ハートネットTV「精神障害者たちの戦争」内容は?向井承子と従姉・園子、精神科病院の餓死【8月10日】|8/10 14:30

2026年8月10日(月)のNHK Eテレ『ハートネットTV』では、戦後80年企画「生死を分かつ“塀” ~精神障害者たちの戦争~」が14時30分から再放送されます。

番組の中心となるのは、ノンフィクション作家の向井承子(むかい・しょうこ)さんと、戦争末期に精神科病院へ入院した従姉の園子さんです。向井さんは「従姉はどのような最期を迎えたのか」と病院にカルテの開示を求め、関係者や資料を探しながら、長く“塀”の内側に閉ざされてきた患者たちの戦争をたどります。

この記事では、番組の放送日時、向井承子さんと園子さんの関係、戦時下の精神科病院で多数の死者が出た背景、「塀」が意味するもの、見逃し配信の確認方法を整理します。NHKの福祉番組に関心がある方は、ハートネットTV熊本地震|障害者・高齢者に支援は届く?もあわせてご覧ください。

ハートネットTV「精神障害者たちの戦争」の放送日時・出演者

番組名ハートネットTV 戦後80年 生死を分かつ“塀” ~精神障害者たちの戦争~
放送日時2026年8月10日(月)14:30~15:00
放送局NHK Eテレ1・東京
放送形態再放送
初回放送2025年8月25日(月)20:00~20:29
出演向井承子
語り木村多江
主なキーワード精神科病院、戦時下、餓死、カルテ、松沢病院、精神障害者

タイトルに「戦後80年」とあるのは、2025年の戦後80年企画として制作・初回放送された番組だからです。2026年8月10日の放送は同じ内容のアンコールで、番組名も初回放送時のまま使われています。

番組内容|向井承子が従姉・園子のカルテと足跡をたどる

向井承子さんは戦争末期の幼い頃、大好きだった従姉の園子さんが精神科病院へ入院し、突然離ればなれになりました。その後、両親から園子さんが亡くなったと聞かされます。

しかし、どのような治療を受け、どのような生活を送り、なぜ亡くなったのかは、家族にも十分に伝えられないままでした。向井さんは病院にカルテの開示を求め、当時を知る関係者や残された資料を探し、園子さんの足跡をたどります。

  • 園子さんはなぜ精神科病院へ入院したのか
  • 入院後、家族とのつながりはどう断たれたのか
  • 戦時下の病棟で食事や医療はどのように変化したのか
  • カルテや病院資料から何が読み取れるのか
  • 患者本人の言葉が残りにくい歴史をどう伝えるのか

一人の家族史を入り口にしながら、番組は全国の精神科病院で起きていた問題へ視野を広げます。園子さんの最期を断定的に再現するのではなく、残された記録と記憶の空白に向き合う構成が大きな見どころです。

向井承子とは?医療・老い・障害を取材してきた作家

向井承子さんは1939年生まれのノンフィクション作家です。北海道大学法学部卒業後、北海道庁勤務や婦人団体の機関紙編集などを経て、医療、老い、障害、女性、いのちをめぐる問題を長く取材してきました。

著書には『患者追放』『病の戦後史』『「記憶」のなかの戦後史』などがあります。生活者や家族の視点から医療制度を問い続けてきた向井さんにとって、園子さんの足跡を追う旅は、長年の取材テーマと自身の幼い記憶が重なるものです。

『「記憶」のなかの戦後史』では、東京大空襲を生き延び、焦土となった東京から北海道へ移った自身の記憶を起点に、戦後社会といのちへの政治介入を振り返っています。番組でも、個人の記憶が社会の歴史と切り離せないことが示されます。

戦時下の精神科病院で何が起きた?松沢病院の死亡記録

戦争中は国民全体が深刻な食料不足に苦しみましたが、社会から隔離され、配給や支援を得にくかった精神科病院の患者は、より厳しい状況に置かれました。

東京都立松沢病院の公式コラムによると、1937年に日中戦争が始まると、翌1938年には死亡退院者が前年の約2倍に増加しました。死亡者は1940年に352人、1944年に418人、1945年には478人に達しています。当時の在院患者は1944年度末でおよそ1000人とされ、死亡者数の大きさからも病院内の危機的状況がわかります。

同病院に残る医局日誌には、患者の食事が雑炊中心となり、米の減少とともに浮腫や死亡が増えたことを示す記録があります。これは単なる物資不足ではなく、「限られた食料を誰に優先して配るのか」という社会の価値判断が、入院患者の生死に直結したことを意味します。

戦時中の食生活全体については、あさイチ戦時中の食事は何?配給・代用食・すいとんでも紹介しています。一般家庭の窮乏と、閉鎖された病院内で起きた飢餓を並べて考えると、番組の背景がより見えやすくなります。

タイトルの“塀”が意味するもの

番組タイトルの“塀”は、精神科病院を囲む物理的な壁だけを指す言葉ではありません。患者と家族、病院と地域、記録される側と記録する側を隔ててきた、複数の境界を象徴しています。

