広重 世にも美しい空の秘密|浮世絵工房の摺り技法とアダチ版画研究所【10月10日】|10/10 16:00
10月10日(土)16時からNHK総合で放送される「広重 世にも美しい空の秘密 大公開!秘蔵の浮世絵コレクション」では、奈緒さんが浮世絵工房を訪ね、多彩な空を生んだ驚きの技に出会うと予告されています。
出演者情報には、アダチ版画研究所の取締役社長・田﨑雅志さんが掲載されています。浮世絵は絵師が描いた原画だけで完成するのではなく、彫師と摺師の仕事が重なって一枚の色彩になります。広重の空を理解するうえで、工房の技術は欠かせない視点です。
ここでは、放送前に確認できる番組情報とアダチ版画研究所の公式解説をもとに、番組で注目したい摺りの技法を整理します。
広重 世にも美しい空の秘密の放送日時と浮世絵工房
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 番組名 | 広重 世にも美しい空の秘密 大公開!秘蔵の浮世絵コレクション |
| 放送日時 | 2026年10月10日(土)16:00〜16:45 |
| 放送局 | NHK総合 |
| 工房パートの出演 | 田﨑雅志(アダチ版画研究所 取締役社長) |
| 主な出演 | 奈緒、松嶋雅人、村瀬可奈、長谷部愛、田﨑雅志、岩橋清美 |
| 語り | 石田彰 |
Gガイドの番組情報では、奈緒さんが東京国立博物館で秘蔵の浮世絵を見たあと、気象予報士や浮世絵工房を訪ね、広重が描いた「空の秘密」を探る流れになっています。
工房については、アダチ版画研究所の関係者が出演者に含まれています。放送でどの作品を実演するかは事前情報では明らかになっていませんが、同研究所の公式サイトには、江戸時代から受け継がれる木版画の摺りの工程が詳しく紹介されています。
アダチ版画研究所とは?
アダチ版画研究所は、伝統木版画の技術を継承する彫師・摺師を擁する工房です。公式サイトでは、版元・彫師・摺師が一つの環境で制作に取り組み、技術の継承と作品制作を行っていると説明されています。
浮世絵版画では、絵師が一人で最終的な色付きの作品を作るわけではありません。絵師の意図を版に移す彫りの工程があり、さらに複数の版を正確に重ねながら色を入れていく摺りの工程があります。
そのため、広重の「空の色」を見るときは、絵師の色彩感覚だけでなく、版木の設計と摺師の手加減によって、濃淡やぼかしがどう現れるかまで含めて見る必要があります。
浮世絵の空はどうやって摺る?
アダチ版画研究所の公式「伝統の技術・職人」では、摺師が版木に色を置き、紙を正確な位置に合わせ、馬連を使って顔料を和紙へ移す工程が紹介されています。
「見当」で色版をずらさず重ねる
多色摺りの浮世絵では、色ごとに異なる版を使います。そこで重要になるのが、版木に設けられた見当(けんとう)です。
紙の角や辺を見当の位置に合わせることで、別々の版を使っても色が大きくずれないようにします。空の淡い色と地上の輪郭、雲や建物など、複数の要素が重なる作品ほど、この位置合わせの正確さが重要になります。
馬連で顔料を和紙にきめ込む
紙を置いたあとは、摺師が馬連(ばれん)を使って紙の上から力を加えます。アダチ版画研究所の説明では、顔料の粒子を和紙の繊維の中まできめ込むように摺るとされています。
同じ版でも、力のかけ方や絵具の量によって印象は変わります。均一に色をのせるだけでなく、空のように広い面で微妙な変化を出すには、摺師の経験が大きく関わります。
一色ずつ摺り重ねて空の色を作る
木版画は、最初から完成色を一度で印刷する方法ではありません。輪郭や複数の色を一色ずつ摺り重ねることで画面を完成させます。
アダチ版画研究所が紹介する北斎作品の工程でも、空の淡い色や濃い色が別工程として摺られています。広重作品でも、空や遠景の色が複数の摺りによって組み合わされることで、平面的な色面だけではない奥行きが生まれます。
広重「大はしあたけの夕立」に見る雨の摺り
