新プロジェクトX〜挑戦者たち〜前回「あまおう」から今回「シジミ」へ|10月10日の違いと見どころ|10/10 20:07
10月10日(土)20時07分から放送される「新プロジェクトX〜挑戦者たち〜」は、「シジミが国を動かした〜奇跡の湖“宍道湖”を守れ〜」がテーマです。前回10月3日は福岡のブランドいちご「あまおう」の開発と普及を描いた回でした。
2週続けて地域を代表する“食”が主役ですが、物語の方向はかなり違います。前回は、他県の新品種に押される苦境から新しいいちごを生み出す商品開発の逆転劇。今回は、国の淡水化事業によってシジミが生きられなくなる危機に対し、漁師と市民が湖を守ろうとする環境と暮らしをめぐる逆転劇です。
前回を見た方も、今夜から見始める方も分かるように、10月3日「あまおう」と10月10日「シジミ」の違いを整理します。
新プロジェクトX10月10日「シジミが国を動かした」の放送情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 放送日時 | 2026年10月10日(土)20:07〜20:55 |
| 放送局 | NHK総合 |
| 番組名 | 新プロジェクトX〜挑戦者たち〜 |
| 今回のタイトル | シジミが国を動かした〜奇跡の湖“宍道湖”を守れ〜 |
| 舞台 | 島根県松江市・宍道湖 |
| 語り | 田口トモロヲ |
島根県観光連盟の案内では、昭和の時代に進められた宍道湖の淡水化事業により、島根の名産であるヤマトシジミが死滅する危機に直面したことが今回の出発点です。一度は補償金を受け取り同意した漁師たちが、宍道湖と共にある暮らしを守るため、市民とともに立ち上がった物語とされています。
島根県の資料によると、国営中海土地改良事業は中海の干拓と、宍道湖・中海の淡水化による農業用水の確保を目的に進められました。その後、淡水化は延期を経て、2002年に中止が決定しています。今夜は、その大きな政策転換の背景にいた人々が中心になります。
前回10月3日は「あまおう」誕生の逆転劇
前回10月3日のテーマは「“いちごの王様”となれ〜福岡発 世界への逆転劇〜」でした。JA全農ふくれんは、福岡県産いちご「あまおう」の開発・普及に向けた挑戦の軌跡や、関係者の取り組みが紹介される回として案内しています。
番組制作を担当したテレビマンユニオンの紹介でも、テーマは「あまおう」。福岡の「とよのか」が栃木の「とちおとめ」に押される中、新品種を生み出し、全国さらに海外で知られるブランドへ育てていく人々の挑戦が描かれました。
詳しい開発の流れや福岡S6号については、新プロジェクトX「あまおう」はどこで誕生?福岡S6号の開発と直売所情報でもまとめています。
前回の中心は「新しい価値を作る」こと
「あまおう」回では、すでに人気のあった「とよのか」が市場で苦戦するという問題がありました。そこで研究者や農家が新品種の開発と栽培方法の確立に挑み、商品としての新しい価値を作り出していきます。
試験場で多数の株を選抜し、栽培上の弱点を克服し、産地全体へ広げていく。さらに病害などの困難も越えるという流れは、技術開発と農業経営の両面が絡むプロジェクトでした。
結果として現在まで知られるブランドになっているため、視聴者は普段スーパーで見る「あまおう」が、どのように生まれたかを逆算する形で物語を見ることができました。
今回10月10日は「失わないために守る」物語
今回のシジミ回は、前回とは逆に「新しいものを生み出す」ことが中心ではありません。すでに地域に存在する宍道湖の汽水環境と、そこで続いてきたシジミ漁を失わないために守ることが物語の軸です。
宍道湖漁業協同組合によると、宍道湖を淡水化する計画は農業用水の確保を背景に進められ、1968年に工事が始まりました。その後、1981年ごろから地域住民と一体になった淡水化反対運動が広がったとされています。
ヤマトシジミは汽水域に生息するため、湖の塩分環境が失われれば生息を続けられません。漁師にとっては漁獲物の問題であると同時に、長年続いてきた仕事と暮らしそのものに関わる問題でした。
補償を受けた側が再び声を上げる難しさ
今回の番組紹介で注目したいのが、一度は補償金を受け取り、事業に同意した漁師たちが立ち上がったという点です。宍道湖漁協の記録では、漁業補償交渉が妥結した後、しじみ漁業者たちが補償金の返還を決議し、農林水産大臣へ返還を申し出る行動に出たことが紹介されています。
単純に「最初から反対していた人々が計画を止めた」という構図ではありません。一度決まったことに対し、自分たちの判断を問い直し、地域の将来を考えて行動を変える。その葛藤が今回の見どころになりそうです。
宍道湖漁協は、漁船パレード、署名活動、シジミの無料配布など、地域と一体になった運動を記録しています。1988年に淡水化の延期が決まり、最終的には2002年に淡水化計画が中止されました。
前回「あまおう」と今回「シジミ」の違いを比較
2つの回を並べると、「新プロジェクトX」が食材そのものの紹介番組ではなく、その背後にいる人々の決断を描く番組だと分かります。
