岡田英次『また逢う日まで』ガラス越しのキスはなぜ名場面?久我美子との共演を解説
岡田英次の名前とともに語られる代表作の一つが、1950年公開の映画『また逢う日まで』です。今井正監督、久我美子と岡田英次の共演で、戦争に引き裂かれる若い男女の恋を描いた作品として知られています。
特に有名なのが、二人が窓ガラスを挟んで唇を重ねる「ガラス越しのキス」です。日本映画データベース(JFDB)でも日本映画史に残る名場面として紹介されており、岡田英次が一躍人気俳優となった背景を考えるうえで欠かせない場面です。
『また逢う日まで』はどんな映画?
『また逢う日まで』は1950年3月21日に公開された東宝作品です。監督は今井正、脚本は水木洋子と八住利雄。ロマン・ロランの小説『ピエールとリュース』をもとに、戦時下の東京で出会った若い男女の悲恋を描きます。
JFDBでは、大学生の三郎と画家の螢子が空襲警報の鳴る地下鉄で出会い、戦火が激しくなる中で恋を深めていく物語として紹介されています。岡田英次と久我美子の瑞々しい演技が、物語の中心を支えています。
岡田英次が演じた若者と久我美子との共演
国立映画アーカイブの所蔵情報でも、岡田英次と久我美子は主要キャストとして記録されています。岡田英次にとっては映画デビューの翌年にあたる時期であり、この作品での成功がその後の出演作拡大につながりました。
岡田英次の端正で知的な雰囲気は、戦争という大きな時代の力に押し流されながら、それでも個人の感情を守ろうとする青年像とよく重なります。派手なヒーローではなく、現実の重さの中にいる若者を演じたことが作品の切実さを強めました。
ガラス越しのキスが有名になった理由
「ガラス越しのキス」は、二人の間に現実の障壁があることを視覚的に示す場面です。触れたいのに直接触れられない距離が、恋人たちを隔てる戦争そのものを連想させます。
当時としても強い印象を残す恋愛表現でしたが、単なるロマンチックな演出で終わらない点が重要です。ガラスは二人を近づける一方で隔ててもいるため、親密さと断絶が同時に画面へ現れます。その象徴性が、長く語り継がれる理由の一つです。
恋愛映画でありながら戦争を描く作品
『また逢う日まで』の中心は恋愛ですが、二人の人生を決定的に左右するのは戦争です。若者の未来が本人たちの意思だけでは決められない状況が、物語全体を覆っています。
岡田英次の役は、恋愛の幸福だけを表現するのではなく、戦時下の不安や諦め、そこから逃れようとする願いまで背負っています。のちに社会派作品へ数多く出演する岡田英次の初期キャリアを象徴する一本といえます。
『また逢う日まで』は岡田英次の出世作
NHKアーカイブスの人物紹介は、岡田英次が『また逢う日まで』でヒロインの相手役を演じ、人気を博したと記しています。1949年のデビューから間もない時期に、この作品が俳優としての知名度を大きく押し上げました。
その後は『真空地帯』『ひめゆりの塔』『ここに泉あり』などへ出演し、1959年には『二十四時間の情事』で国際的にも知られるようになります。『また逢う日まで』は、そうした飛躍の起点として位置づけられます。
今見ても注目したい岡田英次の演技
現代の視点で見ると、岡田英次の演技は感情を大きく誇張せず、青年の迷いや戸惑いを静かに表現している点が印象的です。作品そのものが反戦的な視点を持つため、登場人物の小さな選択が時代の重圧と対照になります。
ガラス越しのキスだけを切り取るのではなく、その前後にある不安や戦争の影まで含めて見ると、なぜこの場面が強く残るのかがより理解しやすくなります。
岡田英次についてよくある質問
『また逢う日まで』は何年の映画ですか?
1950年公開の東宝作品です。監督は今井正です。
岡田英次の共演者は誰ですか?
主要な共演者は久我美子です。ほかに滝沢修、杉村春子、芥川比呂志らが出演しています。
ガラス越しのキスは本当に有名な場面ですか?
はい。JFDBでも日本映画史に残る名場面として紹介されています。
まとめ
岡田英次にとって『また逢う日まで』は、デビュー直後の名を広く知らしめた重要作です。久我美子とのガラス越しのキスは、恋愛の近さと戦争による隔たりを一つの画面で示す象徴的な場面になりました。
名場面の背景にある戦時下の物語まで追うことで、岡田英次が単なる二枚目スターではなく、社会の重さを背負う人物を演じる俳優として早くから評価された理由も見えてきます。

