脚本の見本

レトロゲームと最新ゲームの融合。オタクの成長が脚本のテーマ-映画ピクセル

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ゲームを題材にしたハリウッド映画「ピクセル」。レトロゲームキャラの姿を借りて地球侵略をたくらむエイリアンと、地球屈指のゲーマーが戦うアクション映画です。パックマンやドンキーコングなど、2018年現在で30代、40代以上の男性であれば、言わずと知れたモチーフを採用しているところが、唯一最大の「売り」だといえるでしょう。
記事では、映画ピクセルの脚本的なポイントを解説します。執筆の際の参考にしてください。

「オタクに指揮権を」

映画「ピクセル」が提示するテーマは、カースト最下層に位置するゲーマーが、世間から認められ、頼りにされ、世界を救うことにあります。そのため、虐げられていた現状から一気にレベルアップする瞬間が、映画の見どころです。そのシーンは序盤の最大の盛り上がりにあります。軍隊でも歯が立たないエイリアンに対し、専門スキルを活かして撃退するシーンがそれです。

空から侵略してくるドラゴン型のエイリアンに対し、軍隊が攻撃をするのですが、動きが不規則で当たりません。ゲーマーの主人公は、敵キャラの動きパターンを解析できるので攻略できます。しかし軍は、攻略可能だからと言って、カースト最下層のゲーマーに現場の主導権を握らせたくありません。

このシーンを効果的にするには、前振りが必要です。「ゲーマーはろくでなし」と観客に説明しなければならないので、主人公はしがない街の修理屋さんに落ち着いています。ヒロイン的なバツイチママと出会っても、虐げられて扱われます。また、友達のゲーマーは大統領に出世しましたが、支持率が最低という設定です。

しかし、侵略の現場において、背に腹は代えられない。切羽詰まった軍部は、「オタクに指揮権を」と主人公を認めます。その瞬間から主人公はエイリアン相手に無双を繰り広げ、一躍ヒーローとなるのです。

主人公のマインドの変化がクライマックス

映画ピクセルでは、レトロゲームと最新ゲームの比較もテーマの一つです。例えばレトロゲームの場合、ゲームパターンを解析して、攻略することが最大の楽しみ方です。対して最新ゲームの場合は、プレイヤーがゲームキャラになりきって、ゲーム内で自由に行動して楽しみます。レトロゲームは客観的であり、最新ゲームは主観的です。

主人公がレトロゲームを象徴し、最新ゲームはヒロインの息子が象徴しています。二人は世代を超えてゲーム好きという絆で結ばれ、それがクライマックスに向けてのきっかけにも使われているのです。
ラスボスのドンキーコングにさらわれたヒロインの息子を救うべく、主人公一行は立ち向かいます。この際、レトロゲームを攻略するかのごとくパターンを読もうとする主人公ですが、苦手なゲームソフトであるためうまくいきません。

ちなみに苦手なゲームとは「ドンキーコング」。一見単純なパターンのゲームに思えますが、過去にトラウマになるような体験をこのゲームでしているため、苦手という設定です。つまり技術的に攻略できないのではなく、精神的に乗り越えられない壁となっています。

主人公は、どうにかしてパターンを解読しようとしますが、うまくいきません。その時、ヒロインの息子の言葉を思い出してゲームに身を委ねます。最終的に主人公が進化するシーンだといえるでしょう。それまで物事を客観的に、ある意味では冷めて見ていた主人公が、初めて自分の人生をリアルに感じて主観的に行動する瞬間です。この行動によってラスボスを倒して、ヒロインとも結ばれエンディングとなります。
このように主人公のマインドの変化が、クライマックスの最大のテーマとして描かれているのです。苦手なゲームを攻略するという、目に見える達成感も効果に演出されています。

器を変えたハリウッドの典型

映画ピクセルの脚本構成は、ハリウッド映画の典型的なパターンです。そのため、参考にして自身の執筆時の参考にできます。パターンを真似ることは、悪いことではありません。そこにオリジナリティのエッセンスを加えることができれば、十分に評価されます。
映画ピクセルのオリジナリティは、レトロゲームと最新ゲームの融合です。古いものが、新しいものに感化され、昇華していく流れは今までにもありましたが、ゲームをテーマにした点が新しかったと思います。
脚本執筆の参考としてみてはいかがでしょうか。

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