いまからサイエンス10月14日「人工血液」とは?木下学教授の人工血小板・人工赤血球を解説|10/14 22:00
10月14日(水)22時からの「いまからサイエンス」は、人工血液がテーマです。血液不足や大規模災害、事故などで輸血が必要になったとき、保存期間や血液型の制約を超えて使える血液代替物の研究を取り上げます。
ゲストは防衛医科大学校の木下学教授。番組では人工血小板と人工赤血球の研究に注目し、「血液の約50倍長持ち」「血液型に関係なく輸血できる可能性」といった特徴を紹介します。
ここでは、放送前に公式発表されている内容をもとに、人工血液の何が画期的なのかを整理します。
10月14日の放送日時と出演者
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 放送日時 | 2026年10月14日(水)22:00〜22:55 |
| 放送局 | BSテレ東4K/BSテレ東 |
| 番組 | いまからサイエンス |
| MC | 加藤浩次 |
| 出演 | 古旗笑佳(テレビ東京アナウンサー) |
| ゲスト | 木下学(防衛医科大学校・教授) |
| テーマ | 人工血液・人工血小板・人工赤血球 |
番組を進行する加藤浩次さんのプロフィールでは、これまでの活動や出演番組をまとめています。
前回10月7日は、2026年ノーベル生理学・医学賞とも関わる「小胞体ストレス応答」をテーマに、森和俊さんの研究が取り上げられました。前回についてはいまからサイエンス森和俊|小胞体ストレス応答とは?で詳しく紹介しています。
人工血液とは?なぜ必要なのか
人工血液という言葉から「血液そのものを人工的に丸ごと作る」ものを想像するかもしれません。今回の番組で中心になるのは、血液の重要な働きを担う成分を人工的に補う人工血小板や人工赤血球です。
血液には、酸素を運ぶ赤血球、出血した場所で止血に関わる血小板、さまざまな成分を運ぶ血漿などがあります。大量出血では、単に血液量を戻すだけではなく、酸素を運ぶ働きと出血を止める働きを同時に支える必要があります。
番組公式は、日本社会が将来直面する可能性がある問題として「血液不足」を挙げています。献血によって支えられている輸血医療は不可欠ですが、災害や事故で一度に多くの輸血が必要になった場合、必要な量をすぐに確保できるとは限りません。
防衛医科大学校の研究紹介でも、離島・へき地、夜間救急、緊急手術、大規模災害などでは、危機的な大量出血の患者に輸血が間に合わない状況が起こり得ると説明されています。そこで、長期間保存でき、必要な場所に備蓄しやすい血液代替物が期待されています。
人工血小板は何をするもの?
血小板は、けがなどで血管が傷ついたとき、出血した場所に集まって止血に関わる重要な成分です。大量出血時には血小板も失われるため、止血する力が低下すると、さらに出血が止まりにくくなる悪循環が起こります。
木下学教授らが研究してきた人工血小板は、出血部位で止血を助けることを目的とした血小板代替物です。防衛医科大学校の研究報告では、出血性ショックを想定した研究で人工血小板を用い、止血や救命への効果を検討してきたことが示されています。
番組公式では、人工血小板の開発を目指すきっかけや、「リアルDr.コトー」と表現される経験が紹介される予定です。研究の仕組みそのものだけでなく、なぜ木下教授がこのテーマに取り組むようになったのかという開発の背景まで掘り下げます。
また、防衛省の防衛白書でも、人工血小板の研究は実用化できれば戦傷医療に有用となる可能性がある研究として触れられています。大量出血への対応は一般の救急医療だけでなく、災害や遠隔地、十分な輸血体制を確保しにくい現場でも重要な課題です。
人工赤血球は何をするもの?
赤血球の大きな役割は、肺で取り込んだ酸素を体の各組織へ運ぶことです。大量出血で赤血球が減ると、体内に酸素を届ける能力が低下し、生命維持に大きな影響が出ます。
防衛医科大学校では、人工赤血球としてヘモグロビンベシクルの研究が行われています。大学の研究紹介では、長期間備蓄でき、血液型不一致や感染の心配を減らし、必要なときに投与できる製剤を目指して研究が進められていると説明されています。
人工血小板が「出血を止める」役割を補うのに対し、人工赤血球は「酸素を運ぶ」役割を補うものです。今回の番組で人工血小板と人工赤血球の両方が紹介されることで、人工血液が一つの万能な液体ではなく、血液の機能ごとに研究が進められていることが分かりやすくなりそうです。
血液型を問わず輸血できるとは?
通常の輸血では、患者と輸血する血液の血液型を確認することが欠かせません。型が合わない血液を輸血すると重大な問題につながるため、緊急時でも適合確認は極めて重要です。
一方、今回取り上げられる人工血液の研究は、血液型の違いに左右されにくい製剤を目指しています。BSテレ東公式は「血液型に関係なく輸血が可能」と紹介し、この点を人工血液の大きな可能性として挙げています。
これが実用化されれば、患者の血液型に合わせた製剤を何種類も同じ割合で備蓄する必要性を減らし、災害や救急の初動で使いやすくなる可能性があります。ただし、現在は研究・開発が続いている段階であり、番組の予告だけから一般診療での実用化時期を断定することはできません。
「血液の約50倍長持ち」とは何がすごい?
