サイエンスZEROウミガメ大追跡|クルクル行動と地磁気、季節予測まで分かること【10月11日】|10/11 23:30
10月11日(日)23時30分からNHK Eテレで放送される「サイエンスZERO」は、20年以上続くウミガメの追跡研究を特集します。
発信機やデータロガーでウミガメの移動を追うと、故郷の浜へ戻るナビゲーションの謎だけでなく、一定方向へ泳ぐ前に「クルクル」と旋回する不思議な行動も見えてきました。さらに、ウミガメが泳ぎながら記録した水温データを、数カ月先の海水温を予測する研究に使う試みも進んでいます。
番組で扱われるテーマを、研究機関が公表している成果と合わせて整理します。
サイエンスZERO「ウミガメ大追跡」の放送日時と出演者
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 放送日時 | 2026年10月11日(日)23:30〜24:00 |
| 放送局 | NHK Eテレ |
| テーマ | ウミガメ大追跡!未知の生態を解き明かせ |
| ゲスト | 斉藤知己(高知大学イノベーションセンター教授) |
| 司会 | 井上咲楽、浅井理 |
| 語り | 川野剛稔 |
| 再放送 | 10月13日(火)15:05〜15:35予定 |
NHKの今回放送ページはURLを確認できましたが、この環境からは本文へ直接アクセスできませんでした。そのため放送内容は、大学・水族館の公式発表と放送局公式情報を掲載する番組表で照合しています。
Gガイドでは、国内外の研究者が20年以上にわたって行ってきた追跡プロジェクトを取り上げ、発信機が記録した位置情報からウミガメの生態を読み解く内容と紹介されています。
ウミガメの「クルクル行動」とは?
今回とくに気になるのが、ウミガメが見せるクルクルと回る旋回行動です。
名城大学は10月9日の公式発表で、楢﨑友子准教授の研究が番組で紹介されると告知しました。番組ではコモロ諸島での実験を通してクルクル行動を紹介し、ウミガメが生まれた浜の周辺へ戻るナビゲーション能力や地磁気との関係を、最新研究をもとに解説するとしています。
東京大学大気海洋研究所の研究発表によると、地磁気・加速度データロガーを使って海洋動物の動きを細かく調べた結果、サメ、ウミガメ、ペンギン、オットセイ、クジラなど複数の大型海洋動物で、比較的安定した速さの旋回行動が確認されました。
特に帰巣実験中のアオウミガメでは、産卵場の近くで旋回し、その後に目的地へ向かう正しい方向へ進む例が確認されています。研究チームは、旋回によって進む方向を調べている可能性を示しています。
クルクル回ると地磁気が分かる?
海を長距離移動するウミガメが、どうやって目的地の方向を知るのかは長く研究されてきたテーマです。
ウミガメなどの回遊動物が地磁気を利用する能力を持つことは知られていますが、どのように磁場を感じ取って進行方向を決めているかは、すべて解明されたわけではありません。
東京大学の研究では、全方位へ体を向けられる旋回行動が地磁気を感知するための行動かもしれないとしています。ただし、これは可能性を示した段階で、旋回の役割を一つに断定した研究ではありません。
番組タイトルにある「未知の生態を解き明かせ」という言葉どおり、今回の見どころは完成した答えだけでなく、追跡データから仮説を検証していく科学の過程にもあります。
20年以上の追跡調査で何が分かる?
名古屋港水族館は10月7日の公式情報で、今回の「サイエンスZERO」に同館のウミガメ追跡調査プロジェクトが紹介されると発表しています。
ウミガメは海中で長距離を移動するため、人が船で常時追い続けることは現実的ではありません。そこで背中などに発信機や記録装置を取り付け、位置、深度、水温、加速度などのデータを得るバイオロギングの手法が使われます。
位置情報を長期間蓄積すれば、どの海域を通って移動するのか、どこで餌をとるのか、産卵後にどこへ向かうのかといった回遊の特徴が見えてきます。さらに高精度なロガーを使うことで、水平移動だけでは分からなかった潜水中の細かな行動まで捉えられるようになりました。
高知大学の斉藤知己教授はウミガメ研究に長く携わっており、研究者総覧にもアカウミガメの経験水温、孵化幼体の行動、回遊などに関する研究実績が掲載されています。今回の番組ではゲストとして、長期調査から何が見えてきたのかを解説します。
ウミガメが故郷の浜へ戻れるのはなぜ?
成熟したウミガメは、産卵のために生まれた地域の浜へ戻ることで知られています。広い海には道路標識も建物もありませんが、長距離を移動した後に産卵地へ戻る能力があります。
名城大学の発表では、今回の番組でこのナビゲーション能力と地磁気の関係を紹介するとしています。クルクル行動の研究も、この「どのように方向を決めているのか」という疑問につながります。
地磁気だけですべてを説明できるわけではありませんが、ウミガメが目的地の近くで旋回した後に正しい方向へ進んだ観察結果は、方向を確認する行動の可能性を考える重要な材料です。
ウミガメの種類や生態そのものが気になる場合は、ヒメウミガメの大きさ・生息地・一斉産卵をまとめた記事もあわせて読むと、後半の季節予測研究で登場するヒメウミガメの特徴をつかみやすくなります。
ウミガメの記録が「地球の将来予測」に役立つのはなぜ?
