コルクの床材とは?エコな床材のメリット&デメリットを紹介

中古住宅を購入したり、住んでいる家が老朽化した時にリフォームを考える人が多いと思います。特に床のリフォームは、部屋の印象がガラリと変わる大規模なリフォームとなるので、慎重な検討が必要になるでしょう。

床材といえばフローリングが一般的で人気もありますが、硬い質感が苦手な人や、冷たい素材であることを嫌う人も少なくありません。

そんな時は、コルク床材を検討してはいかがでしょうか。
コルク床材には、フローリングにはないメリットがあります。もちろん、欠点もありますので、本記事ではどちらも平等に紹介していきます。

 

コルク床材とは

床材として使われるコルクは、コルク樫(ガシ)という樹木の皮を細かく粉砕したチップが元になっています。コルク樫(ガシ)の原産地域は、スペインやポルトガルといった地中海の沿岸地域です。日本で使われているコルク床材は、ポルトガルを主とした外国からの輸入に頼っています。

普通、原材料の木材を得ようとしたら、森林を伐採しなくてはなりません。

しかし、コルク樫(ガシ)の場合、必要なのは樹皮だけなので、樹皮を剥ぐだけで伐採はしません。しかも、剥いだ樹皮は数年立つと再生して、また剥ぐことができるので、繰り返し素材を得ることが出来るのです。

このことから、コルクは地球にやさしいエコな素材と言われています。

こうして取得したコルクの使い道として一番知られているのは、やはりワインのコルク栓でしょう。建築資材としては、本記事でご紹介する床材としてだけではなく、壁材や緩衝材としても使われています。

コルクの特徴とはなにか?

コルクという素材の一番の特徴は、なんと言っても、無数の気泡を含んでいるという点です。この気泡があるおかげで、様々なメリットを生み出しています。

コルク床材について、メリットと欠点をわかりやすく説明するために、以下ではフローリングと比較したいと思います。

コルク床材のメリット

衝撃を吸収する弾力性(柔軟性)

コルクには優れた弾力性があります。

弾力があるということは、適度な柔軟性があるということです。

この柔らかい質感は、歩く人の足に吸い付いて、つい裸足で歩きたい気持ちにさせてくれるでしょう。

天然のクッションと言われるコルク床材には、衝撃を吸収してくれる緩衝材としての役割もあります。子どもやお年寄りが、もし転倒してしまったとしても、その衝撃を吸収することで被害を最小限に留めることが出来るでしょう。

実際に介護施設や保育園など、お年寄りや小さなお子様が過ごす空間には、コルク床材が使われているケースが多いです。

熱をシャットアウトする断熱性(保温性)

コルク床材にふくまれている気泡は、空気の壁となって室内の熱を逃しません。

これは、空気には熱を通しにくい特性があることが関係しているのです。

高い断熱性をもつコルク床材の家では、冬場、家の中の暖かい空気が外に逃げないので、いつまでも温かい保温効果が期待できるでしょう。

ただ、コルク床材は発熱素材ではありませんので御注意下さい。

あくまでも、冬に暖かさを感じる理由は、フローリングのように「冷たくなりにくい」からです。

反対に、夏の場合でも外の熱に影響されず「熱くなりにくい」のが特徴です。

寒さも暑さも通さないコルク床材では、一年を通して爽やかに過ごすことが出来るでしょう。

防音効果が期待できる遮音性

子供の頃、糸電話で遊んだことがあります。

糸電話の仕組みは、糸という物体を伝って、喋る声(音)を伝えるというものでした。

つまり、音は、何かの物体を媒体にするとよく伝わるという性質があります。

逆にいえば、媒体がなければ伝わる音は小さくなるということになります。

コルク床材にも空気が含まれているので、フローリングと比べて遮音性が優れていると言えます。

滑りにくい摩擦力

フローリングは表面がつるつるしていますが、コルク床材はザラザラしています。

このザラザラが摩擦力となって、滑りにくくしているのです。

例えば、靴下を履いたままフローリングを歩くと滑りますが、コルク床であればグリップが効いて歩きやすい印象を覚えます。

室内犬を飼っている場合、フローリングの上で走り回る犬は、つるつると足が空回りしてしまいます。しかし、コルク床の場合はそうなりません。

犬は、常に滑ってしまう床で生活していると、骨関節に負荷がかかってしまうことがあるので気をつけてあげる必要があります。

キッチンに適した耐水性と耐火性

ワインの栓に使用されていることからもわかるように、コルクには耐水性が備わっています。また、燃えたとしても炭化・膨張するだけなので、延焼を防ぐ効果もあると言われています。