番組公式は、今回の人工血液について「血液の約50倍長持ち」と紹介しています。輸血用血液は保存期間や保存条件に制約があるため、長期間保存できる製剤が実現すれば、必要な場所へあらかじめ備えておくという発想が大きく広がります。
人工血小板の研究では、長期間の保存を可能にすることが重要なテーマの一つです。過去の学会講演でも、木下教授は人工血小板について長期保存性を特徴として挙げています。
特に大規模災害では、発生後に血液を集めて運ぶだけでなく、発生直後から治療を始められる体制が求められます。保存性の高い人工血液が備蓄できれば、病院だけでなく、輸送に時間がかかる地域や災害拠点などでの選択肢が増える可能性があります。
人工血液が災害医療を変える可能性
番組の大きな切り口は「災害医療に革命を起こすか」です。地震や大規模事故では、短時間に多数の負傷者が出る可能性があります。
出血が激しい患者では、治療開始までの時間が非常に重要です。
人工血液が長期保存でき、血液型の制約が少なく、現場近くに備蓄できるようになれば、従来の輸血を補う手段として役立つ可能性があります。特に「血液が届くまで待つ」のではなく、「必要な場所にあらかじめ置いておく」という体制を作れる点が大きな意味を持ちます。
防衛医科大学校でこうした研究が進む背景には、災害や外傷だけでなく、輸血体制が限られる特殊な環境で救命する必要があるという課題があります。今回の放送では、研究室の技術だけでなく、実際の救命現場で何が不足しているのかという視点にも注目です。
木下学教授はどんな研究者?
木下学教授は、防衛医科大学校の医学教育部医学科で免疫・微生物学を担当しています。防衛医科大学校公式の教官紹介では、防衛医科大学校卒業後に航空自衛隊の外科医官として勤務し、防衛医科大学校や海外留学などを経て研究・教育に携わってきた経歴が紹介されています。
現在の研究は、免疫、感染、外科侵襲、ショック、多臓器不全など幅広いテーマに及びます。人工血小板は、こうした「重症患者をどう救命するか」という研究の延長線上にあるテーマの一つです。
今回の番組では、論文や実験結果だけでなく、人工血液開発を始めるきっかけとなった現場経験や、米国国防総省が研究に強い関心を示したというエピソードも予告されています。研究がなぜ世界的に注目されているのかを知るうえで、木下教授の臨床経験と研究のつながりが重要なポイントになります。
血液を「粉状」にする構想とは?
BSテレ東の予告には、木下教授の野望として「血液を粉状にすること」という印象的な表現もあります。
これは、血液代替物をより保存・輸送しやすい形にして、必要なときに使える製剤へ近づける考え方と関連するテーマです。液体の血液製剤は温度管理や保存期限、輸送体制が大きな課題になりますが、より安定した形で保管できれば、救急や災害対応の選択肢が広がります。
ただし、番組放送前の公式情報では、どの成分をどの方法で粉末化し、いつ実用化できるかまで確定的には示されていません。放送では、研究段階のアイデアと、すでに実験で確認されている成果を分けて聞くことが大切です。
前回10月7日は小胞体ストレス応答
前回10月7日放送では、細胞内の小胞体と「小胞体ストレス応答」がテーマでした。今回は人工血液という医療応用に近い研究へ移り、日常の医療や災害時の救命に直結しやすい内容になっています。
「いまからサイエンス」は、研究成果そのものだけでなく、研究者がなぜそのテーマにたどり着いたのか、社会のどんな課題を解決しようとしているのかまで紹介する番組です。人工血液回も、難しい医療技術を「血液不足」「災害」「救急」という身近な問題から理解できる構成になりそうです。
見逃し配信はある?
BSテレ東の番組公式ページでは、過去回の動画が期間限定で掲載されています。10月7日放送回も公式ページ上で配信期間が案内されており、放送回によって視聴できる期間が設定されています。
10月14日の人工血液回も、放送後に公式ページの動画欄を確認すると、見逃し視聴の案内が表示される可能性があります。配信の有無や終了日時は放送後の公式表示で確認するのが確実です。
参考にした情報
- BSテレ東「いまからサイエンス」10月14日放送回
- BSテレ東「いまからサイエンス」公式
- 防衛医科大学校「木下学 教授」
- 防衛医科大学校「免疫微生物学」
- 防衛省「令和7年版防衛白書」戦傷医療対処能力の抜本的強化
よくある質問
10月14日の「いまからサイエンス」は何がテーマですか?
人工血液です。木下学教授をゲストに、人工血小板と人工赤血球、長期保存、血液型を問わない輸血の可能性などを取り上げます。
人工血小板と人工赤血球は何が違いますか?
人工血小板は出血した場所で止血を助ける役割、人工赤血球は酸素を運ぶ役割を補うことを目指す血液代替物です。
人工血液はもう病院で普通に使えるのですか?
番組公式では最先端研究として紹介されており、一般診療での実用化時期は確定情報として示されていません。研究・開発が進められている段階として見る必要があります。
ゲストの木下学教授はどこの研究者ですか?
防衛医科大学校・医学教育部医学科の教授で、免疫・微生物学を担当しています。
まとめ
10月14日の「いまからサイエンス」は、輸血医療の課題を変える可能性がある人工血液を特集します。ゲストの木下学教授が、人工血小板と人工赤血球の研究、長期保存、血液型に左右されにくい製剤を目指す理由を解説します。
注目したいのは、単に「人工の血液を作る」という話ではなく、止血と酸素運搬という血液の重要な働きを分けて補い、災害や救急の現場で必要なときに使える仕組みを作ろうとしている点です。人工血液がどこまで実用化に近づいているのか、研究者が現場の課題をどう解決しようとしているのかを理解する回になりそうです。