  • 物理的な塀:患者を地域社会から隔離する病院の構造
  • 制度の塀:本人の意思や家族の疑問が届きにくい医療制度
  • 偏見の塀:精神障害者を「社会に不要」とみなす差別
  • 記憶の塀:患者本人の体験が記録や証言として残りにくいこと
  • 戦時体制の塀:国家の目的に役立つかどうかで命に優先順位をつける考え方

向井さんが園子さんのカルテを求めた行為は、家族の疑問を解くためだけではなく、患者本人の人生を病名や死亡記録だけで終わらせないための試みでもあります。

カルテ開示と記録をたどることが重要な理由

戦時下の精神科医療を調べる難しさは、当事者本人の証言がほとんど残っていないことです。患者が自由に手紙を書いたり、退院後に体験を語ったりする機会は限られ、死亡した場合は病院側の記録だけが残ることも少なくありません。

カルテには診断名や投薬、食事、体重、身体状態、家族との連絡などが記録されている可能性があります。一方で、そこに書かれていない本人の感情や日常もあります。番組は、記録を絶対視するのではなく、関係者の証言や社会状況と組み合わせながら、声を残せなかった人の人生へ近づこうとします。

戦争の記憶を次世代へ伝える番組としては、午後LIVEニュースーン「あの花」と特攻|若者のその後も関連します。戦争を大きな出来事だけで捉えず、一人ひとりの人生から見直す点が共通しています。

2025年の初回放送とアンコール放送の反響

この番組は2025年8月25日に初回放送され、同年9月と12月にも再放送されました。向井さんに関する映像作品を紹介する「隣る人」工房の案内では、向井さん自身が、NHKから『ハートネットTV』上半期の視聴率1位だったと聞いた旨を伝えています。

公式な視聴率データが一般公開されているわけではないため順位は参考情報ですが、重いテーマの番組が複数回アンコール放送され、2026年8月にも編成されたことから、戦争と精神障害者の歴史への関心が続いていることがうかがえます。

ウェブ上では番組名だけでなく、「向井承子 園子」「精神科病院 戦争 餓死」「松沢病院 戦時中」「ハートネットTV 生死を分かつ塀」「木村多江 ナレーション」などの組み合わせで検索すると、背景資料を探しやすくなります。

見逃し配信はNHK ONEで確認

NHKの総合・Eテレ番組は、NHK ONEで同時配信や見逃し配信の対象になる場合があります。今回の番組を探すときは、「ハートネットTV」「生死を分かつ塀」「精神障害者たちの戦争」などで検索してください。

  • 放送日時:2026年8月10日(月)14:30~15:00
  • 番組名が長いため「ハートネットTV」だけでも検索する
  • 配信対象かどうか、番組ページの表示を確認する
  • 見逃し配信には視聴期限があるため日付を確認する
  • 地域や権利処理により配信されない場合もある

よくある質問

ハートネットTV「生死を分かつ“塀”」の放送日はいつですか?

2026年8月10日(月)14時30分から15時まで、NHK Eテレで再放送されます。2025年8月25日に初回放送された「戦後80年」企画のアンコール放送です。

番組に登場する80代の作家は誰ですか?

医療、老い、障害、戦争などを取材してきたノンフィクション作家の向井承子さんです。幼い頃に離ればなれになった従姉・園子さんの足跡をたどります。

向井承子さんの従姉・園子さんに何があったのですか?

戦争末期に精神科病院へ入院し、向井さんは後に両親から園子さんが亡くなったと知らされました。番組ではカルテの開示を求め、関係者や資料を探しながら最期に迫ります。

なぜ精神科病院で多くの患者が亡くなったのですか?

戦時下の食料不足と患者給食の悪化が大きく影響しました。松沢病院の公式記録では死亡退院者が急増し、1944年に418人、1945年に478人に達したとされています。

見逃し配信はどこで確認できますか?

NHK ONEで番組名や「生死を分かつ塀」「ハートネットTV」などと検索し、配信対象と視聴期限を確認してください。番組ごとに配信の有無や期間が異なります。

まとめ

『ハートネットTV 戦後80年 生死を分かつ“塀” ~精神障害者たちの戦争~』は、向井承子さんが従姉・園子さんの足跡をたどり、戦時下の精神科病院で起きた大量死を見つめるドキュメンタリーです。

  • 2026年8月10日(月)14:30~15:00、NHK Eテレで再放送
  • 80代の作家はノンフィクション作家・向井承子さん
  • 従姉・園子さんのカルテ開示を求め、入院後の足跡をたどる
  • 松沢病院では1945年に478人の死亡退院者が記録されている
  • “塀”は病院の壁だけでなく、制度、偏見、記憶の断絶も象徴する
  • 語りは木村多江さん

戦争は前線や空襲だけでなく、社会から見えにくい場所にいた人々の命も奪いました。園子さんの記録をたどる番組は、誰の命が後回しにされたのかを問い、現在の医療や福祉に残る“塀”を考えるきっかけになります。

参考情報

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