ブレイクスルー「空気からプラスチック」とは?DAC・リチウム空気電池の仕組み|8/8 10:30

2026年8月8日(土)午前10時30分からテレビ東京系で放送される『ブレイクスルー』は、「空気からプラスチックをつくる!?」がテーマです。

番組予告では、空気を使ってプラスチックを生み出そうとするプロジェクトと、空気を利用する「究極の蓄電池」を紹介。検索して気になるのは、「空気の何がプラスチックになるのか」「開発している研究者や企業はどこか」「リチウム空気電池はいつ実用化するのか」という点でしょう。

結論からいうと、空気からプラスチックをつくる技術の入口は、大気中の二酸化炭素を直接回収するDAC(Direct Air Capture)です。一方、究極の蓄電池とは、空気中の酸素を正極反応に使うリチウム空気電池を指すと考えられます。この記事では、番組予告と公開されている国内研究を照合し、2つの技術の仕組み、開発の現在地、実用化への課題を分かりやすく整理します。

この記事の結論
・「空気からプラスチック」は、空気中のCO2をDACで回収し、化学原料へ変換して樹脂化する構想
・東京都立大学の研究では、400ppmのCO2をガス流通下で99%以上除去する相分離型DACを報告
・「究極の蓄電池」は、空気中の酸素を使うリチウム空気電池とみられる
・NIMSはAIと自動実験ロボットで、電池寿命を従来の約2倍にする電解液を発見
・どちらも将来性は大きいが、エネルギー、コスト、耐久性、安全性、量産化が課題
・番組は2026年8月8日(土)10:30~11:00、テレビ東京系で放送

ブレイクスルー「空気からプラスチック」の放送内容・出演者

番組名ブレイクスルー
放送タイトル空気からプラスチックをつくる!?
放送日2026年8月8日(土)
放送時間10:30~11:00
放送局テレビ東京系
出演相場英雄、佐々木明子(テレビ東京アナウンサー)
ナレーター谷田歩
主なテーマ空気中CO2の回収・資源化、空気を使う次世代蓄電池

『ブレイクスルー』は、作家・相場英雄さんが研究者、起業家、プロジェクトリーダーの現場を取材し、技術だけでなく、開発を続ける理由や挫折を乗り越える力に迫る経済ドキュメンタリーです。

今回の予告で個別の開拓者名は明示されていません。ただし、「空気からプラスチック」と「究極の蓄電池」という表現は、国内で進むDACによるCO2資源化リチウム空気電池の研究内容に一致します。番組を見る際は、回収装置そのものだけでなく、CO2を樹脂原料へ変える工程と、電池の耐久性をどう高めるかに注目です。

空気からプラスチックをつくる仕組み

「空気からプラスチック」と聞くと、酸素や窒素がそのまま固まって製品になるように感じますが、実際に利用するのは空気中に含まれる二酸化炭素の炭素です。

  1. 空気を取り込む:ファンや自然風を利用して大量の空気を装置へ通す
  2. CO2だけを捕まえる:吸収液、吸着材、分離膜などで希薄なCO2を選択的に回収する
  3. CO2を取り出す:加熱、減圧、化学反応などで高濃度のCO2として分離する
  4. 化学原料へ変える:触媒や電気化学反応を使い、樹脂のもとになる化合物へ変換する
  5. 重合・成形する:小さな分子をつなげて高分子にし、プラスチック製品へ加工する

つまり、DACは完成品を直接つくる装置ではなく、空気中から炭素資源を取り出す入口です。その後にCO2変換、モノマー合成、重合、成形という化学プロセスが続きます。

従来のプラスチックは、主に原油から得られるナフサを出発原料にしています。大気中のCO2を炭素源にできれば、化石資源への依存を減らし、過去に排出された炭素を再び製品へ戻す循環が期待できます。

DACとは?東京都立大学の相分離型CO2回収技術

DACはDirect Air Captureの略で、大気中のCO2を直接分離・回収する技術です。火力発電所や工場の排ガスと違い、大気中のCO2は非常に薄いため、効率よく捕まえる材料と、少ないエネルギーで再生できる仕組みが必要になります。

東京都立大学の山添誠司教授らの研究グループは、液体のアミンがCO2を吸収すると固体のカルバミン酸として分かれる液-固相分離を利用したDACを開発しました。大学の発表では、ガスを流し続ける条件でも、空気と同程度の400ppmのCO2を99%以上除去できたとされています。

この研究が注目される理由は、CO2を速く吸収できるだけでなく、反応生成物が固体として分離するため、回収後の処理を簡略化できる可能性があることです。研究チームは、CO2変換技術と組み合わせることで、空気からプラスチックや化成品をつくる「ビヨンド・ゼロ」の社会を目指しています。

