を使った演じ分けが苦手な人
- 重厚で暗い企業ミステリーを求める人
- シリーズの人物関係を最初からすべて説明してほしい人
紙・Kindle・Audibleのどれがおすすめ?
伏線や人物関係を戻りながら確認したい人には、紙やKindleが向いています。玉子と麗子の会話をテンポよく楽しみたい人にはAudible版がおすすめです。
| 形式 | 向いている人 |
|---|---|
| 紙(文庫) | 伏線や人物関係を何度も確認しながら読みたい人 |
| Kindle | 人物名や気になる場面を検索しながら読みたい人 |
| Audible | 女性弁護士コンビの掛け合いを音声で楽しみたい人 |
よくある質問
『倒産続きの彼女』のナレーターは誰ですか?
INSPIONエージェンシー所属の声優・ナレーター、黒羽咲希さんです。テンポのよい軽快な朗読で、玉子と麗子の掛け合いを読み分けています。
倍速でも聴きやすいですか?
会話中心でテンポがよいため、1.2〜1.5倍速でも聴きやすい作品です。ただし、終盤につながる伏線が随所にあるため、早送りしすぎると人物の行動理由や最後の感動が伝わりにくくなります。重要な場面では通常速度に戻すのがおすすめです。
Audible初心者にも向いていますか?
向いています。設定がわかりやすく、会話の勢いで物語が進むため、初めてのオーディオブックでも入りやすい作品です。前作を知らなくても事件の大筋は追えますが、シリーズ順に聴くなら『元彼の遺言状』→『倒産続きの彼女』→『剣持麗子のワンナイト推理』の順がおすすめです。
Audibleの聴き放題対象ですか?
2026年7月2日時点では聴き放題(プレミアムプラン)の対象です。ただし、聴き放題の対象作品は入れ替わることがあります。もし対象外になった場合の購入方法は、聴き放題対象外の作品を購入する方法の記事で解説しています。
オーディオブックAudibleで確認するまとめ|犯人当てより人物と伏線回収が楽しい続編
『倒産続きの彼女』は、美馬玉子と剣持麗子という対照的な女性弁護士が、企業倒産と殺人事件の謎を追うリーガルミステリーです。
主人公の視点が変わったことで、前作とは違うテンポと人物関係を楽しめました。玉子の家庭環境にある温かさや、剣持先生の新しい一面も印象に残ります。犯人を早い段階で予想できる可能性はありますが、随所に置かれた伏線が終盤でつながる構成は見事です。
黒羽咲希さんの軽快な朗読は作品の勢いに合っています。ただし、声質や高音の演じ分けは好みが分かれるため、サンプルで相性を確認すると安心です。
なお、無料体験や聴き放題で聴いたあとに退会するとどうなるかが気になる方は、Audible退会後の変化をまとめた記事も参考にしてください。
Audible(オーディブル)を長年利用。読書が苦手で続かなかった経験から、通勤・家事・寝る前の“スキマ時間読書”として活用しています。ビジネス書(文章術/マーケティング/AI/副業/経営)や小説(新作/古典/名作)、趣味全般を中心に、学び直し・インプット習慣づくりを実践中。

