手足口病が警報レベルに|子どもに多い症状・登園の目安・家庭でできる対策

手足口病の患者数が急増し、2026年7月には全国15都県が警報レベルに達しました。保育園や幼稚園に子どもを通わせている家庭では、症状の見分け方や登園の目安が気になる時期ではないでしょうか。

この記事の要点

  • 2026年7月時点で手足口病は15都県が警報レベルに達し、2年ぶりの大きな流行になっています
  • 原因は主にコクサッキーウイルスやエンテロウイルス71などで、飛沫・接触・糞口感染で広がります
  • 登園の目安は発疹の有無ではなく「発熱がなく普段の食事がとれるか」が基本の考え方です
  • 家庭では水分補給と刺激の少ない食事、まれな重症化サインの見極めが大切です

2026年7月、手足口病が15都県で警報レベルに

国立健康危機管理研究機構(JIHS)の感染症発生動向調査によると、2026年第26週(6月22日~28日)時点で手足口病の警報レベルに達した都県は15にのぼります。新たに警報レベル入りしたのは奈良、東京、千葉、埼玉の4都県です。

都道府県別の定点当たり報告数を見ると、島根県は20.45と警報基準値の4倍を超える水準になっています。大分、佐賀、福岡など九州地方でも高い報告数が続いており、西日本を中心とした流行が全国に広がっている状況です。

東京都の状況

東京都では2026年第26週の報告数が警報基準値の5.0を上回り、約2年ぶりに警報レベルとなりました。町田市や江東区、八王子市など報告数の多い地域もあり、都内31保健所のうち半数近くが警報レベルに達しています。

週ごとの推移で見る今回の流行

流行の広がり方を週ごとに追うと、2026年は第20週ごろから報告数の増加が続いていました。第22週には定点当たり1.41、第23週には1.98と着実に数字を伸ばし、第26週にはついに複数の都県で警報基準値の5.0を超える結果となっています。

なぜ2026年は大きな流行になっているのか

手足口病の大きな流行は今回が初めてではありません。2024年も過去10年で最多となる報告数が続いた年で、今回はそれに続く「2年ぶり」の大流行として注目されています。

コロナ禍がもたらした「免疫の空白世代」

今回の流行規模が大きくなっている背景には、新型コロナウイルス対策の影響があると指摘されています。2020年から2021年ごろにかけてはマスク着用や登園制限、手指衛生の強化によって手足口病を含む多くの子どもの感染症の流行が抑えられていました。

その結果、感染機会が少ないまま成長し、自然感染による免疫を十分に獲得できていない子どもの層が生まれたと考えられています。この免疫の空白ともいえる世代が集団生活を通常どおり送るようになったことが、近年の大きな流行につながっているという見方です。

流行はいつまで続くのか

今回の流行は今後どのくらい続くのか気になるところです。専門家からは、例年の傾向をふまえると夏の間にピークを迎えたあと、地域によっては秋ごろまでだらだらと報告が続く可能性があるとの見方も示されています。

手足口病は夏だけの病気と思われがちですが、過去の流行では9月以降も一定数の報告が続いた年があります。保育園や幼稚園では夏休み明けに集団生活が再開するタイミングで、報告数が再び増える地域もみられます。

手足口病とは何か 原因ウイルスと感染経路

手足口病はコクサッキーウイルスA6・A16・A10やエンテロウイルス71などを原因とする感染症です。これらはいずれもピコルナウイルス科に属する1本鎖RNAウイルスで、型が複数あるため一度かかっても再び感染することがあります。

感染経路は主に飛沫感染・接触感染・糞口感染の3つです。せきやくしゃみで飛び散った飛沫を吸い込む、発疹の水疱に触れる、便に含まれるウイルスが手を介して口に入るといった経路で広がります。

症状が消えた後も注意したい理由

熱や発疹が治まった後も、便の中には数週間ウイルスが排出されることが知られています。そのため症状が落ち着いた後も、トイレやおむつ替えの後の手洗いを続けることが感染を広げないポイントになります。

病名の由来

手足口病という病名は、口の中と手のひら、足の裏という3つの部位に発疹が出やすいことに由来しています。実際には発疹がひざやおしり、ひじなど3部位以外の場所に広がる子どももいるため、名前どおりの範囲にとどまらないケースがある点も覚えておくとよいでしょう。

子どもに多い症状と重症化のサイン

潜伏期間はおよそ3~5日で、口の中や手のひら、足の裏を中心に2~3ミリ程度の水疱性の発疹が出るのが特徴です。発熱はあっても37~38度台の軽いものにとどまることが多く、高熱が続くケースは少数派です。

患者の多くは2歳以下の乳幼児ですが、小学生や大人がかかることもあります。大人が感染すると子どもよりも発熱や発疹の痛みが強く出る場合があり、油断できない感染症だと感じる保護者の声も少なくありません。

ごくまれに見られる重い症状

手足口病はほとんどの場合数日から1週間ほどで自然に軽快しますが、ごくまれに髄膜炎や脳炎を合併することが報告されています。高熱が続く、ぐったりしている、嘔吐を繰り返す、呼びかけへの反応が鈍いといった様子が見られたら、早めに医療機関を受診することが勧められます。

治った後に爪がはがれることがある

症状が治まった後、数週間から1か月ほど経ってから手足の爪が浮いたり剥がれたりすることがあり、爪甲脱落症と呼ばれています。特にコクサッキーウイルスA6型による感染で見られやすいとされていますが、多くは変形を残さず新しい爪に生え変わっていきます。