| 比較点 | 10月3日「あまおう」 | 10月10日「シジミ」 |
|---|---|---|
| 主な舞台 | 福岡県 | 島根県・宍道湖 |
| 題材 | ブランドいちごの開発 | 宍道湖の汽水環境とシジミ漁 |
| 出発点 | 「とよのか」の競争力低下 | 淡水化でヤマトシジミが生きられなくなる危機 |
| 挑戦の方向 | 新品種を生み、育て、広げる | 湖と漁業を守るため政策に働きかける |
| 主な担い手 | 研究者、農家、農業関係者 | 漁師、市民、地域の関係者 |
| 大きな壁 | 栽培の難しさ、病害、市場競争 | 既に進む国の事業、過去の同意、地域の合意形成 |
| 見るポイント | 技術と商品開発 | 環境、暮らし、住民運動と政策 |
前回は「負けている産地がどう逆転したか」という分かりやすい競争の構図がありました。今回は「国の事業」と「地域の自然・産業」という、複数の価値がぶつかるテーマです。
農業用水を確保したい側にも目的があり、漁業や汽水環境を守りたい側にも生活があります。島根県が現在、淡水化に代わる農業用水確保対策を説明していることからも、単に事業を止めれば終わりではなく、代替の水源整備まで必要だったことが分かります。
今夜の見どころは「国を動かした」までの過程
タイトルには「シジミが国を動かした」とありますが、実際に政策を動かしたのは、シジミを守ろうと行動した人々です。今夜見るうえでは、結果だけでなく、なぜ一度同意した漁師が方針を変え、どのように市民の共感を広げていったのかに注目すると内容をつかみやすくなります。
宍道湖漁協の記録には、補償金返還、国会議員へのシジミ配布、銀座でのシジミ汁やシジミの無料配布、1万人規模の集会、250隻の漁船パレードなどが登場します。行政への要望だけでなく、一般の人に「シジミがなくなるかもしれない」と伝える行動を重ねたことが特徴です。
前回の「あまおう」では、研究・試験栽培・生産現場という積み重ねが新品種を育てました。今回は、漁師、市民、行政、農業側など立場の違う人々が関わる中で、世論と政策がどう変化していったのかが大きなポイントです。
食材の価値が違う角度から描かれる2週
「あまおう」とシジミは、どちらも地域を代表する食材です。ただ、前回は「ブランドとして育てる価値」、今回は「地域の環境とともに守る価値」が中心です。
あまおうは、人が新品種を作り、栽培技術を整え、市場へ広げたことで価値が高まりました。宍道湖のシジミは、汽水という自然条件が維持されなければ成り立ちません。人が作る力と、人が自然条件を守る力。その対比も2週を続けて見る面白さです。
新プロジェクトXを前回見ていなくても今回から楽しめる?
今回の「シジミが国を動かした」は前回「あまおう」の続編ではなく、独立したテーマです。前回を見ていなくても、今回だけで物語を追える構成になっています。
ただし、2週を比べると番組の幅が分かりやすくなります。新しい商品や技術を生み出す挑戦だけでなく、すでにある自然や暮らしを守るために社会の仕組みを変える挑戦も「プロジェクトX」の題材になるということです。
前回が農業とブランド開発に興味がある人向けだったのに対し、今回は環境問題、地域産業、公共事業、住民運動といったテーマに関心がある人にも見応えのある回になりそうです。
参考にした情報
- 島根フィルムコミッションネットワーク「10月10日放送★NHK『新プロジェクトX〜挑戦者たち〜』に松江市が登場します!」
- JA全農ふくれん「NHK『新プロジェクトX』あまおう編放送について」
- テレビマンユニオン「新プロジェクトX 挑戦者たち『“いちごの王様”となれ』」
- 島根県「宍道湖・中海の淡水化に替わる農業用水確保対策事業」
- 宍道湖漁業協同組合「宍道湖について」
よくある質問
新プロジェクトXの前回10月3日は何の回でしたか?
前回10月3日は、福岡県産いちご「あまおう」の開発と普及を描く「“いちごの王様”となれ〜福岡発 世界への逆転劇〜」でした。
10月10日のシジミ回は前回の続編ですか?
いいえ。前回と今回に物語上のつながりはなく、それぞれ独立したテーマです。今回は島根県の宍道湖とヤマトシジミを守った漁師や市民の挑戦が中心です。
あまおう回とシジミ回の一番大きな違いは何ですか?
前回は新品種を生み出して産地を再生する商品開発の物語、今回は既にある汽水湖とシジミ漁を守るために地域が行動し、政策を動かした物語という違いがあります。
まとめ
「新プロジェクトX〜挑戦者たち〜」は、前回10月3日に「あまおう」の開発と普及を描き、10月10日は宍道湖のシジミと汽水環境を守った人々を取り上げます。どちらも地域を代表する食材が入口ですが、挑戦の方向は大きく異なります。
前回は新しい価値を作る逆転劇、今回は失いたくない価値を守る逆転劇です。今夜は、一度は事業に同意した漁師たちがなぜ立ち上がり、補償金返還や市民運動を経て国の政策を動かすまでに至ったのか、その過程に注目すると見どころをつかみやすいでしょう。2週を続けて見ると、地域を支える挑戦の形の違いもより鮮明になります。

