主人公の作り方で悩まない!登場人物の履歴書の書き方

脚本を書く前には登場人物の設定を作ります。主人公はもちろん脇役まで魅力的に創らなければなりません。しかしゼロから登場人物の設定を書き出す作業は難しいものです。特に脚本の執筆経験が浅い初心者の場合、どこから手を付ければいいのか見当もつかないでしょう。
主人公の作り方で迷ったときには、人物の履歴書から書き始めることをおすすめします。履歴書を書くことで、魅力的な人物設定を簡単に作ることができるからです。記事では、登場人物の履歴書の作り方や得られるメリットについて解説します。

二面性を意識できる

主人公の二面性を意識することから履歴書作りは始まる

人は誰しも表の顔と裏の顔を持つもの。脚本に登場する主人公も、当然二面性を持っているべきです。ある一面だけを強調した人物像にすると画一的なステレオタイプとなってしまいます。現実に存在しない創造上のキャラクターだからこそ、作者は明確に主人公の二面性を把握しなければなりません。履歴書の作り方は簡単ですが丁寧に作る必要があります。

履歴書といっても、就職活動で使う履歴書用紙をそろえる必要はありません。一人の登場人物に対し、白紙のペラ紙を1枚だけ用意して下さい。真ん中に線を引き、左側に「客観」、右側に「主観」と書きます。作り方はこれだけでOKです。

客観の欄には、主人公の外見的な情報を書きます。具体的には、性別や年齢、職業、国籍、趣味、特技などです。例えばいじめのニュースがあったとき、インタビュアーに加害者の印象を話す第三者は「真面目でおとなしそうな人だった」と答えることがあります。客観的な情報とは、このような表層のことを指します。

一方、主観の欄にはその人物しか知り得ない情報を書きます。つまり心の中を書き出すのです。上記を例にすると、「社会に対する陰鬱とした劣等感」などと書くでしょう。何に喜びを感じ、何に怒り悲しむかは当人にしかわからないものです。ストーリーが進むにつれて徐々に明らかになる項目だともいえます。さらに主人公の主観は、作品のメインテーマにもなるでしょう。

主人公の履歴書の作り方のコツは客観と主観を対(つい)に考えることです。その組み合わせ次第でオリジナリティが生まれます。例えば「高校生(客観)x劣等感(主観)」では平凡なキャラクターですが、「総理大臣(客観)x劣等感(主観)」だと独創性のあるキャラクターが生まれる予感があります。

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ギャップ(落差)を作りやすい

裏の顔と表の顔はギャップがあるほど魅力的な人物設定となる

客観と主観が主人公に現実感を与え、その組み合わせ次第でオリジナリティが生まれます。しかしただ漫然と履歴書に要素を書き出すだけでは十分ではありません。より魅力的な主人公の作り方は、ギャップ(落差)を利用することです。履歴書に客観と主観の要素を書き出し視覚的にすることで、より衝撃的なギャップを考えやすくなるでしょう。百聞は一見にしかず、頭で考えるより効率的な作り方です。

現実でもギャップのある人物は魅力的に見えます。いつも厳しいクールな女性が優しく接してくれたり、チャラチャラした男が料理上手だったりすると思わず「おっ」と興味を抱きます。脚本に書く主人公のギャップを考える際には、人間が持つ深層部分にまで踏み込むのがコツです。ギャップが大きいほど魅力も膨らみ、主人公としての資格を持つようになります。

先の例にある「高校生(客観) × 劣等感(主観)」は、ありふれた人物設定の作り方だといえるでしょう。具体的な人物イメージは湧きますが、主人公としての魅力は薄いと言わざるを得ません。ところが「総理大臣(客観)×劣等感(主観)」にすると、途端に魅力が増します。国のトップまで上り詰めた人物が抱く劣等感とはどのようなものか? その劣等感が巻き起こすドラマは? 『英国王のスピーチ』という映画がありました。「王様(客観) × 吃音の悩み(主観)」というギャップある主人公の物語です。ギャップのある登場人物の作り方が功を奏した好例だといえます。

主人公は他の脇役に比べ、特に魅力的に創作しなければなりません。そのため客観と主観のギャップは不可欠です。履歴書を作成すると、キャラクターが持つ属性が一目瞭然で理解できます。客観と主観は対になっているので、どちらか一方を引き立てるために、もう一方を極端に振り切ることで、ギャップを生み出してください。作り方のコツは、作者であるあなた自身が日頃から感じている主義・主張を主観に書くこと。客観はその主観を最も引き立てる要素を連想すると良いでしょう。

変化のポイントがわかる

履歴書にある重要なポイントが変化するほど感動的になる

心変わりや気持ちの変化は誰にでも起こります。脚本に書かれた虚構の主人公であっても例外ではありません。表裏の二面性を設定してギャップを付与しても、その意見は180度変わるのです。むしろこの変化は歓迎すべきものでしょう。「急に」「ダイナミックに」主張が変化するほど視聴者の感動を呼び起こします。主人公の履歴書を作ることで、変化させるポイントを正確に射抜くことができるのです。

映画でも漫画でも小説でも、基本的には主人公が中心となって物語は進みます。核となるのは主人公の客観と主観です。その核は主人公がストーリーを生きることで変化します。極悪非道な犯罪者が愛に目覚めたり、ごく普通の会社員が芸術のために命を捨てたりするのです。これらは物語冒頭では片鱗もみえていません。ある瞬間(多くはクライマックス付近)にある出来事が起こり、急に180度変化するのです。変化させるポイントは履歴書に書いた要素の中から選びます。主観のなかで一番大きな割合の要素を変化させる作り方が一般的です。

履歴書を作っておかないと変化させるポイントを間違えてしまうかもしれません。ポイントを間違えると一貫性が失われます。ブラックがホワイトに変化するからこそ感動が生まれる脚本のなかで、四角形を三角形に変えても効果がないのです。これは無駄な作業となりいつまでたっても納得いく作品が書き上がらず、筆が止まります。何度もゼロから書き直す羽目になってしまうでしょう。

主人公の履歴書を作ったら物語の最後まで見通して、どのように変化するかを先に決めておきます。作者は主人公と一緒に物語を旅してはいけません。先にゴールを設定しておく必要があります。そうしなければ主人公はいつまでもフィニッシュできないのです。

人物設定が脚本の要

アマチュア脚本家の場合、書く内容に制限や成約はありません(脚本の書き方にはルールがあります。参考:知らないとマズイ!脚本の書き方7つのルール)。しかし自由であるがゆえに風呂敷を広げすぎて収拾がつかなくなるケースもあります。そうならないために登場人物の履歴書が必要なのです。履歴書は迷った作者が立ち返り「この人物ならこうするハズ」と軌道修正する羅針盤となります。そのため特に物語の中心となる主人公の履歴書は、真っ先に作成しておくと良いでしょう。

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