プロットとは? 基礎知識と書き方のコツ

この記事は 2023年10月24日 に更新されました。

プロットはシナリオを書き出す前の下準備。プロだっておろそかにしない大切な工程です。

プロットの書き方については、脚本家の間でも解釈が異なります。初心者には更に難解でしょう。

だからといって、プロットを省いて、いきなりシナリオを書き出すとかえって大変な思いをするかもしれません。

確かなことは、プロットの書き方をマスターすれば、シナリオもレベルアップするということです。

プロットの書き方に関する基礎知識と例をいくつか紹介します。

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プロットとは

プロットは、あらゆる創作物の下書きのようなものです。映画、ドラマ、ラジオ、マンガ、小説など、各媒体ごとの書き方や形式が存在します。

ただし、ジャンルは違えど本質はかけ離れていないはず。以下では、映画やドラマ脚本のプロットを想定して解説します。

プロットはシナリオの設計図

シナリオは映画の設計図であり、プロットはシナリオの設計図です。そのため、プロットの書き方が理解できないと、シナリオ執筆もままなりません。

例えば、執筆中のシナリオに破綻があると気付きます。精緻に書き込まれたト書きやセリフを書き直すのは大変です。プロットを作り込んでおけば、シナリオを書き出す前に破綻に気づけます。

また、シナリオ執筆中の脚本家は、物語にのめり込みすぎて視野狭窄になりがち。定期的に俯瞰してストーリ ー のバランスを取ることも必要です。そのような場面では、ストーリーの全体像を見渡せるプロットが重宝します

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プロットの文章量

プロットの文章量は、一般的に400字詰め原稿用紙で10~30枚程度です。もちろんケースバイケースで異なります。

プロットの形式

プロットは文章形式で書きます。しかし、小説のようには書きません。抽象的な表現は避け、セリフや行動などを具体的に書きます。読者が映像をイメージしやすいようにイメージすることが大切です。

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プロットとシナリオの違い

プロットは、シナリオとフォーマットが異なります。シナリオは柱書き、ト書き、台詞という決まった形がありますが、プロットは文章です。

プロットという骨組みに肉付けをしていくことで筋骨隆々な肉体、すなわちシナリオが完成するイメージでしょうか。

また、プロットもシナリオ同様、映画製作者が読者です。プロデューサーなりがプロットに目を通し、行けると判断すればシナリオに書き起こします。

つまりプロットは、企画をGOしてシナリオ化するかどうかの判断材料として使われるのです。

プロットの読者は関係者

先述したとおり、プロットの読者は制作関係者です。主に、企画会議などの場面で読まれます。

プロットで選考する理由は、シナリオでは長すぎるから。制作するかどうか決まっていない企画に、書き手も読み手も無駄な労力をかけたくありません。

だから、シナリオより短いプロットで選考するのです。

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プロットには「狙い」が必須

プロットを書くライターをプロットライターと呼びます。彼らの目標は、プロットを通してシナリオ化、映画化にこぎつけることです。

読者に「シナリオに起こそう!」「映画化したい!」と思わせるには、狙いを明確にしなければなりません。

「プロットの売りは?」「俳優の見せ場は?」「撮影場所はどこ?」「映画のスケール感は?」など、プロットの狙いが伝われば、読者から同調してもらいやすいからです。

逆に狙いがぼんやりしたプロットでは、何がしたいかわからないと思われてしまいます。

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プロットを書く目的

プロットはどのタイミングで書くべきか。一般的には、テーマを決めて大まかなストーリーを作った後、つまりシナリオを書き出す前です。

一般的に、シナリオ制作は以下のように進みます。

  1. アイデアや思いつきからテーマを設定する
  2. テーマを起承転結に分けてストーリーを作る
  3. ストーリーに仕組みを加えてプロットにする
  4. プロットを更に細かくして構成を組む
  5. 構成を元にシナリオを完成させる

プロットは作業全体の中心、肝心要のパートです。ここをうまく書かないとシナリオを書くことすらできません。

例えば、単なる塊肉をドンッと目の前に置かれるだけでは買い手はつかないでしょう。「○○県産のA5ランクです」「きめ細かい肉質で触感が良い」などの魅力を明確にして、はじめて商品価値が生まれます。

ストーリーも同様です。そのままでは簡素すぎるため、魅力が伝わりにくい。ここが魅力ですよ、この見せ場を見てください、という売りを明確にする必要があります。つまりプロットは魅力の寄せ集めです。

