クラシック音楽館 N響2070回|シューマン/交響曲第4番とは?ルイージ指揮の聴きどころ|10/11 21:00
10月11日(日)21時からNHK Eテレで放送される「クラシック音楽館」では、N響 第2070回定期公演が紹介されます。
プログラムを締めくくるのが、ローベルト・シューマンの交響曲 第4番 ニ短調 作品120(改訂版)です。指揮はN響首席指揮者のファビオ・ルイージ。この記事では演奏の印象や評価には踏み込まず、曲そのものの成立、改訂版の特徴、4つの楽章をどう聴くと流れが分かりやすいかを整理します。
「第4番」という番号だけでは分かりにくい、この作品の少し複雑な歴史から見ていきましょう。
クラシック音楽館 N響2070回の放送日時とシューマンの曲目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 番組 | クラシック音楽館 N響 第2070回定期公演 |
| 放送日時 | 2026年10月11日(日)21:00〜23:00 |
| 放送局 | NHK Eテレ |
| 管弦楽 | NHK交響楽団 |
| 指揮 | ファビオ・ルイージ |
| 曲目 | シューマン/交響曲 第4番 ニ短調 作品120(改訂版) |
N響公式の第2070回定期公演Bプログラムでは、ウェーバー、ブラームス、シューマンというドイツ・ロマン派の作曲家が並びます。シューマンの第4番は最後に置かれ、今回演奏されるのは1851年に手を入れた改訂版です。
公演自体は2026年9月17日と18日にサントリーホールで開催されました。テレビ放送の案内では9月17日収録とされており、10月11日の放送でこのプログラムをまとまって聴けます。
シューマンの交響曲第4番とは?
シューマンの交響曲第4番 ニ短調 作品120は、番号だけを見ると4番目に作曲された交響曲のように見えますが、実際の成立はもう少し複雑です。
N響公式の作品解説によると、最初の形は1841年に作曲されました。この年のシューマンは交響曲第1番「春」を発表し、その後も管弦楽作品へ意欲的に取り組んでいます。現在「第4番」と呼ばれるニ短調交響曲も同年に初演されましたが、その時点では出版されませんでした。
その約10年後の1851年、シューマンは作品を大きく見直します。オーケストレーションをはじめ各部に手が加えられ、1853年には改訂版が出版されました。現在の作品番号120と「第4番」という呼び名は、この後の出版順と結び付いています。
そのため、この曲を聴くときは「晩年にゼロから書かれた第4交響曲」というより、1841年に生まれた作品を10年後に再構成した交響曲と考えると位置づけが分かりやすくなります。
4楽章が切れ目なく続くのが大きな特徴
シューマンの交響曲第4番で最も分かりやすい特徴のひとつが、4つの楽章が基本的に切れ目なく続くことです。
一般的な交響曲では、各楽章が終わるたびに一度音楽が止まり、次の楽章へ進みます。この作品では楽章間のつながりが重視され、前の楽章で聞いた素材が別の楽章に姿を変えて現れます。
N響公式の解説では、第1楽章の導入で現れる上下行する動機が他の楽章でも活用されること、第4楽章では第1楽章の主要主題が再び使われることが説明されています。つまり、4つの独立した曲を順番に並べたというより、ひとつの大きな流れを4つの場面に分けたような設計になっています。
放送で聴くときは「いま何楽章か」だけを追うより、「さっき聞いた形に似た音型が戻ってきていないか」と耳を向けると、この作品のまとまりを感じやすくなります。
第1楽章の聴きどころ|序奏の動機が全曲をつなぐ
第1楽章はゆっくりした序奏から始まり、その後に活発な主部へ進みます。
N響公式の解説で注目されているのが、序奏に現れる下行と上行を続ける動機です。この短い材料は第1楽章だけで終わらず、後の楽章にも関係してきます。
主部は勢いを増していきますが、伝統的なソナタ形式をそのまま当てはめると少し変則的です。シューマンは形式の枠を守ることよりも、音楽を次へ進ませる連続感を優先したと考えると聴きやすくなります。
第1楽章の終わりで「一区切りついた」と安心するより、次のロマンツェへどう空気が変わっていくかまでをひと続きに聴くのがおすすめです。
第2楽章ロマンツェの聴きどころ|静かな歌と独奏ヴァイオリン
第2楽章はRomanze(ロマンツェ)。激しい動きから離れ、哀愁を帯びた静かな表情が前面に出ます。
この楽章ではオーボエや独奏ヴァイオリンが印象的な役割を担います。交響曲の中で一人のヴァイオリンが前に出てくるため、協奏曲とは違う形で「個の声」が聞こえてきます。