登園の目安と家庭でできるホームケア

手足口病は学校保健安全法の第一種・第二種感染症には含まれておらず、一律の出席停止期間は定められていません。発疹が残っているという理由だけで登園を長く控える必要はないというのが基本的な考え方です。

こども家庭庁が示す目安は「発熱がなく、普段の食事がとれること」です。口の中の水疱がつらくて食事が進まない間は無理をさせず、全身状態が落ち着いてから登園を再開するとよいでしょう。

医師の意見書は必要か

多くの自治体では手足口病について医師が記入する意見書は不要とされています。ただし保育園や幼稚園によっては独自のルールを設けている場合もあるため、通っている施設の方針を事前に確認しておくと安心です。

家庭での基本対策

感染予防の基本は石けんを使った丁寧な手洗いです。特にトイレやおむつ替えの後、食事の前は、家族全員が意識して手を洗う習慣をつけることが有効とされています。

手足口病には特効薬がなく、対症療法が中心になります。口の中の水疱が痛んで食事や水分がとりにくいときは、しみにくい常温のスープや、のどごしのよいゼリー・プリンなどを少しずつ与える工夫が助けになります。

脱水のサインを見逃さない

食事や水分が思うようにとれないと、乳幼児は短時間で脱水に傾きやすくなります。おしっこの回数が減る、唇や口の中が乾く、機嫌が悪く元気がないといった様子があれば、経口補水液などで水分と電解質を補いながら、必要に応じて受診を検討してください。

入浴やタオルの使い方

発疹があっても入浴自体を避ける必要は基本的にありません。熱がなく本人が嫌がらなければ、湯船にゆっくり浸かるよりもシャワーで汗を流す程度にとどめ、体を清潔に保つとよいでしょう。

きょうだいがいる家庭では、タオルや食器の共用を避けることも感染を広げないための工夫のひとつです。看病する家族自身も、こまめな手洗いとアルコール消毒を意識しておくと安心です。

薬はあるのか、対症療法の基本

手足口病にはワクチンがなく、ウイルスに直接効く薬もありません。治療は熱や痛みをやわらげる対症療法が中心となり、自然に回復するのを待つのが基本的な考え方です。

症状がつらいときは、解熱鎮痛剤を使って様子をみながら、水分と栄養をとれる範囲で補っていくことになります。市販薬を使う場合は、子どもの年齢に合った製品かどうかを確認することも忘れないようにしたいところです。

保育の現場でも進む感染対策

保育所における感染症対策ガイドラインでは、手足口病のような接触感染・飛沫感染が中心の病気に対して、おもちゃの共用後の消毒やこまめな換気が推奨されています。家庭でも同じ考え方を取り入れ、きょうだいで使うおもちゃを定期的に拭き取るだけでも感染リスクを下げられます。

妊娠中の方が気になること

妊娠中の女性が手足口病にかかった場合の胎児への影響については、明確なエビデンスは確立されていません。過度に心配する必要はありませんが、体調に不安があるときは自己判断せず、かかりつけの産婦人科に相談しておくと安心です。

大人が感染したときの仕事の目安

大人が手足口病にかかった場合、法律で仕事を休むことが義務づけられているわけではありません。ただし手や足の水疱が強い痛みを伴い、仕事や家事に支障が出るケースもあるため、無理をせず体調に合わせて休養をとることも大切な選択肢です。

手足口病と他の夏風邪との違い

夏に流行する子どもの感染症は手足口病だけではなく、ヘルパンギーナやプール熱(咽頭結膜熱)もよく知られています。この3つは症状が似ている部分もあるため、「三大夏風邪」と呼ばれることがあります。

  • 手足口病:口の中・手のひら・足底に水疱性の発疹、発熱は軽度なことが多い、原因はコクサッキーウイルス等
  • ヘルパンギーナ:のどの奥に水疱、高熱が出やすい、原因はコクサッキーウイルス等(手足口病と同じエンテロウイルス属)
  • プール熱(咽頭結膜熱):38~40度前後の高熱・のどの痛み・結膜炎、原因はアデノウイルス

登園・登校の扱いにも違いがあり、プール熱は主な症状が消えてから2日間の出席停止が学校保健安全法で定められています。一方、手足口病とヘルパンギーナにはこうした明確な出席停止期間の定めがなく、全身状態で判断される点が異なります。

経口補水パウダー 30包 スティックタイプ(Amazon)

FAQ

手足口病は大人にもうつりますか?

はい、大人も感染することがあります。子どもの看病をする保護者が感染し、子どもよりも高熱や発疹の痛みが強く出るケースも報告されているため、家族全員での手洗いが大切です。

一度かかったらもう感染しませんか?

手足口病の原因ウイルスには複数の型があるため、一度感染しても別の型に再びかかることがあります。同じ年に2回発症したという例も珍しくないとされています。

あわせて読みたい

参考

まとめ

2026年7月は手足口病が2年ぶりに全国的な流行となり、15都県が警報レベルに達しています。原因ウイルスは複数あり、飛沫・接触・糞口感染で広がるため、家庭でのこまめな手洗いが引き続き有効な対策です。

登園の目安は発疹の有無ではなく全身状態で判断されるため、発熱がなく食事がとれていれば過度に心配しすぎる必要はありません。高熱が続く、ぐったりしているなど気になる様子があれば、早めに医療機関に相談することをおすすめします。

このテーマの関連記事はこちら