
ファミマ初の旗艦店「FAMIMA」は何が違う?試着室・アパレル強化の狙い
2026年7月10日、東京・麻布台にファミリーマート初の旗艦店「FAMIMA PARK AZABUDAI」がオープンしました。試着室を備えたアパレル売場やカフェスタンドを併設し、従来のコンビニの枠を超えた店舗として注目を集めています。何が新しいのか、背景を整理します。
この記事の要点
- ファミリーマート初の旗艦店「FAMIMA PARK AZABUDAI」が2026年7月10日、東京都港区麻布台にオープン
- NIGO氏がクリエイティブ・ディレクターを務め、45周年企画「Next FamilyMart Project」の象徴的店舗と位置づけ
- PBブランド「コンビニエンスウェア」初の試着室を設置し、アパレル体験を強化
- コンビニエンスウェアは2024年度に年間売上130億円を突破し、2026年度は300億円を目指す成長ブランドといわれています
FAMIMA PARK AZABUDAIとはどんな店舗か
「FAMIMA PARK AZABUDAI」は、東京都港区虎ノ門五丁目に構えるファミリーマート史上初の旗艦店です。売場面積は217.05平方メートルで、一般的な都市型店舗より広めの空間に、アパレル、カフェ、テイクアウトスタンドなどの機能を詰め込んでいます。オープン日は2026年7月10日午前10時で、公式サイトや店舗概要でも同日オープンと確認できます。
この店舗は、ファミリーマートが2026年9月に迎える創立45周年に合わせて始動した「Next FamilyMart Project」の象徴として位置づけられています。同プロジェクトでは、立地や客層に合わせた店舗デザインや、これまでにない店舗体験(VMD)の創出を掲げており、FAMIMA PARK AZABUDAIはその第一弾です。同社は、この取り組みの一部を今後全国のファミリーマート店舗にも展開していく方針を示しています。
NIGO氏と片山正通氏による空間デザイン
店舗の企画には、A BATHING APEやHUMAN MADEの創業者であり、KENZOのアーティスティックディレクターも務めるNIGO氏がクリエイティブ・ディレクターとして参画しています。建築・売場デザインは、インテリアデザイナー・片山正通氏が率いるWonderwallが手がけました。屋上には「屋上の森」と呼ばれる緑地を配置し、店舗前には気軽に立ち寄れる「FAMIMA STAND」も設置されています。麻布台という緑豊かな土地柄を意識した設計といわれています。
なぜ麻布台という立地が選ばれたのか
出店エリアとして麻布台が選ばれた点も見逃せません。周辺には大規模複合施設「麻布台ヒルズ」があり、国内外のビジネスパーソンや観光客が行き交う国際色豊かなエリアとして知られています。ニュースリリースでも多言語対応や商品案内の専門スタッフを配置したことが紹介されており、訪日客を含む幅広い客層を意識した店づくりがうかがえます。単なる話題性だけでなく、立地特性に合わせて商品構成やサービスを最適化する姿勢は、今後の出店戦略を占ううえでも参考になりそうです。
なぜアパレルを強化するのか
今回の旗艦店で最も注目されているのが、PBブランド「コンビニエンスウェア」の売場です。全身コーディネートを提案するタッチパネルや専門スタッフに加え、コンビニエンスウェアとして初となる試着室が設置されました。これまでコンビニ衣料は「試着せずにレジ横で買う」ものというイメージが強かっただけに、サイズ感や着心地を確かめてから購入できる環境は大きな転換点といえます。
コンビニエンスウェアは、ファッションデザイナー落合宏理氏(自身のブランド「FACETASM」でパリコレにも参加)との共同開発で2021年に誕生したブランドです。「いい素材、いい技術、いいデザイン。」をコンセプトに掲げ、Tシャツやソックスなど日用衣料を再定義したことで話題を呼びました。象徴商品であるラインソックスは累計販売数2,800万足を突破したと報じられています。
好調な売上実績が拡大の後押しに
