TV

  • HOME
  • ブログ
  • TV
  • 歴史探偵「暗殺事件と日本人」内容を解説|大久保利通暗殺犯はなぜ英雄視?五・一五事件の減刑嘆願とは【10月12日再放送】|10/12 23:50

歴史探偵「暗殺事件と日本人」内容を解説|大久保利通暗殺犯はなぜ英雄視?五・一五事件の減刑嘆願とは【10月12日再放送】|10/12 23:50

10月12日(月)23時50分からNHK総合で再放送される「歴史探偵 暗殺事件と日本人」は、幕末から昭和初期までに起きた要人暗殺を並べ、事件そのものだけでなく、当時の日本人が暗殺者をどう見たのかを追う回です。

坂本龍馬、井伊直弼、大久保利通、犬養毅という名前だけを見ると「誰に殺されたのか」が気になります。しかし今回の中心は犯人当てではありません。時代が変わるにつれ、暗殺がどのように正当化され、時に実行者へ同情や支持まで集まったのかが大きなテーマになっています。

10月12日の放送日時と出演者

項目内容
放送日時2026年10月12日(月)23:50〜24:35
放送局NHK総合1・東京
番組歴史探偵 暗殺事件と日本人
司会佐藤二朗、片山千恵子
出演河合敦
リポーター秋鹿真人

10月7日に本放送された回の再放送です。帝京大学は、文学部史学科の小山俊樹教授が番組内で専門的な立場から解説すると告知しています。

番組は何を調べる?幕末から昭和までを時系列で追う

番組告知で挙げられている人物は、井伊直弼、坂本龍馬、大久保利通、犬養毅です。年代順に見ると、幕末の政治的暴力から明治政府への反発、そして昭和初期の五・一五事件へとつながります。

この並びで重要なのは、暗殺が同じ意味を持ち続けたわけではないことです。政治体制、社会不安、メディア、世論が変化するたびに、実行者の見られ方も変わっていきました。

幕末はなぜ暗殺が多発した?

幕末は、幕府を支える側と倒そうとする側、開国を進める立場と排外的な立場が激しくぶつかりました。政治の意思決定が大きく揺れ、武力で相手を排除する事件が相次ぎます。

番組では、井伊直弼や坂本龍馬の事件を入口に、なぜこの時代に暗殺が広がったのかを検証します。龍馬暗殺については今も諸説が語られるため、番組告知以上に「黒幕は誰」と断定するのではなく、暗殺が政治手段として現れやすかった社会状況を見るのがポイントです。

大久保利通暗殺犯はなぜ英雄視された?

今回の放送で特に興味深いのが、明治時代に暗殺犯を主人公にした読み物が人気になったという点です。

放送内容記録によると、大久保利通を暗殺した一団の中心人物・島田一郎を描いた「島田一郎梅雨日記」は、長い期間読まれた人気作だったと紹介されました。人を殺害した人物がなぜ物語の主人公として支持されたのか。ここに、当時の政府と旧士族の対立が見えてきます。

明治政府は近代国家づくりを進める一方、廃刀令や秩禄処分などによって武士の身分的特権を解体していきました。生活や誇りを失ったと感じる旧士族にとって、政府の中心にいた大久保は強い反発の対象になりやすい存在でした。

島田側は政府が民意を顧みず政治を行っていると批判しました。暗殺そのものが許されるわけではありませんが、政府への不満を抱える人々がその主張へ感情移入したことで、実行者が「権力へ立ち向かった人物」のように受け止められる余地が生まれたと考えられます。

明治政府は暗殺の連鎖をどう止めようとした?

番組では、大久保暗殺後の政府側の対応にも注目しています。放送内容記録では、島田一郎らが処刑された一方、大久保の葬儀が大規模に行われたことが紹介されています。

政府にとって重要だったのは、暗殺が「政治を変える有効な手段」として社会に定着するのを防ぐことでした。実行者への共感が広がれば、同じような事件を誘発しかねません。

そのため、被害者である大久保を国家に功績のある人物として公に位置づけることは、暗殺を否定する政治的な意味も持ちました。事件後の世論まで含めて見ることで、暗殺は一瞬の凶行ではなく、その後の社会認識をめぐる争いでもあったことが分かります。

五・一五事件で減刑嘆願が広がったのはなぜ?

