サイエンスZERO「記憶の正体は謎のコブ?」を解説|2026最新研究で分かった長期記憶の仕組み|9/20 23:30
2026年9月20日(日)23時30分からNHK Eテレで放送される『サイエンスZERO 選 記憶力アップも夢じゃない!記憶の正体は謎のコブ?』は、「記憶が生まれる瞬間を細胞レベルでどう捉えるのか」を扱うアンコール放送です。NHK公式では、脳内に現れる“コブ”のような構造、記憶を保つ仕組み、記憶力向上やPTSD治療につながる研究までを紹介する内容と案内されています。
気になるのは「謎のコブとは何か」「コブが大きければ記憶が強くなるのか」「記憶力アップは本当に可能なのか」という点です。そこで今回は番組の公式内容に加え、2026年8月に沖縄科学技術大学院大学(OIST)が公表した長期記憶研究も照らし合わせ、番組を見たあとに検索したくなる“記憶の正体”を整理します。
サイエンスZERO「記憶の正体は謎のコブ?」の放送情報
| 番組名 | サイエンスZERO 選 記憶力アップも夢じゃない!記憶の正体は謎のコブ? |
| 放送局 | NHK Eテレ |
| 放送日時 | 2026年9月20日(日)23:30~24:00 |
| 位置づけ | アンコール放送 |
| ゲスト | 田中和正さん(OIST 記憶研究ユニット) |
| 出演 | 井上咲楽さん、浅井理アナウンサー ほか |
| 主なテーマ | 記憶形成、脳内の微細構造、記憶保持、記憶力向上・PTSD研究 |
NHKオンデマンドの公式ページでは、この回の初回放送は2025年10月5日と案内されています。2026年9月20日は再放送ですが、2026年には関連分野で新しい研究成果も公表されているため、初回時とは違う視点で見直せる回です。
「謎のコブ」の正体は?記憶ができるとき脳で起きること
番組タイトルにある“謎のコブ”は、神経細胞から伸びる樹状突起にできる樹状突起スパイン(dendritic spine)と呼ばれる微細な突起を指す文脈です。スパインは別の神経細胞から信号を受け取るシナプス形成の重要な場所で、学習にともなって形や大きさが変化することが知られています。
NHK公式は、記憶ができる瞬間を細胞レベルで観察できるようになり、こうした“コブ”の変化を追うことで、記憶がどのように作られ、長く残るのかに迫ると説明しています。単に「脳のどこに保存されるか」ではなく、どの細胞群が活動し、どの接続が変わるのかを見るのが現代の記憶研究の特徴です。
OISTの田中和正准教授が率いる記憶研究ユニットでは、海馬を中心に、電気生理、カルシウムイメージング、遺伝学、光学・電子顕微鏡などを組み合わせ、記憶の符号化・想起・固定化の仕組みを研究しています。番組で紹介される細胞レベルの映像は、こうした研究手法が背景にあります。
2026年の最新研究で何が変わった?「大きいコブ=長期記憶」だけでは説明できない
2026年8月、OISTは長期記憶について新しい研究成果を公表しました。従来は、学習によって大きく・強くなったスパインがそのまま長期記憶を支える、という見方が有力でした。ところが、OISTの研究では人工冬眠のような状態でシナプスが大きく減少したあとも、特定のまとまり(クラスター)として配置された接続が残り、長期記憶との関連が見られたと報告されています。
重要なのは「スパインの大きさは無関係」という意味ではないことです。OISTの発表では、記憶を最初に作る段階ではスパインの拡大が見られる一方、長期に保持する仕組みは“個々の大きさだけ”では説明しきれない可能性が示されています。研究チーム自身も、クラスター構造と記憶保持の因果関係には今後の検証が必要だとしています。
つまり今回の再放送は、番組タイトルの「コブ」に注目しつつ、2026年時点では「どのコブが、どのような集団配置で残るのか」へ研究の焦点が広がっていると見ると理解しやすくなります。
記憶力アップは夢ではない?番組で扱う研究の意味
番組公式では、記憶力がアップする物質の特定や、PTSDの治療につながる可能性にも触れています。ただし、ここから市販のサプリメントや日常的な方法で誰でも記憶力を劇的に高められる、と結論づけることはできません。研究で扱うのは、記憶形成を支える分子や神経回路を厳密な条件で調べる基礎科学です。
記憶研究が医療に結び付く場合も、「必要な記憶を強める」だけではありません。PTSDのように強い恐怖記憶が生活に影響するケースでは、記憶を再固定する過程や、特定の記憶に関わる回路をどう扱うかが大きな課題になります。番組を見る際は、“暗記力を上げる魔法”ではなく、記憶を作る仕組みそのものを理解する研究として捉えるのがポイントです。
同じ『サイエンスZERO』の最近のテーマを追いたい方は、当サイトの小惑星トリフネと恒星食を扱った9月13日回や、浸透圧発電を扱った9月6日回もあわせてどうぞ。
出演者と研究者|田中和正さんは何を研究している?