報道によると、コンビニエンスウェアは2024年度に年間売上130億円を突破し、2025年度は約200億円に到達したとされています。さらに2026年度には1.5倍の300億円を目指す成長戦略が伝えられており、単なる話題づくりではなく収益の柱として育っていることがうかがえます。顧客層についても、当初想定していた実用重視の中年男性層から、ファッション感度の高い若年女性や訪日観光客へと広がったといわれています。
こうした実績を背景に、ファミリーマートは2025年9月にも東京・ブルーフロント芝浦にコンビニエンスウェア初のサテライトショップをオープンしています。約150商品を集めた専門店的な売場で、今回の旗艦店はその延長線上にあるアパレル路面強化の集大成と位置づけられそうです。
コンビニ業界のアパレル戦略、他社との違い
衣料品への取り組みはファミリーマートだけの動きではなく、コンビニ業界全体のトレンドともいえます。ローソンは2022年から無印良品との協業を本格化させ、一部店舗で肌着や靴下、化粧品など約500品目を取り扱っています。婦人インナーはM〜Lサイズ、紳士インナーはM〜XLサイズ展開といわれ、無印良品ブランドの信頼感をそのままコンビニに持ち込む戦略が特徴です。セブン-イレブンも機能性インナーなど実用性重視の衣料品を展開してきました。
3社を比較すると、狙いの違いが見えてきます。
- ファミリーマート:デザイナー監修のオリジナルブランドでファッション性を打ち出す路線
- ローソン:無印良品との協業により定番品を24時間・適正価格で提供する路線
- セブン-イレブン:機能性インナーなど実用重視のアイテムを中心とした路線
同じ「コンビニでの衣料品販売」でも、自社デザイナー起用による差別化を選んだファミリーマートと、既存ブランドとの協業で信頼性を担保するローソンとでは、アプローチがはっきり異なることがわかります。今回の旗艦店オープンは、ファミリーマートがこの路線をさらに前面に押し出す動きと見ることができそうです。
背景には、コンビニ業界全体の客数頭打ちという課題もあるといわれています。飲料や弁当といった従来の主力カテゴリーだけでは客単価の底上げに限界があるため、各社は衣料品や雑貨といった非食品分野で新たな買い物理由をつくろうとしています。訪日外国人観光客の増加も追い風で、旗艦店のように体験そのものを目的地化する売場は、今後さらに増えていく可能性がありそうです。
旗艦店ならではの限定コンテンツ
FAMIMA PARK AZABUDAIでは、アパレル以外にも独自の企画が用意されています。俳優・浅野忠信氏を起用した大型ビジュアルパネルが売場を彩るほか、世界大会優勝経験を持つバリスタ・粕谷哲氏監修のコーヒーや、エスプレッソマシンで淹れる旗艦店限定ティーも提供されています。都市部で働く20〜40代をターゲットにした都市型デリカテッセンも展開され、味と体験の両面で差別化を図っている印象です。
さらに、店舗の顔として新開発された「FAMIMA」公式キャラクターがグッズや衣料品に登場しているのも見どころです。オープン記念として、先着2,026名に限定シールを、税込5,000円以上購入者先着2,000名にオリジナルエコバッグをプレゼントする企画も実施されました。限定商品の一部はファミマオンラインでも2026年7月14日から数量限定で販売される予定です。
また、NIGO氏を特集したムック本「Casa BRUTUS By NIGO® SPECIAL ENGLISH VERSION」の特装版も、旗艦店とファミマオンラインでそれぞれ100冊限定で発売されました。HUMAN MADE、FAMIMA、NIKE、KENZOという4ブランドのロゴをあしらったリバーシブルトートバッグが付属しており、コレクター需要も意識した企画といえそうです。価格は税込13,800円と、通常のコンビニ商品とは一線を画す設定になっています。
ファミリーマートはIPビジネス強化の一環として、この公式キャラクターを店舗や商品、店舗体験を横断して展開していく方針も明らかにしています。今後は全国のファミリーマート店舗にも順次商品展開する予定と発表されており、麻布台限定の取り組みにとどまらない広がりを見せそうです。ローソンやセブン-イレブンが既存ブランドとの協業を中心に品ぞろえを広げるのに対し、FAMIMAは自社企画の商品と店舗体験を一体化させている点が特徴です。旗艦店で得た反応が、今後の全国店舗の商品開発にどう反映されるかも注目されます。

