登場人物の設定とは? 基礎知識から作り方まで解説

この記事は 2023年10月24日 に更新されました。

登場人物の設定は、脚本執筆のベースとなる重要項目です。プロットや構成と同じく、脚本を書き出す前にあらかじめ決めておかなければなりません。

しかし、どこまで深く作り込むべきか、またどのように考えるべきか迷う方もいるでしょう。

記事では、登場人物の設定について、基礎知識から実際の作り方まで解説します。

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登場人物の設定とは

ストーリーは、登場人物を中心に進行します。主人公を中心として複数人が登場するのが一般的です。

彼らは、脚本家がストーリーを書きながら創造しているわけではありません。前もってどのような人物にするか、ある程度決めておくのです。それが登場人物の設定です。

登場人物の設定の作り込みは、脚本家によって異なります。細部まで決めてしまう作家がいる一方、あえて大雑把に決めておき流動的に変化させる作家も存在します。

どちらにしても、登場人物の設定を自分が納得できる形で決めておくことは重要です。

ストーリー展開に影響する

もし、登場人物の設定を固めずに脚本を執筆すると、キャラクターの軸がぶれてしまうリスクが高まります。発言や行動から一貫性が失われると、読者は共感できません。ストーリー展開の辻褄も合わなくなるでしょう。

このように、物語全体に不具合を及ぼすリスクを回避するためにも、登場人物の設定はよく吟味して事前に決めておく必要があるのです。

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キャラクターを理解するための資料

登場人物の設定は、基本は表に出しません。読者へ向けたものではなく、脚本家がそのキャラクターについて理解するための資料だからです。そのため、決まった形式や必ず含めなければいけない項目も存在しません。

脚本家の理解が深まるほど、キャラクターはリアリティーを帯びます。リアルなキャラクターは、作者の手を離れて独自の行動をするようになるでしょう。このようにストーリー全体のクオリティを向上させるキャラクターを生み出すためにも、登場人物の設定は必要です。

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登場人物の設定における重要な項目

実際に登場人物の設定を考える場合、初めての方はどこから手を付けるべきか迷うかもしれません。特に決まりはないのですが、重要だと言われている項目について解説します。

登場人物の設定項目1_
基本的情報

基本的なことですが、登場人物の名前や年齢などの設定は明らかにしておくべきです。以下はその一例です。

  • 名前
  • 性別
  • 年齢
  • 職業(立場)
  • 家族構成

これらの設定を作る場合、エピソードを絡める作り方がおすすめです。例えば職業を決める際、単なるサラリーマンや学生といった記号で考えるのではつまらないでしょう。

なぜその職種を選んだのか、進路を決める動機となる出来事はあったのか、学生であれば偏差値はどの程度か、共学か、男子校や女子校か、どのような生活態度だったか、異性の友人はいたかなどに思いを巡らせます。

先述したように、登場人物の設定を作る目的は作家自身がキャラクターに対して愛着を持つことです。そのため、本筋である物語に登場しないエピソードであっても思いつく限り書き出してください。

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登場人物の設定項目2_
行動原理に通じる内面情報

脚本の中心はキャラクターです。特にストーリーは、主人公の思想や行動によって進行します。そのため、主人公の行動原理に通じる内面情報は大切です。登場人物の設定を考える際は、この点についても固めておく必要があります。

  • いちばん大切なもの
  • 人生の目標
  • 最も優先する欲望
  • 最も拒絶すること
  • 最も怒りを感じるポイント

上記はほんの一部ですが、人間の喜怒哀楽を刺激するポイントはどこか、と考えると理解しやすいかもしれません。ここで定めた内面情報の設定が、ストーリ展開の方向も決めるため、慎重に決めてください。

また、このような内面情報は、主人公はもちろん二番手、三番手の主要キャラやライバル的存在の敵役にも設定しておくと良いでしょう。

登場人物の設定項目3_
アークの明確化

アークとは、登場人物(主に主人公)がストーリーを通して人間性や状況を変化させることです。登場人物の設定を考える際、アークまで明確に決めておくと、脚本の執筆が楽になります。

  • 物語冒頭の主人公の状態
  • 物語ラストの主人公の状態

大雑把に言えば、ストーリーの最初と最後の主人公の状態を、脚本を描き始める前の設定構築のタイミングで決めておくのです。スタート地点とゴール地点さえ決めてしまえば、大きく脱線することがありません。ストーリー全体に一貫性が生まれます。

それぞれの状態は複数の項目で構成されることが一般的です。例えば『桃太郎』の場合、冒頭の状態を表すキーワードとして、未熟な若者、鬼に支配される村、孤独な戦いなどが浮かびます。

一方、これらのキーワードがラストでは180度変化します。未熟な若者は立派な勇者に、鬼に支配される村は平和が戻った村に、孤独な戦いは3匹の仲間と勝ち得た勝利に変わるのです。

ひとつのテクニックとして、アークの最初と最後は正反対にするほどドラマティックな印象を与えます。登場人物の設定を作り込む際には、これらの点も踏まえてください。

登場人物の設定で気をつけるポイント

登場人物の設定を決める際は、あまり合理的になりすぎないように気をつけてください。合理的なキャラクターは、作者の都合で動かしている駒のような印象が強くなるからです。

合理性よりも優先すべきは欲望です。己の欲望に正直に行動する登場人物は、血肉の通ったキャラクターとして読者から好まれます。

ただし、どのような場面でもこのロジックが通用するわけではありません。例えば、欲望に忠実で直情的なキャラクターが多数登場する世界の中では、合理主義的な登場人物が際立ちます。

要するに、作品のタイプやタイミングによって魅力的に映るキャラクター設定は異なるのです。ご自身の作品タイプに合わせて際立つ登場人物の設定を作ってください。一方、描きたいキャラクターの人物設定から物語の世界観を逆説的に構築しても良いでしょう。

とはいえ、やはり最後に決め手となるのは原始的な欲望です。登場人物の設定を考える際には、欲望を吟味することはもちろん、なぜそのような思考に至ったのかエピソードまで考えると具体性を増します。

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まとめ

登場人物の設定は、本格的な執筆活動へ取り組む前の下準備です。きちんと必要な情報を作ることで、作品にリアリティーを生み出します。それは脚本家自身や読者をフィクションの世界へ引き込む一助となるはずです。記事で紹介したポイントを参考にしていただき、執筆に役立つ登場人物の設定を作ってください。

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