NHKスペシャル「海獣のいる海」俵静夫とは?礼文島で半世紀トドと向き合った漁師【10月12日再放送】|10/12 23:35
10月12日(月)23時35分からNHK総合1・札幌で「NHKスペシャル 海獣のいる海 あるトド撃ちの生涯」が再放送されます。
北海道・礼文島で“伝説のトド撃ち”と呼ばれた漁師、俵静夫さんを追ったドキュメンタリーです。北の海に生きる大型の海獣・トドと、漁業で暮らす人間。その関係を「害獣だから駆除する」という一言で終わらせず、命を奪うことと生きることを静かな映像で見つめます。
「俵静夫さんはどんな人?」「なぜトドを撃つ必要がある?」「礼文島でトドと人はどんな関係にある?」という点を中心に、放送前に確認できる情報をまとめました。
10月12日の放送日時と語り
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 番組名 | NHKスペシャル 海獣のいる海 あるトド撃ちの生涯 |
| 放送日時 | 2026年10月12日(月)23:35〜翌0:25 |
| 放送局 | NHK総合1・札幌 |
| 語り | 田中泯 |
| 舞台 | 北海道・礼文島 |
| 初回放送 | 2024年12月8日 |
10月12日の札幌地区の番組表では、23時35分から翌0時25分までの再放送として掲載されています。
NHKオンデマンドの公式ページでは本作の初回放送が2024年12月8日だったこと、語りを田中泯さんが担当したことを確認できます。今回の放送は新作ではなく、評価を受けて繰り返し見られてきた作品を改めて視聴できる機会です。
俵静夫とは?「伝説のトド撃ち」と呼ばれた漁師
番組の中心人物は、礼文島で暮らしてきた漁師の俵静夫さん、88歳です。
放送文化基金の作品紹介によると、俵さんは厳寒の海へ小舟で出て、体重1トンにもなるトドを半世紀以上にわたり仕留めてきました。その腕前は、一発で的確に仕留める技に並ぶ者は今後現れないとさえ語られるほどだったといいます。
重要なのは、俵さんが単に狩猟技術に優れた人物として描かれているわけではないことです。
番組が見つめるのは、命を奪う行為を仕事として繰り返してきた人が、その行為をどう受け止め、自分自身の人生とどう向き合ってきたのかという部分です。NHKオンデマンドの紹介では、俵さんが「あらゆる命に対して真摯に向き合う」姿を記録した作品と説明されています。
礼文島ではトドが身近な存在だった
放送文化基金の概要によると、かつて礼文島ではトドは貴重なタンパク源でもありました。
つまり、人とトドの関係は最初から「漁業を荒らす動物を排除する」という単純なものではありません。食べる対象であり、海で共に生きる動物でもあり、その後は漁業被害を減らすための駆除対象になっていきました。
その変化を長い時間の中で経験してきた俵さんだからこそ、番組の言葉には重みがあります。
なぜ北海道ではトドを撃つのか?
NHKオンデマンド公式では、北海道周辺でトドによる深刻な漁業被害があり、特別に駆除が認められてきたと説明されています。
漁師にとって海は生活の場です。魚を獲るための網が壊されたり、漁獲への影響が大きくなったりすれば、その被害はそのまま暮らしに直結します。
一方で、番組は「被害があるから撃つ」という説明だけにはとどまりません。
放送文化基金の紹介には、俵さん自身が「人間が魚を取りすぎたからだ」という趣旨の言葉を残していることが記されています。トドを敵と決めつけるのではなく、人間側の漁のあり方まで含めて海の変化を考えていたことが分かります。
この視点が、「海獣のいる海」という題名にもつながっています。海は人間だけのものでも、トドだけのものでもありません。同じ魚を求め、同じ海を生活の場にする存在同士がぶつかる現実を、番組は俵さんの人生を通して描きます。
トドは絶滅危惧種なのに駆除されるの?