さらにNEDOのムーンショット型研究開発事業では、東京都立大学を中心に、大気社、小島プレス工業、パンタレイが参画する「パッシブDAC技術の研究開発」が2024年から進められています。ファンで大量の空気を強制的に送るだけでなく、自然風や建物設備を活用して回収時のエネルギーを下げる方向が重要になります。

空気からプラスチックは環境に良い?注意したい3つの条件

空気中のCO2を原料にすれば、必ず環境負荷が小さくなるとは限りません。技術を評価するときは、次の3点を分けて考える必要があります。

1.回収と変換に使うエネルギー

希薄なCO2を集め、吸収材から放出し、化学原料へ変えるにはエネルギーが必要です。その電力や熱を化石燃料で賄えば、回収した量を上回るCO2を排出する恐れがあります。再生可能エネルギーや未利用熱との組み合わせが重要です。

2.製品の寿命と廃棄方法

回収した炭素を建材や耐久製品のように長く使えば、CO2を製品内へ固定できる期間が延びます。一方、短期間で焼却すればCO2は再び大気へ戻ります。リサイクルや長寿命化まで含めて設計する必要があります。

3.既存プラスチックとの価格差

石油由来の原料は大規模な供給網が整っています。DAC由来の炭素を使う製品を普及させるには、回収装置、触媒、電解装置、製造設備を量産し、1トン当たりのコストを下げなければなりません。環境価値を価格へ反映する制度や、企業の長期購入契約も普及を左右します。

究極の蓄電池「リチウム空気電池」の仕組み

番組予告にある「空気を使った究極の蓄電池」は、リチウム空気電池を指すとみられます。負極に金属リチウム、正極側では外部から取り込んだ酸素を使う充電可能な電池です。

  • 放電時:負極のリチウムがイオンになり、正極で酸素と反応して過酸化リチウムが生成する
  • 充電時:過酸化リチウムが分解し、酸素を放出してリチウムを元の状態へ戻す

一般的なリチウムイオン電池は、正極にも活物質を大量に搭載します。リチウム空気電池は反応物の酸素を外部から取り込めるため、電池内部を軽くしやすく、理論上はリチウムイオン電池の数倍の重量エネルギー密度が期待されています。そのためNIMSは「究極の蓄電池」と表現しています。

比較リチウムイオン電池リチウム空気電池
正極の反応物電池内部の正極材料外部から取り込む酸素
強み量産実績、出力、扱いやすさ軽量・大容量化の可能性
現在地スマホ、EV、蓄電池で普及研究・実証段階
主な課題資源、発火、劣化、充電時間副反応、寿命、空気管理、金属リチウム保護

NIMSの最新研究|AIとロボットで電池寿命を約2倍に

物質・材料研究機構(NIMS)は、リチウム空気電池で世界トップレベルの研究を進めています。2025年に公開した解説では、500Wh/kg級のセル開発、電極・電解液・リチウム保護膜・酸素流路の改良、性能評価指標の標準化などを紹介しています。

特に注目されるのが、松田翔一チームリーダーとラムバール・ギヨム主任研究員らによる自動実験ロボットとAIを使った電解液探索です。1000万通りを超える候補から、従来は必要と考えられていた物質を含まない電解液を3カ月で発見し、電池寿命を従来の約2倍に伸ばしました。

この研究を紹介したNIMSの動画は、2026年7月に第67回科学技術映像祭の文部科学大臣賞を受賞しました。番組でAIやロボットが登場する場合は、単に作業を自動化するだけでなく、研究者が候補の絞り込み方や評価条件を設計し、失敗データも次の実験へ生かしている点が見どころです。

リチウム空気電池はいつ実用化する?越えるべき壁

リチウム空気電池は高性能な一回の放電だけでなく、何百回、何千回と安全に充放電できなければ製品にはなりません。主な壁は次の通りです。

  • 副反応:酸素や電解液が想定外の反応を起こし、性能を落とす
  • 電解液の劣化:充放電のたびに分解物がたまり、寿命が短くなる
  • 金属リチウムの安全性:枝状析出や水分との反応を防ぐ保護技術が必要
  • 空気の浄化:水分、CO2、汚染物質が反応へ悪影響を及ぼす
  • 酸素流路:必要な酸素を均一に送り、生成物をためる空間を確保する
  • 評価の統一:研究ごとに条件が違うと、性能を公平に比較できない
  • 量産工程:高性能な実験セルを、安価で大型の製品へ拡張する必要がある

そのため、現時点で一般向けのスマートフォンやEVに搭載される時期を断定することはできません。実用化の初期用途としては、価格よりも軽さと航続時間が重視されるドローン、無人機、遠隔センサー、特殊ロボットなどが候補になります。