番組後半の大きな焦点が、1932年の五・一五事件です。犬養毅首相が海軍の青年将校らに殺害されました。

普通に考えれば、首相を殺害した実行者には厳罰を求める世論が強まりそうです。ところが番組は、全国から減刑を求める声が集まった事実に注目します。

当時は経済不安や農村の困窮、政党政治への不信が強まっていました。青年将校たちは自分たちの行動を国家改造と結び付けて主張し、その姿勢に共感する人々が現れます。

ここで重要なのは、減刑を求めた人々全員が殺人を肯定していたと単純化しないことです。既存政治への強い不満が、実行者への同情や「動機は理解できる」という受け止め方につながり、結果として処罰を軽くしてほしいという世論へ広がった面がありました。

暗殺事件は政治をどう変えた?

今回の回を通して見えるのは、政治的暴力そのものだけでなく、暴力を正当化する物語が社会に広がる危うさです。

暗殺者が英雄として語られたり、実行者への大規模な同情が生まれたりすると、「目的が正しければ暴力も許される」という空気が強まりかねません。五・一五事件の後、日本の政党政治は大きく後退していきました。

番組は坂本龍馬から犬養毅までを一直線の因果関係として結ぶのではなく、それぞれの時代に人々が暗殺をどう受け止めたかを比べます。その比較によって、社会が暴力へ慣れていく過程や、政治不信が実行者への共感へ変わる怖さが浮かびます。

犯人・黒幕について番組はどこまで扱う?

「暗殺事件」という題名から、坂本龍馬の黒幕など未解決の謎を期待する人もいるかもしれません。ただ、今回の公式告知で中心に置かれているのは、個々の未解決事件の犯人特定ではありません。

むしろ、幕末に暗殺が多発した理由、大久保利通暗殺犯を主人公にした物語が人気になった理由、五・一五事件の実行者へ減刑嘆願が集まった理由です。誰が命じたのかという謎より、なぜ社会が暗殺を受け入れたり、実行者へ共感したりしたのかが今回の「真相」に近いテーマです。

前回までの歴史探偵との違い

「歴史探偵」は、史料や現地調査をもとに歴史上の出来事を別角度から見直す番組です。当サイトでは桓武天皇と京都誕生を扱った歴史探偵の記事も紹介しています。

前回までの都市史や遺跡を扱う回と比べ、今回は「人々が事件をどう受け止めたか」という世論の歴史が主役です。同じ暗殺でも、被害者と加害者だけを見るのではなく、その周囲にいた社会全体まで調査対象にしている点が特徴です。

参考にした情報

よくある質問

歴史探偵「暗殺事件と日本人」は誰を取り上げますか?

坂本龍馬、井伊直弼、大久保利通、犬養毅など、幕末から昭和初期に暗殺された要人を取り上げます。

大久保利通を暗殺した人物はなぜ支持されたのですか?

旧士族を中心に明治政府への強い不満があり、暗殺側が掲げた政府批判に共感する人がいました。番組では島田一郎を描いた読み物が人気になった背景から、その社会心理を探ります。

五・一五事件で減刑を求める声が広がったのはなぜですか?

政党政治への不信や経済・農村問題への不満が強い時代で、青年将校らの国家改造を掲げる主張に同情する人々が現れたことが背景の一つです。

まとめ

「歴史探偵 暗殺事件と日本人」は、坂本龍馬や大久保利通、犬養毅らの暗殺を並べるだけの回ではありません。日本社会が暗殺と暗殺者をどう評価してきたのかをたどることで、政治不信と暴力が結び付く過程を描く回です。

大久保利通暗殺犯が物語の主人公として人気を集め、五・一五事件では実行者への減刑嘆願が広がりました。事件の「犯人」だけではなく、それを支持・同情した社会まで見ることが、今回の放送を理解する最大のポイントです。

このテーマの関連記事はこちら