番組紹介では、トドについて「国によっては絶滅危惧種に指定されている」大型の肉食獣と説明されています。
その一方、北海道周辺では漁業被害を理由に駆除が認められてきたという、一見すると矛盾するような状況があります。
ここで大切なのは、「保護すべき動物」と「漁業被害をもたらす動物」という二つの見方のどちらか一方だけで理解しないことです。番組は、まさにその間に立ってきた俵さんを通じて、自然と人間の暮らしの折り合いの難しさを見せます。
トドの命を奪うことに慣れきってしまうのではなく、その重さを引き受けながら海へ出る。そこに本作の大きなテーマがあります。
礼文島の映像が高く評価された作品
「海獣のいる海」は、第51回放送文化基金賞のドキュメンタリー部門・優秀賞を受賞しています。
放送文化基金の選考理由では、ドローンによる北の島と海の映像の美しさ、魚を奪うトドを殺さざるを得ない漁師たちの厳しい暮らし、そしてトド撃ち名人と呼ばれた老人の生涯を追う物語性が評価されています。
礼文島という土地を知るうえでも、映像は大きな見どころです。
礼文島は観光地として花や自然景観が知られていますが、この作品では観光の視点ではなく、冬の厳しい海で生きる漁師の側から島が映し出されます。
礼文島の暮らしや風土に関心がある方は、新日本風土記「利尻・礼文」の記事もあわせて読むと、同じ地域を別の角度から知ることができます。
田中泯の語りも見どころ
語りを担当するのは、俳優・舞踊家の田中泯さんです。
田中泯さんの公式サイトでも、2024年12月8日の初回放送時にナレーション出演が案内されていました。
本作は、説明を次々に重ねるタイプのドキュメンタリーではなく、海や漁師の表情、動作、沈黙そのものを見せる時間が重要です。その中で田中泯さんの落ち着いた語りが入り、映像と人物の言葉をつないでいきます。
俵さんが何を考えているのかを外側から決めつけるのではなく、本人の言葉と海の映像を受け止めるように見ると、番組が伝えようとしているものがより感じやすくなります。
「命を奪う」ことをどう描く番組なのか
この番組では、トド撃ちという行為そのものが中心にあります。
しかし、それを刺激的な映像として見せることが目的ではありません。NHKオンデマンドの紹介文にあるのは、「人間が生きるために、トドの命を奪う」という問題に向き合い続けた老漁師の姿です。
私たちは日常生活の中で、食べ物がどこから来たのか、誰が命を扱っているのかを意識せずに暮らすことができます。俵さんの仕事は、その見えにくくなった部分を直接引き受けるものでもあります。
だからこそ、本作はトド猟だけの特殊な物語ではなく、「自分が生きるために別の命をもらうことをどう考えるか」という普遍的な問いへつながります。
番組詳細にある「現代人が失った“命”への眼差し」という言葉は、この回を見るうえで大きな手がかりです。
初回放送後も評価が続いた理由
本作は2024年12月の初回放送後、2025年には放送文化基金賞を受賞し、再放送も行われました。
放送文化基金の受賞紹介では、単に社会問題を説明した点ではなく、一人の老漁師の人生を追うことで物語として視聴者に届いたことが評価されています。
制作側の受賞コメントでは、俵さんとの取材が非常に緊張感のある時間だったこと、命との向き合い方や自然との距離感、生き方に大きな影響を受けたことが記されています。
取材対象を「トド撃ちの名人」として消費せず、その人生の終盤に立ち会いながら何を残せるかを考えて作られた作品であることが伝わります。
制作スタッフと取材の背景
放送文化基金の受賞ページでは、ディレクターを長谷川悠さんと班学人さん、制作統括を旗手啓介さんと重藤里彰さんが担当したことが公開されています。撮影には上杉篤也さん、北方空撮の那珂英一さん・那珂義也さんらが参加し、海上と空から礼文島の風景を記録しました。
受賞コメントで長谷川悠さんは、俵さんとの時間について強い緊張感があったこと、命との向き合い方や自然との距離感、生き方に大きな影響を受けたと振り返っています。作品が一人の名人を紹介するだけでなく、取材する側も揺さぶられながら作られたことが分かります。 また、放送文化基金の作品概要では、俵さんが50年以上トドを仕留め続けてきたことも改めて記されており、長期にわたる経験そのものが作品の土台になっています。
見逃し配信・NHKオンデマンド
NHKオンデマンドには「海獣のいる海 あるトド撃ちの生涯」の作品ページがあります。
ただし、配信の購入期限や視聴条件は時期によって変わるため、実際に見る際はNHKオンデマンドの作品ページで最新の表示を確認してください。
10月12日のテレビ放送は札幌地区のNHK総合で23時35分からです。北海道内でも地域によって番組表の表示を確認しておくと安心です。
参考にした情報
- NHKオンデマンド「NHKスペシャル 海獣のいる海 あるトド撃ちの生涯」
- Gガイド「NHKスペシャル 海獣のいる海 あるトド撃ちの生涯」
- 放送文化基金「NHKスペシャル 海獣のいる海 あるトド撃ちの生涯」
- 田中泯公式サイト「ナレーション出演 情報」
よくある質問
俵静夫さんはどんな人ですか?
北海道・礼文島で半世紀以上トド猟に携わり、“伝説のトド撃ち”と呼ばれた漁師です。番組では88歳の俵さんの日々と命への向き合い方を記録しています。
なぜ礼文島でトドを駆除するのですか?
北海道周辺ではトドによる深刻な漁業被害があり、特別に駆除が認められてきたためです。ただし番組では、人間側の漁のあり方も含めて単純ではない関係として描かれます。
語りを担当するのは誰ですか?
俳優・舞踊家の田中泯さんです。NHKオンデマンドと田中泯さんの公式サイトで確認できます。
まとめ
「NHKスペシャル 海獣のいる海 あるトド撃ちの生涯」は、礼文島の“伝説のトド撃ち”俵静夫さんを通して、人間とトドが同じ海で生きることの難しさを見つめるドキュメンタリーです。
漁業被害を防ぐために命を奪う一方で、俵さん自身は人間の側にも海を変えてきた責任があると考えていました。美しい北の海の映像と田中泯さんの語りの中で、「生きるために命をもらうとは何か」を静かに考えさせる作品です。