開発者や企業はどこ?関連研究を整理

放送前の公開情報では、今回登場する開拓者の氏名は確認できませんでした。検索時に混同しやすい国内の関連研究・企業を整理すると、次のようになります。

技術・組織主な内容番組テーマとの関係
東京都立大学 山添誠司教授ら液-固相分離を利用した高速DAC。400ppmのCO2を99%以上除去空気中CO2からプラスチック・化成品をつくる構想
NEDO パッシブDACプロジェクト東京都立大学、大気社、小島プレス工業、パンタレイが参画回収エネルギーを抑えるDACの社会実装
Carbon Xtractガス分離膜を使う小型分散型DAC「m-DAC」の都市実証建物内の空気からCO2を回収・利用する別方式の実装例
NIMS 松田翔一チームらリチウム空気電池の材料探索、AI・自動実験、評価標準化空気を使う「究極の蓄電池」の代表的研究

「空気からCO2を回収する技術」は一つではありません。吸収液、固体吸着材、分離膜、自然風を利用する方式などがあり、設置場所、必要なCO2濃度、エネルギー源、利用先によって最適な方法が変わります。

番組で注目したいポイント

  1. 空気を送るエネルギー:ファンを使うのか、自然風や空調設備を活用するのか
  2. CO2回収材の再利用:何回使えて、再生時にどれだけ熱や電力が必要か
  3. プラスチックまでの工程:回収したCO2をどの化合物へ変え、どんな製品を想定しているか
  4. 炭素収支:回収量と、装置・変換・輸送で排出するCO2をどう比較するか
  5. 電池のサイクル寿命:高容量だけでなく、繰り返し充電にどこまで耐えるか
  6. 研究者の役割:AIやロボットが増える中で、人間が仮説や評価基準をどう決めるか
  7. 社会実装の時期:研究室の成果を、工場や製品へ移すために何が不足しているか

ブレイクスルーの見逃し配信はどこ?

テレビ東京の公式案内では、『ブレイクスルー』は毎週土曜午前10時30分から放送され、最新回はネットもテレ東で無料配信されています。TVerで配信される回もあり、過去回や関連動画はテレ東BIZで扱われています。

  • ネットもテレ東:最新回の期間限定無料配信
  • TVer:対象回の無料見逃し配信
  • テレ東BIZ:番組本編、過去回、関連動画

無料配信の対象や終了日時は回ごとに異なるため、視聴時に番組名と放送日で検索してください。

よくある質問

空気から本当にプラスチックをつくれるのですか?

可能性はあります。空気の主成分をそのまま固めるのではなく、大気中にごく少量含まれる二酸化炭素をDACで回収し、化学原料やモノマーへ変換して樹脂をつくる考え方です。回収・変換・重合を低コストかつ低炭素で行うことが実用化の鍵になります。

DACとは何ですか?

DACはDirect Air Captureの略で、大気中の二酸化炭素を直接分離・回収する技術です。工場の排ガスよりCO2濃度が低い空気を対象にするため、回収速度、エネルギー消費、装置コストの低減が重要です。

リチウム空気電池が究極の蓄電池と呼ばれるのはなぜですか?

正極の反応物として外部の空気中の酸素を利用でき、電池内部に重い正極活物質を大量に抱え込む必要がないためです。理論上は高い重量エネルギー密度が期待できます。

リチウム空気電池はすでに市販されていますか?

一般向けのスマートフォンや電気自動車用として量産・市販される段階には至っていません。サイクル寿命、副反応、金属リチウムの保護、空気中の水分やCO2の除去、性能評価の標準化などが課題です。

ブレイクスルーの見逃し配信はどこで見られますか?

テレビ東京の番組ページでは、ネットもテレ東で最新回を無料配信し、テレ東BIZでも番組を扱っています。TVerで配信される回もあるため、放送後に番組名で確認するのが確実です。

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石油由来プラスチックの原料と価格の関係はサントリーの情報戦の記事へ。樹脂の性能や用途に興味がある方はARAS、エネルギー産業と素材企業を知りたい方はINPEX・NGKの記事も参考になります。

参考にした公式情報

まとめ

2026年8月8日放送の『ブレイクスルー』は、空気を単なる身の回りの存在ではなく、炭素資源と電池材料として使う研究に迫ります。

空気からプラスチックをつくる構想では、大気中のCO2をDACで回収し、化学原料へ変換して樹脂化します。東京都立大学の相分離型DACは、希薄なCO2を高速で回収する技術として注目され、パッシブDACや小型分散型DACの都市実証も進んでいます。

リチウム空気電池は、外部の酸素を使うことで軽量・大容量化を狙う「究極の蓄電池」です。NIMSではAIと自動実験ロボットによって電解液探索を加速し、寿命を約2倍に伸ばす成果も生まれました。

ただし、夢の技術を製品にするには、回収・変換エネルギー、コスト、電池の副反応、安全性、量産工程という現実的な壁があります。番組では、驚きの性能だけでなく、開拓者がどの課題を優先し、社会実装へどう近づこうとしているのかに注目すると理解が深まります。

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