今回の専門家として登場する田中和正さんは、OISTの記憶研究ユニットを率いる研究者です。公式プロフィールでは、記憶エングラム、海馬、システム神経科学、神経細胞・非神経細胞のリモデリングなどを研究テーマとして掲げています。
“記憶エングラム”は、特定の記憶を担う神経細胞集団やその活動パターンを考える概念です。番組で細胞レベルの変化を見る場面が出てきたときは、「一つの細胞に一つの記憶が保存される」と単純化せず、複数の細胞や接続のネットワークとして記憶を捉えると理解しやすくなります。
進行は井上咲楽さんと浅井理アナウンサー。専門研究を一般向けにほどきながら、身近な「覚える・忘れる」という経験を、細胞の変化へつないでいく構成です。
再放送をもっと楽しむための見どころ
- “コブ”が現れる、消える、形を変える映像を「記憶の痕跡」としてどう読み解くか
- 記憶を作る段階と、長期間保つ段階で同じ仕組みが働くのか
- 記憶力向上の研究と、PTSDなど医療応用の研究がどうつながるか
- 2026年のOIST発表を踏まえ、個々のスパインだけでなくクラスター構造にも注目する
特に、初回放送後に新たな研究が出たことで、「番組で紹介された理解がその後どう発展したか」を追えるのが今回のアンコール放送の面白さです。科学番組は答えを固定するものではなく、新しい実験で説明が更新されていく過程そのものが見どころになります。
よくある質問
サイエンスZERO「記憶の正体は謎のコブ?」はいつ放送?
2026年9月20日(日)23時30分からNHK Eテレで放送されます。30分番組です。
番組タイトルの「謎のコブ」とは何ですか?
神経細胞の樹状突起にあるスパインと呼ばれる微細な突起を指す文脈です。シナプス形成や学習に伴って形が変化し、記憶研究の重要な観察対象になっています。
記憶力アップする方法が番組で分かりますか?
番組は記憶形成に関わる物質や細胞レベルの研究を紹介しますが、誰でもすぐ使える暗記法や市販品の効果を保証する内容ではありません。
2026年の最新研究では何が注目されていますか?
OISTは、長期記憶を個々のスパインの大きさだけで説明するのではなく、特定のシナプスがクラスターとして残る構造との関連に注目した研究成果を2026年8月に発表しています。
まとめ|「記憶のコブ」はゴールではなく、記憶研究の入り口
『サイエンスZERO 選 記憶力アップも夢じゃない!記憶の正体は謎のコブ?』は、記憶を“気持ちや感覚”ではなく、実際に変化する神経細胞の構造として見る回です。NHK公式が示す中心テーマは、記憶形成の瞬間、スパインの変化、記憶保持、そして記憶力向上やPTSD治療につながる研究です。
さらに2026年のOIST研究を重ねると、長期記憶は「大きなコブが残ればよい」という単純な話ではなく、複数の接続がどう配置され維持されるかまで含めて考える段階に進んでいます。9月20日の再放送は、“覚えるとは脳の中で何が変わることなのか”を最新研究までつなげて考えるきっかけになる回です。