さらに重要なのは、この静かな楽章にも全曲をつなぐ材料が組み込まれていることです。単独の美しい緩徐楽章として聴くだけでなく、第1楽章から続く音楽の記憶がどこに残っているかを意識すると、第4番らしい循環感が見えてきます。
第3楽章スケルツォの聴きどころ|繰り返し方が少し変則的
第3楽章はスケルツォです。勢いのある主部と、性格の異なる部分が交互に現れます。
N響公式の解説では、一般的な「A-B-A」という3部形式ではなく、A-B-A-Bのように進む変形された形が指摘されています。ここでもシューマンは、教科書通りに閉じた楽章を作るより、次へつながる流れを重視しています。
第2楽章で聞いた材料が姿を変えて現れる点にも注目です。速いテンポに意識が向きやすいところですが、旋律の輪郭を追うと前楽章とのつながりが分かりやすくなります。
第4楽章の聴きどころ|ニ短調からニ長調へ
第3楽章からそのまま第4楽章へ入り、音楽は終結へ向かいます。
ここでは暗いニ短調の世界から、最終的にニ長調へ進む調性の変化が大きなポイントです。第1楽章に関係する主題も戻り、冒頭から続いてきた材料が終楽章で新しい意味を持ちます。
終盤ではテンポが段階的に加速し、全曲を押し切るように終わります。単に「最後だけ明るく速くなる」のではなく、最初に提示された材料が長い時間をかけて変形され、最終地点へ到達する流れとして聴くと、曲の設計がよりはっきりします。
1841年初稿と1851年改訂版は何が違う?
この作品には1841年の初稿と1851年の改訂版があります。今回のN響第2070回で演奏されるのは改訂版です。
IMSLPの作品情報でも、1841年に作曲され、1851年に改訂されたこと、初稿が1841年12月にライプチヒで初演され、改訂版が1853年3月にデュッセルドルフでシューマン自身の指揮により演奏されたことが確認できます。
改訂では、楽章を切れ目なくつなぐ基本構想や主要な素材を保ちながら、オーケストレーションなどに大きく手が入れられました。どちらが絶対的に優れているという話ではなく、同じ作品をシューマン自身が別の時期に見直した二つの姿がある、と捉えるのが自然です。
今回の放送では「改訂版」と明記されているため、重厚さを増した1851年版の構造を前提に曲をたどることになります。
ルイージ指揮で聴く前に押さえたいポイント
ファビオ・ルイージはN響首席指揮者として第2070回定期公演を指揮します。ただし放送前の記事なので、今回の演奏を「こうだった」と評価することはできません。
聴く前のポイントとしては、テンポや音量の変化だけでなく、楽章間をどうつなぐか、同じ動機がどう再登場するか、ニ短調からニ長調へどう進むかを意識するとよいでしょう。
シューマン第4番は、4楽章のそれぞれに名前と性格がありながら、全体では一続きの作品として設計されています。指揮者がどこで区切りを感じさせ、どこで流れを止めずに次へ運ぶのかは、この曲を聴くときの重要な着眼点になります。
参考にした情報
- NHK交響楽団「第2070回 定期公演 Bプログラム」
- NHK交響楽団「2026–27シーズン定期公演プログラム」
- J:COMテレビ番組表「クラシック音楽館 N響 第2070回定期公演」
- IMSLP「Symphony No.4, Op.120 (Schumann, Robert)」
よくある質問
シューマンの交響曲第4番は本当に4番目に作曲された曲ですか?
いいえ。最初の形は1841年に作曲され、その後1851年に改訂されました。「第4番」は主に出版順との関係で定着した番号です。
今回のクラシック音楽館で演奏されるのは初稿と改訂版のどちらですか?
1851年の改訂版です。N響公式の第2070回定期公演ページにも「交響曲 第4番 ニ短調 作品120(改訂版)」と明記されています。
シューマン交響曲第4番の大きな特徴は何ですか?
4つの楽章が基本的に切れ目なく続き、同じ動機や主題が複数の楽章で姿を変えて使われることです。全曲をひとつの大きな流れとして聴きやすい交響曲です。
まとめ
10月11日の「クラシック音楽館」N響第2070回で演奏されるシューマンの交響曲第4番は、1841年の作品を1851年に大きく見直した改訂版です。
最大の特徴は、4つの楽章を切れ目なくつなぎ、共通する動機を楽章の境界を越えて使っていること。第1楽章の序奏から第4楽章のニ長調の終結までを一続きの物語のように追うと、この交響曲の個性が分かりやすくなります。ルイージ指揮の今回も、演奏評ではなく、まず作品の設計に耳を向けて楽しみたい一曲です。

