3大栄養素と5大栄養素の違いと効率よく摂取するコツ
人間は、生きていく上で必ず食事をします。食事を摂取することで、いろいろな栄養素が得られることを知っている人は多いでしょう。しかし、具体的にどのような栄養素が摂取できるのかを、知る人は少ないかもしれません。
栄養素の働きを知り、人体にどのような影響を与えるのか知ることは、健康維持を考える上でなくてはならないことです。
栄養素は、ただ摂取すればいいというものではなく、バランスよく摂取することが大切だといえるでしょう。栄養素の役割や適切な摂取の仕方を解説します。
目次
栄養素とは一体なにか?
食事から摂取できる栄養素とは、食べ物に含まれている成分のことです。
人間は赤ん坊として生まれてから死ぬまでの間、食べ物から栄養素を摂取します。栄養素を摂取することで、体を作り、動かすことができるのです。
健康的な体作りや、人間が成長して大きくなっていくためにも、栄養素は欠かせません。つまり、生物が生きていく上で、不可欠なものが栄養素なのです。
食事によって体内に取り込まれた栄養素は、消化されて吸収されます。吸収された成分は、活動するためのエネルギーとなるのです。この一連の流れを代謝といいます。
栄養素の役割
栄養素の役割は大きく3つに分けることができます。
まず1つ目の役割は「体を作る」ことです。肉や魚、卵や牛乳などの乳製品、豆類などに含まれる栄養素がこの役割を担います。「体を作る」とは、具体的に髪の毛や爪が伸びることをイメージするとわかりやすいかもしれません。これらはたんぱく質という栄養素によるものです。たんぱく質は、人体を構成するすべての部分に関係している栄養素だと言われており、特に重要なものだといえるでしょう。また歯が生えてきたり、成長に伴って骨が大きくなったりすることは、ミネラルや脂質という栄養素が影響しています。
栄養素の2つ目の役割は、「エネルギーになる」ことです。ご飯やパンなどを構成する糖質は炭水化物ともいわれており、エネルギーとなる栄養素です。この糖質が不足すると、「体を作る」たんぱく質が、代わりとなってエネルギー源となるでしょう。人は動くときにエネルギーを多く消費すると言われていますが、表面的に動かなくても、心臓などの内蔵は絶えず動いており、エネルギーを消費しています。
栄養素の3つ目の役割は「体の調子を整える」ことです。主な栄養素として、ビタミンとミネラルが挙げられるでしょう。ビタミンやミネラルには、人間が生きるために必要な物質を体内に作り出したり、体温調節をして体の状態を一定に保ったりする働きがあります。一部を除き、ビタミンやミネラルは体の中で作ることができません。そのため食べ物から摂取する必要があるのです。
【3大栄養素】たんぱく質は体を作る
たんぱく質とは3大栄養素のひとつであり、「体を作る」栄養素の代表格。タンパク質を含む具体的な食品は、牛肉などのお肉、魚や卵、大豆などの豆類が一般的です。ほかに、牛乳やヨーグルトなどの乳製品も該当するでしょう。
複数のアミノ酸が結合したものをたんぱく質と呼びます。アミノ酸のなかには必須アミノ酸と呼ばれるものがあり、人間の体内で作ることはできません。しかし、体には必要なものと言われているのです。
たんぱく質は食べ物として体の中に取り入れられると、消化・分解されてアミノ酸に変化します。アミノ酸は、髪の毛や爪のほか、筋肉や皮膚や各臓器など、人体を構成するほぼすべての物質を作るために必要だといわれているのです。
エネルギーとして必要な糖質が少ない時には、たんぱく質が代わりに分解されて代用されます。つまり糖質の不足は、たんぱく質が本来行うべき役割を奪ってしまうことにもなるのです。
【3大栄養素】脂質はエネルギーになる
脂質は3大栄養素のひとつであり、主に「エネルギーになる」役目を担います。脂質の特徴は、エネルギー源としての効率の良さだといえるでしょう。糖質やたんぱく質の持つエネルギーは1グラムに対して4キロカロリー程度ですが、脂質の場合は1グラムに対して9キロカロリーにもなります。エネルギー効率の良い脂質には、エネルギーを保存する貯蔵脂肪としての役割もあるのです。