広重の空と天気を象徴する作品の一つが「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」です。アダチ版画研究所はこの作品の復刻制作を行い、公式ページで摺りの秘密を解説しています。
雨は2種類の墨と角度の違いで表現
公式解説によると、「大はしあたけの夕立」の雨は、薄い墨と濃い墨を使い分け、雨線の角度にも微妙な変化をつけて表現されています。
画面では雨が何層にも降り注いでいるように見えますが、版木の使い方と濃淡の組み合わせによって激しい夕立の感覚が作られています。単純に雨の線をたくさん描けばよいのではなく、色の濃さと方向のずれを計算して「降っている感じ」を作るのが職人技です。
遠景のぼかしが雨の奥行きを作る
「大はしあたけの夕立」では、対岸の景色が雨にかすんで見えます。アダチ版画研究所は、手前の橋と遠景の差によって空間と距離が感じられると説明しています。
雨そのものだけでなく、雨によって遠くの景色が見えにくくなる状態を木版で表すことで、二次元の画面に湿った空気や距離感が加わります。番組で「多彩な空を生んだ驚きの技」が紹介される際も、こうしたぼかしや濃淡の操作は注目したいポイントです。
広重の空は絵師・彫師・摺師の共同作業で完成する
アダチ版画研究所の解説では、浮世絵版画は絵師・彫師・摺師の分業で作られます。絵師が線を描き、色の指示を出し、彫師が版を作り、摺師が具体的な色味を調整しながら完成へ近づけます。
つまり、私たちが見る広重の「美しい空」は、広重の構図や発想だけでなく、その意図を読み取り、版木と紙の上で再現した職人の技も含んだ成果です。
「名所江戸百景」のように版の数や摺りの回数が多い作品では、同じ色でも場所によって摺り分けたり、一つの版に複数の技法を組み合わせたりする例があることも、アダチ版画研究所の解説から分かります。
広重の作品を場所の視点から見たい方は、よじごじDaysで紹介された広重の浮世絵絶景や、浮世絵EDO-LIFEの広重「王子瀧の川」も参考になります。
番組の工房パートで注目したいこと
番組予告では、浮世絵工房で「多彩な空を生んだ驚きの技」に出会うとされています。ただし、放送前の時点では、どの技法を実演するのか、どの広重作品を使うのかまでは公表されていません。
そのため放送では、見当による位置合わせ、馬連の使い方、一色ずつの摺り重ね、濃淡やぼかしの作り方のうち、どの工程が広重の空と結び付けて紹介されるかに注目するとよいでしょう。
完成した浮世絵だけを見るのではなく、「この空のグラデーションは何回の摺りでできたのか」「雨や霞を版木でどう表したのか」と考えると、工房パートの面白さがさらに増します。
参考にした情報
- 奈緒 OFFICIAL WEB「INFORMATION」
- Gガイド「広重 世にも美しい空の秘密 大公開!秘蔵の浮世絵コレクション」
- アダチ版画研究所「伝統の技術・職人」
- アダチ版画研究所「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」
- アダチ版画研究所「広重の名作にまさかのミス!?」
よくある質問
番組に登場する浮世絵工房はどこですか?
出演者情報には、アダチ版画研究所の取締役社長・田﨑雅志さんが掲載されています。工房での具体的な収録内容は放送前には詳しく公表されていません。
浮世絵の多色摺りで重要な道具は何ですか?
紙の位置を合わせる「見当」と、紙の上から力を加えて顔料を移す「馬連」などが重要です。色版を一色ずつ正確に重ねることで多色の画面が完成します。
「大はしあたけの夕立」の雨はどう表現されていますか?
アダチ版画研究所の解説では、薄い墨と濃い墨を使い分け、雨線の角度にも変化をつけることで激しい夕立を表現しています。
まとめ
「広重 世にも美しい空の秘密 大公開!秘蔵の浮世絵コレクション」の工房パートでは、アダチ版画研究所の田﨑雅志さんが出演者に名を連ねています。
広重の空は、絵師の発想だけでなく、見当で版を合わせ、馬連で摺り、一色ずつ色を重ね、濃淡やぼかしを作る職人の技によって形になります。放送では、完成作品とともに「どう摺られたか」に注目すると、広重の空の美しさをより立体的に楽しめます。

