脇役が輝くと主役も輝く-「超高速!参勤交代」脚本の魅力を解説

主人公が魅力的な映画は、高く評価されます。しかし単純に魅力的なポイントを羅列するだけでは、良い脚本とはいえません。効果的に表現するテクニックが必要です。その点、城戸賞を受賞した土橋章宏作さんの脚本・映画「超高速!参勤交代」の主人公は上手に描かれています。記事では、その脚本テクニックを解説します。魅力的な主人公を描きたい人は、参考にしてください。

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脇役目線のエピソードトークが大事

映画「超高速!参勤交代」の主人公は田舎藩の殿様です。民衆に寄り添った親身な治世をするため、民や家来から慕われた偉い殿様でした。そのことを映画で表現するときに、そのまま描いても面白くありません。たとえば殿様が街を歩き、民衆が「良い殿様じゃ」といってもだめです。なぜならそれは説明になってしまうから。映画では、説明を排除して、芝居として見せる必要があります。

テレビのバラエティ番組で、ゲストがエピソードトークをすることがあります。自分の身近な話題を面白おかしく話すアレです。視聴者はストーリーを楽しむと同時に、そのタレントの人となりや性格を知ることになり、魅力を垣間見ます。
映画の主人公の魅力もこのように伝えるのです。ただし自分で語る必要はありません。周囲の脇役を利用して伝えるようにすると効果が高まります。現実世界でも自分で自慢話をする人は鼻につきますが、周囲から回り回って聞かされた武勇伝は素直に聞けるものです。

殿様の優しさに触れた花魁は、自分の身が危険にさらされることも顧みず、追ってから匿います。金のために殿様を裏切った忍は、他人を疑ることを知らない無垢な殿様の心意気に感動します。家来衆の中でも浮いていた堅物の武士は、ただ一人評価してくれた殿様のために奮起します。
これらのエピソードは、花魁、忍、武士のエピソードとして描かれますが、全て殿様の魅力を伝えるためのものです。こうして外堀から埋めるように、徐々に主人公の魅力を観客に伝えていきます。

ポイントは現在進行系であることです。バラエティ番組のエピソードトークは、基本的に過去の話をタレントがトーク技術によって面白おかしく伝えています。しかし映画では現在進行系のものとして表現しなければなりません。

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単純明快な行動原理

脇役のエピソードトークで主人公の魅力が観客に浸透したら、やっと主人公自体が動き出します。満を持して、行動するのです。このとき大切なことは、その行動原理が単純明快であること。観客に「?」と思わせたら脚本の失敗です。

映画「超高速!参勤交代」の主人公は、前半の見せ場として、身分違いの花魁に愛を告白します。それまでのストーリーが伏線となり、殿様の性格や人となりを知った観客は、素直に受け入れることができるでしょう。
伏線がないままいきなり「好きだ!」といっても観客は「?」です。また伏線とずれた主張を主人公がしてしまっても、観客は「?」となるので気をつけてください。

この映画は時代劇なので、このようなストレートな表現がマッチすると思うかもしれません。しかしどのようなジャンルでも基本は同じです。脚本は「人間を描くもの」といわれています。現代劇でもSFでも、観客が感動するように描くという原則はゆるぎません。

主役と脇役のマッチングが脚本の鍵

「超高速!参勤交代」は登場人物が魅力的に書かれた脚本です。脇役が主人公を立てて、主人公もその勢いに乗って魅力的に描かれています。
ポイントは脇役がすべて輝いていることです。一人ひとりの脇役にもそれぞれ見せ場が用意されており、キャラクター全てに愛情が注がれています。「脇役が輝くと主役が輝く、主役が輝くと作品全体が輝く」という好循環を引き起こしていると言えるのです。

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