脂質の中には、コレステロールや中性脂肪、脂肪酸、リン脂質といった要素が含まれています。
コレステロールとは、神経組織や脳組織を構成する成分です。体内に存在するすべてのコレステロールのうち、30パーセントは外から食べ物として取り入れたものだといわれています。しかし残りの70パーセントは、肝臓などで合成されたものだといわれているのです。
脂肪酸は、人体が活動するときに必要なエネルギー源となる要素です。飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の二種類が存在します。飽和脂肪酸は動物性脂肪に多く存在しており、血中コレステロール値を上げる効果があります。対する不飽和脂肪酸は魚や植物に多く含まれており、血中のコレステロール値を下げる効果があるのです。
リン脂質は、細胞膜などを構成する成分といわれています。
【3大栄養素】糖質は最も重要な栄養素のひとつ
人体に必要なエネルギー源として、最も重要な栄養素と言われるのが糖質です。糖質は3大栄養素のひとつとして知られており、炭水化物ともいわれます。
お米やパン、麺類などに多く含まれる糖質は、食事のなかでも主食になるため、多く摂取される傾向にある栄養素です。一般的な成人が食べる日本食を例にすると、含まれる栄養素のうち、約6割程度が糖質だといわれています。これは約300グラムに相当するでしょう。
またエネルギーとして使われる糖質ですが、あまった分は、体内に貯蔵されるという特徴があります。
5大栄養素と3大栄養素の違いはミネラルとビタミン
「たんぱく質」「脂質」「糖質」が3大栄養素ですが、「ミネラル」「ビタミン」を加えて5大栄養素とも呼ばれます。ビタミンとミネラルは、「たんぱく質」「脂質」「糖質」の3大栄養素に比べて、摂取量が少なくても良いことが特徴です。体の調子を整える栄養素としても知られています。
ビタミンには、3大栄養素の代謝をサポートする役目があります。水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンの2種類があり、水溶性ビタミンは体内に保存しておける期間が短いといわれているのです。水溶性ビタミンは、頻繁に摂取するようにするとよいでしょう。
水溶性ビタミンには、豚肉や玄米から摂取できるビタミンB1、レバーや卵などから摂取できるビタミンB2、豆類や緑黄色野菜から摂取できる葉酸などが含まれます。ビタミンB1は糖質の代謝に関係しており、ビタミンB2は酸化還元作用に関係しているといわれているのです。
対する脂溶性ビタミンには、レバーや牛乳、乳製品などから摂取できるビタミンA、脂肪の多い魚類やきのこなどから摂取できるビタミンDなどが含まれています。ビタミンAは成長促進などに関係しており、ビタミンDはホルモン分泌の調整などに関係していると言われているのです。
ミネラルは体の内部で作り出せない栄養素として知られています。サプリメントなどで摂取する人も多くいますが、過剰摂取は悪影響を及ぼす可能性もあるため、注意が必要です。
5大栄養素と3大栄養素を効率よく摂取するコツ
栄養素を上手に摂取するためにはコツがあります。まずバランスよくたくさんの栄養を摂取すること。糖質は主食のご飯やパンから、たんぱく質や脂質は主菜の肉や魚から摂取できます。さらにビタミンやミネラルは、副菜の野菜やきのこから摂取できるでしょう。不足になることが多いビタミンやミネラルは、牛乳やヨーグルトなどの乳製品、フルーツなどから積極的に摂取することもおすすめします。
バランス良く栄養素を摂り入れる
体に必要な栄養素の数は多いですが、バランスの良い食事を心がけることで、摂取できます。日々の健康を維持していくためには、過不足なく栄養素を摂取することが大切です。ぜひ、栄養素を意識して食事をすることをおすすめします。