スーツで会社員が節税できる!特定支出控除の丸わかりポイント

会社員は、個人事業主などと違い、経費で節税することが難しいとされてきました。しかし2013年からその基準が拡大されて、普通のサラリーマンやOLでも経費で節税しやすくなったのです。それを「給与所得者の特定支出控除」といいます。記事では、会社員の特定支出控除について解説します。


 

会社員はスーツ代で節税できる

会社員にとってスーツは必需品の一つ。他にも資格を取得するための参考書代やスクール代など、それが仕事に直結して必要だと認められれば、経費として控除対象とすることができます。ただし、そのためには個人的に確定申告をすることが必要です。
これを特定支出控除と呼びます。会社員のような給与所得者を対象としており、仕事でかかった経費がある基準を超えた場合に、経費として処理され税金が控除される仕組みです。

特定支出控除は、2013年から該当する範囲の考え方が拡大され、会社員の多くが利用できるようになりました。

特定支出控除の金額

会社員が節税に利用できる特定支出控除ですが、その金額はいくらなのでしょう。実は控除金額は収入によって異なります。その考え方は2つです。

  • 年収が1500万円以下の人は、「給与所得控除金額を半分にした上での超過分」
  • 年収が1500万円超の人は、「給与所得控除金額の超過分」

上記を見ただけではイメージしづらいかもしれません。以下に実際の例で解説します。

例えば年収が1000万円の人の場合、給与所得控除金額は220万円です。「220万円を半分にした上での超過分」が給与所得控除額となるので、110万円を超えた金額分が特定支出控除額として認められるのです。極端に言えば120万円分のスーツを購入すれば「差額の10万円」が控除されることになります。

このように会社員が節税に利用できる特定支出控除とは、ある一定ラインを超えた場合に適用されるのです。

特定支出控除の対象となるもの

会社員が節税するためには、特定支出控除の対象となるものを把握しなければなりません。この際対象となるものを解説します。
まず、「通勤費用」が挙げられます。会社員が毎日の通勤で利用する電車やバス。これらの運賃も特定支出控除の対象となります。ただし、会社から通勤費用として全額支払われている場合は対象外です。いわゆる自腹の場合のみ対象となります。

「転居費用」も特定支出控除の対象となります。たとえば転勤によって引っ越しが余儀なくされる場合です。ただし通常必要とされる以上の費用は認められないので注意が必要です。
また単身赴任などで遠方勤務となった場合、自宅に帰るための「帰宅旅費」も認められることがあります。ただし、月4回までなどの規定が定められており、範囲を超えると適用されません。

「研究費用」や「資格取得費用」は仕事に必要な知識やスキルを身につけたり、資格を取得したりするためにかかった費用のことです。これも勤め先から補助が出ている場合などでは利用できません。

会社員がスーツなど仕事に関係あるものを購入した場合には「勤務必要経費」として、特定支出として認められることがあります。これは上限が65万円に定められているので注意が必要です。

特定支出控除は会社の認定が必要

会社員が節税するために有効な特定支出控除。その内容が適しているかどうかは、勤め先の認定が必要になります。原則、会社が認めたものでない限り、特定支出とは認められません。会社によって認定の基準が異なる場合があるので、事前に確認しておくことが大切です。

その際大切なことは、領収書やレシートを保管しておくこと。一般の個人事業主などにとって、経費を計上するために必要な「使途を明確にする証拠」を保管しておくことは常識です。会社員も同様に、領収書などを大切にとっておきましょう。

会社員が節税するためには確定申告が必須

特定支出控除を受けるためには、確定申告が必要です。会社が行う年末調整だけでは不十分なので気をつけてください。その際には、会社が発行した認定書や領収書などが必要となります。
確定申告はなれない人にとっては慣れない作業のため、面倒に感じるかもしれません。しかし、会社員が節税するためには避けては通れない道です。

特定支出控除は会社員の節税に効果的

会社員は、個人事業主などと違い経費で節税することができません。そのかわりに給与控除所得額などが設定されていたのですが、それに加えて特定支出控除も利用しやすくなりました。確定申告は少し面倒ですが、少しでも支払う税金を少なくしたいという人は、検討してはいかがでしょうか。

 

このテーマの関連記事はこちら