プログラミング教育のスクラッチを初心者が理解するための6ポイント

小学校からプログラミング教育がはじまるにあたって、多くの学校ではスクラッチ(Scratch)を採用すると言われています。しかしITやパソコンが不得意なお母さんやお父さんのなかには、「スクラッチ」と聞いても、よくわからない人もいるでしょう。
記事では「なぜスクラッチ(Scratch)が子供のプログラミング教育に適しているのか」「スクラッチ(Scratch)の特徴や不安な点」などを、初心者でもわかりやすく解説します。

 

スクラッチ(Scratch)は子供向けのビジュアルプログラミング

スクラッチ(Scratch)の大きな特徴は、ビジュアルプログラミングであることです。普通、プログラミングといえば、キーボードを使って文字列を打ち込んでいく様子をイメージします。しかし、ビジュアルプログラミングでは、マウスを使ったドラッグ・アンド・ドロップによってプログラミングをするのです。

スクラッチ(Scratch)では、子供でも楽しくプログラミングできるようにデザインされています。操作するブロックがカラフルだったり、動かすオブジェクトが猫のキャラクターをしていたり、子供が親しみやすいデザインであることが特徴です。

スクラッチ(Scratch)操作画面のキャプション画像

ポイント1_作ってから学ぶ

普通コーディングによるプログラミングを、初心者の子供に教えようとしても難しいでしょう。それは大人であっても同じこと。初心者の場合、プログラミングをすること自体、ハードルが高いと言われています。それは、専門知識を勉強しなければならないし、パソコンやキーボードの使い方も身につけないといけないからです。

しかしスクラッチ(Scratch)なら初心者の子供でも、マウス操作などを少しレクチャーするだけで、プログラミングを完成させることができるでしょう。完成してから、理論や構造について学習することができます。

普通のプログラミングが「勉強してから作る」のに対し、スクラッチ(Scratch)では「作ってから勉強する」のです。これは、初心者にとってはプログラミング教育の敷居が低いことを意味します。スクラッチ(Scratch)ならではのメリットだといえるでしょう。

ポイント2_とりあえず完成できる

スクラッチ(Scratch)でプログラミングをすると、とりあえず完成させることができます。これも大きなメリットのひとつです。普通のコーディングのプログラムでは、たった一文字スペルミスをしただけで、プログラムは動きません。そして、初心者にはその間違った箇所を探し出すこと自体が難しいのです。学習の進捗が遅れるとやる気が削がれてしまい、最悪の場合、中途半端にやめてしまいます。
つまり、スクラッチ(Scratch)では、プログラミングを完成させることが容易なので、挫折する可能性が低いのです。

ポイント3_子供の発想を伸ばす

スクラッチ(Scratch)には、「達成したらゴール」のような目標はありません。ただプログラミングする学習環境があるだけです。そのため子どもたちは自由な発想の元、プログラミングをすることになります。
しかし学校では、教育カリキュラムが組まれることが予想できるでしょう。ポイントとなるのは、子供が興味を示す内容になっているかどうかではないでしょうか。
つまり、子供の発想を伸ばすも、潰すも授業内容によると考えられます。

ポイント4_ロジック思考が身に付く

プログラミングには、アルゴリズムやデバッグという概念が存在します。これらはプログラミングをするときにしか役立たない考えだと思われがちですが、日常生活にも浸透している考え方です。

例えば、八百屋で100円の人参を買うとき、財布に10円が10枚、50円が1枚入っていたとして、どのように支払うのが最適かを考えて実行することは、アルゴリズムに通じます。実際には、あらゆる条件を想定して、最適な方法を導き出すことになります。
またデバッグとは、簡単に言えば間違いを見つけることです。自転車が動かなくなったとき、タイヤのパンクか、ギアが外れているのか、それとも鍵がかかったままなのか、その原因を追求します。

このように論理建てて考える習慣を、プログラミング教育を通して学ぶことができるでしょう。ロジック思考が身につけば、他人になにかを説明する能力なども向上します。

スクラッチ(Scratch)に対する不安

小学校のプログラミング教育にスクラッチ(Scratch)を採用することに、不安を感じる声もあります。スクラッチ(Scratch)は優れたビジュアルプログラミング言語であり学習環境です。しかし、考え方によってはデメリットに感じられる点もあります。

ポイント5_簡単すぎて飽きやすい

スクラッチ(Scratch)は初心者でもすぐに操作できるように、簡単な作りになっています。そのシンプルな作りが裏目に出てしまい、すぐに飽きてしまう子供が出てくることも予想できるのです。
飽きてしまうということは、授業に対する熱意が失われるということ。教育は本人のやる気がなければ「暖簾に腕押し」状態になり効果が期待できません。
スクラッチ(Scratch)の学習環境としての可能性は無限大なので、魅力的な教材の作成が望まれています。

ポイント6_本格的なプログラミングと直結しにくい

プログラミング的思考を養うためにはスクラッチ(Scratch)は有効です。しかし、実際に商業ベースのプログラミングとは、具体的には違うものであるため、技術がつながりません。つまりスクラッチ(Scratch)がスラスラできるだけでは、コーディングによるいわゆる普通のプログラミングは書けないのです。

「それでは意味がない」と考える人もいるでしょう。しかしスクラッチ(Scratch)はプログラミングを学習するためのツールであることを忘れてはいけません。そして初心者が初めてプログラミングに触れる時には有効なプログラミング学習環境になることは確かなのです。

大切なことは子供の興味にマッチした道筋を用意してあげることではないでしょうか。スクラッチ(Scratch)で入門した子供が、本格的にプログラミングを学びたいと要求したときに、スムーズに専門的なプログラミング技術を学ぶ方法を提示してあげることが大切です。

アメリカの大学では、スクラッチ(Scratch)のようなビジュアルプログラミングを最初に学び、それから本格的なプログラミングを学ぶ手順を踏んだほうが、最初から本格的なプログラミングに取り組んだ学生より、覚えが良かったという調査結果もあるといいます。

子供の興味に合わせたプログラミング教育

スクラッチ(Scratch)の良いところは、プログラミング学習をする際に敷居が低いということ。そのため多くの子供達が挫折せずに取り組めます。
パソコンやプログラミングに慣れることができたら、興味を引き出し継続させることが大切です。そのために、小学校などでは授業内容やカリキュラムに工夫が求められています。


しかし子どもたちのなかでも、プログラミングが得意な子供や不得意な子供、好きな子供や嫌いな子供が出てくるでしょう。彼ら一人ひとりにカスタマイズした授業内容を考えることは、学校だけに頼ると難しいかも知れません。

もし、子供がプログラミングを深く学びたいと思っていて、学校の授業が物足りないと感じていたら、スクールや教本を一緒に選んでみるのも良いかも知れません。
お母さんやお父さんは、子どもたちの興味やレベルに合わせて、一緒にプログラミングを学んでいく姿勢が求められています。
スクラッチ(Scratch)はあくまでもプログラミング教育のひとつのツールとして考えておくと良いでしょう。

 

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