今回の予告で最も意外なのが、ウミガメの泳いだ記録が季節予測に使われるという点です。
JAMSTECと東京大学大気海洋研究所は2019年、深度と水温を記録する装置を付けたウミガメのデータを季節予測シミュレーションに利用した研究成果を発表しました。
研究では、インドネシア西パプア州の海岸で産卵したヒメウミガメ5頭に人工衛星対応の発信器を取り付けています。ウミガメはニューギニア島を回り込んでアラフラ海へ向かい、約3カ月にわたり、潜水しながら水面下の水温情報をほぼ毎日送信しました。
なぜウミガメの水温データが貴重なのか
季節予測では、海の表面だけでなく内部の水温構造をできるだけ正確に把握することが重要です。
大洋ではアルゴフロートなどの観測網が整備されていますが、島や陸地に囲まれた複雑な縁辺海では観測データが不足する場所があります。ウミガメはそうした海域を自分で泳ぎ、潜水を繰り返すため、人や固定観測点では取りにくい水中の温度を記録できます。
JAMSTECの研究では、このウミガメ由来の水温データを季節予測システムに取り込むことで、3カ月後の周辺海域の水温変動の予測が大きく改善しました。
これはウミガメが未来を予知するという意味ではありません。ウミガメが集めた観測データを気候モデルへ入力することで、予測開始時点の海の状態をより正確に把握し、その後の計算精度を高めるという仕組みです。
生態研究と気候研究がつながる「バイオロギング」
バイオロギングは、動物に小型の記録装置を付け、自然の中でどのように動いているのかを調べる方法です。
もともとは行動や生態を知るために使われてきましたが、ウミガメが潜る深さや経験した水温も記録できれば、そのデータは海そのものを観測する情報にもなります。
JAMSTECは2019年の発表で、動物由来の観測データを国際的な海洋観測システムに組み込めれば、海況や気候の予測技術が発展する可能性があるとしています。
今回の「サイエンスZERO」は、動物を追跡する研究が「ウミガメはどこへ行くのか」という生態学の疑問だけで終わらず、気候や海洋の予測へ広がっていく点も大きな見どころです。
ゲストの斉藤知己教授はどんな研究者?
斉藤知己教授は高知大学で海洋生物研究に携わっています。高知大学の研究者総覧には、ウミガメの産卵・孵化、経験水温、回遊などに関する研究や学会発表が掲載されています。
高知県沿岸ではアカウミガメやアオウミガメの産卵・生育環境の研究も行われており、長期的な現地調査と保全活動が続けられています。
番組では斉藤教授がゲストとして出演するため、長年の追跡で蓄積された位置情報をどう読み解くのか、研究者がウミガメの移動から何を判断するのかという部分にも注目です。
前回のサイエンスZEROは頭痛の電気治療
「サイエンスZERO」は毎回、宇宙、医学、生物、環境など異なる科学テーマを扱います。
直近では、電気刺激で神経の働きを変えるニューロモデュレーションと片頭痛を扱う回が放送されました。内容を確認したい方は、サイエンスZERO「頭痛の電気治療」回の解説もご覧ください。
今回は医療から海洋生物へテーマが大きく変わり、ウミガメの行動を追うことで生態と地球環境の両方へ迫ります。
再放送は10月13日15時05分から予定
大学の告知と番組表では、10月11日23時30分からの本放送に加え、10月13日(火)15時05分〜15時35分に再放送が予定されています。
放送予定は変更される場合があるため、視聴時はNHKの番組表で最新の時刻を確認してください。
参考にした情報
- 名城大学「楢﨑友子准教授の研究がNHK Eテレ『サイエンスZERO』で紹介」
- 名古屋港水族館「サイエンスZEROでウミガメ追跡調査プロジェクトが紹介」
- Gガイド「サイエンスZERO ウミガメ大追跡!未知の生態を解き明かせ」
- 東京大学大気海洋研究所「クルクルまわる海洋動物」
- JAMSTEC「ウミガメ由来の海洋観測データを季節予測シミュレーションに活用」
- 高知大学 斉藤知己教授 研究者総覧
よくある質問
サイエンスZEROのウミガメ大追跡はいつ放送ですか?
2026年10月11日(日)23時30分から24時までNHK Eテレで放送予定です。10月13日(火)15時05分から再放送も予定されています。
ウミガメのクルクル行動は何のためですか?
研究では、目的地近くで旋回後に正しい方向へ進む例があり、方向確認や地磁気の感知に関係する可能性が示されています。ただし機能は完全には解明されていません。
ウミガメのデータで天気を予測できるのですか?
ウミガメが記録した水温データを季節予測システムに取り込むことで、数カ月先の海水温変動の予測精度を高める研究があります。ウミガメ自身が天気を予知するという意味ではありません。
10月11日のゲストは誰ですか?
高知大学イノベーションセンターの斉藤知己教授です。司会は井上咲楽さんと浅井理さん、語りは川野剛稔さんです。
まとめ
10月11日の「サイエンスZERO」は、20年以上続くウミガメ追跡研究から見えてきた未知の行動と、そのデータが地球環境研究へ広がる過程を紹介する回です。
ポイントは、故郷の浜へ戻るナビゲーション、方向確認に関係する可能性があるクルクル行動、そして潜水しながら集めた水温データを季節予測へ生かす研究です。
ウミガメを追うことが、生き物の不思議を知るだけでなく、観測の少ない海域の状態を知り、数カ月先の海水温予測を改善する手段にもなる。生態学と海洋・気候研究がつながるところに、今回の特集の面白さがあります。