プロットはシナリオ制作の可否を決定する判断材料の意味合いが強いですがそれだけではありません。脚本家自身が自分のアイデアの魅力を把握するためにも役立ちます。

プロットを作り込んでおけば、シナリオを書きすすめるうちに迷走しても、いつでも原点に立ち返ることができるのです。

プロットを書くコツ

プロットは、ストーリーとは異なります。ストーリーでは魅力を集約しますが、プロットは要所の魅力を余すところなく伝えなければなりません。

桃太郎のストーリーは「桃太郎が仲間を引き連れて鬼を退治しに行く話」です。プロットでは、更に詳しく個別の魅力を浮き彫りにします。犬猿雉を仲間に引き入れるシーンを例にしましょう。

  • 凶悪な鬼に打ち勝つには桃太郎一人では難しい
  • しかし鬼を恐れる人々は力を貸さない
  • そんな時、頼りになったのは犬猿雉という動物たち
  • 報酬はきび団子のみ

きび団子には、食べたものを強制的に従わせる麻薬のような効果があるかもしれません。しかし、それではドラマになりません。

たかがきび団子一つに命をかける理由。登場人物同士の間に友情や信頼といった感情がなければ成立しません。感情は論理的に通らないことを通す要素です。そこに葛藤が生じてドラマとなります。

  • 人間に襲われ命を失いかけた犬は、桃太郎を命の恩人として従う
  • 群れからはぐれた猿は、親切にしてくれた桃太郎を親のように慕う
  • キジはメスで、桃太郎に恋をする

プロットにはシナリオ化(映像化)した際に見せ場となるポイントを簡潔に書きます。ストーリーを具体的に展開して、見所やイメージを伝えるよう心がけることがコツです。

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プロットと構成

「プロット=構成」と言われることも少なくありません。確かに、プロットで組んだ構成は、シナリオ執筆時の指針となります。そのため念入りに作りましょう。

シークエンスとは

プロット(構成)は、シークエンスを組み合わせて作ります。

シークエンスとは、いくつかのシーンの集合体であり、プロットの最小単位です。つまり、シークエンスとは大まかな出来事を表します。

シークエンスの順番を入れ替えたり、変更したりして、プロットを組みます。

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シークエンスのつなげ方

シークエンスは、因果関係でつながります。「Aがあるから、Bがある」という図式が基本です。

  • 親がいるから、子供が生まれる
  • 雨が降るから、草木が育つ
  • 喧嘩をしたから、絆が深まる

シークエンスのつなぎ方によって、プロットの型が決まります。

タイプ1_直線型プロット

各シークエンスを「A→B→C」と順番につなげるプロットは、直線型のプロットです。

5W1Hで理路整然と書かれる新聞記事や、起承転結が明らかな童話や子供向けの作品に多く採用されます。

直線型プロットのメリットは、ストーリーラインが明快であること。反面、単純すぎて退屈するデメリットも生じます。

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タイプ2_紆余曲折型プロット

直線型プロットを組んだ後、「B→A→C」とシークエンスを入れ替えるプロットは、紆余曲折型のプロットです。

よりドラマティックな展開となり観客の興味をひきつけます。

一方、複雑にしすぎると、ストーリーラインが脇道に逸れて主題が伝わりにくくなるデメリットも生じるでしょう。

映画やドラマの大多数が、このタイプに属します。

タイプ3_オムニバスタイプ型プロット

「A、B、C」と各シークエンスがそれぞれ独立しているプロットは、オムニバスタイプ型のプロットです。

各シークエンスを結びつけるために、狂言回しを用いることがあります。

オムニバス型プロットは、読者や観客の感情移入が削がやすい難点があります。しかし、シークエンスが切り替わるごとに目新しい興味を引く点は魅力です。

まとめ

シナリオ執筆においてプロットが存在しないと不具合が起こりやすいでしょう。

脚本全体に対する大掛かりな修正をする場合に尋常ではない手間がかかることや、作品に対する俯瞰の目を持ちにくいことなどがそうです。

プロットの書き方を身につけると構成が上手になります。構成はシナリオの核心ともいえる重要なパーツです。核心が盤石になると作業効率もアップします。

また、関係者への企画プレゼンにプロットは必須です。プロのシナリオライターを目指すなら、アマチュアのうちからプロットの書き方をマスターしておくことをおすすめします。

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