この特徴から、コルク床材は、油や水が飛び散ったり火を扱うキッチン周りに最適であり、お風呂の脱衣所なども適しているといえるでしょう。

ホコリの発生を抑える

毎日掃除をしても無くならないフローリングのホコリ。

ホコリには、アレルギーの原因となるダニやカビ、その他ウイルスや雑菌が含まれていることもあり、できれば触りたくありません。

ホコリが発生するメカニズムは、静電気がゴミや汚れなどを引き寄せるからだという説があります。

その点、コルク床材はフローリングに比べて表面がザラザラしているので、静電気を溜め込まず、ホコリが発生しにくくなるのです。

コルク床材のデメリット

ここまで、コルク床材のメリットについて紹介をしてきましたが、ここからは、反対に欠点についても説明していきます。

メリットで得られる恩恵と比較して判断材料として下さい。

柔らかいので傷付きやすい

コルク床材は弾力性があるというメリットがある反面、柔らかくて傷付きやすいというデメリットがあります。

フローリングなら硬くて傷が付かない衝撃でも、コルク床材の場合、予想以上に損傷することがあるのです。

小さな傷なら自分で補修することが出来るかもしれません。ネットの口コミでは、ドライヤーで熱風をかけるとなおったという声もあります。

しかし、大きな損傷となるとそうもいかないようです。大掛かりな改修作業となる危険性があります。

予防策としては、コルク床材の上では荷物を引きずらないように気をつけるしかありません。フローリングと同じ感覚でソファーや机を引きずると、思いもよらない傷がついてしまう恐れがあります。

太陽の光で変色しやすい

コルク床材には、紫外線に弱いという性質があります。

窓から差し込む太陽光によって、変色(退色)してしまう恐れがあります。

このような経年劣化を予防するには、日頃から遮光カーテンで日光を遮るなどの対策を怠らないようにしましょう。

また、退色とは色が薄くなることなので、最初から薄い色味のコルク床材を選ぶと色の変化が気にならないかもしれません。

コルク床材にはどんな種類があるか?

コルク床材にはいくつかの種類があります。

使用する場所や用途に応じて最適なコルク床材を選ぶ必要があります。

コルクタイル

コルク床材として1番オーソドックスなタイプです。基本的に正方形の床材を並べて、接着剤を貼り付けて施工します。

コルクタイルの特徴

オーソドックスな形の床材なので、豊富なラインナップの中から種類を選ぶことが出来ます。

また、施工業者はもちろん、素人が個人的にDIYで使う際にも選ばれやすいです。

コルクタイルは施工しやすいですが、特殊な間取りや使用用途には適さない場合もあるのでご注意ください。

コルクフローリング

コルクフローリングとは、フローリング板のように、長方形に型どったタイプのコルク床材です。

基本は接着剤で貼り付けますが、はめ込むだけで施工できるタイプの床材もあります。

コルクフローリングの特徴

フローリングのデザインを踏襲してコルク床材を採用することが出来ます。

例えば、建物全体がフローリングに統一されている中、一部だけコルク床材にリフォームしようとした場合、デザインを統一するためにフローリングタイプのコルク床材を選択するケースがあります。

コルクシート

コルクシートは、薄手のコルク材です。

床に限らず壁にも使用することが出来ます。

コルクシートの特徴

コルクシートは薄いために加工がしやすい点が1番の特徴です。アイデア次第であらゆる用途に使うことが出来ます。

コルク床材の価格はいくら?

コルク床にかかる費用は、材料費のほか、業者に施工を依頼する際の費用がかかります。

相場としては、1平方メートルで1万円程度とお考えください。

コルク床材は、その知名度の低さから、まだマーケットが小さいため、充分な知識と技術を持って施工できる業者が少ないのが現状です。

そのため、かかる費用はフローリングやクッションマットを施工する場合と比べて割高な印象があります。

例えば6畳の部屋をコルク床にリフォームしようとした場合は10万円程度かかります。

この想定価格は通常の場合ですので、特徴的な間取りだったり材質にこだわったりすると、費用は膨らむでしょう。

出来るだけ費用を抑えたい場合には、自分でDIYすることも出来るのでご検討ください。

コルク床材は、ネット通販などで手軽に購入することが可能です。安いコルク床材の場合だと1枚(300mmx300mm)で数百円程度の商品も存在します。

コルク床のDIYの方法とは?

先述したように、DIYすることでコルク床にリフォームすることが可能です。

DIYは全て自己責任で行う必要があります。家は大切な財産なので、間違えて傷付けてしまうことがないように充分お気をつけ下さい。不安が残るようでしたら専門業者に相談することをオススメします。また、賃貸物件の場合は管理者に確認することを忘れないでください。

それでは、実際にコルク床材を敷き詰める手順をお伝えします。大まかな説明になりますが参考にしてください。

コルク床材を調達する

コルク床材は、ホームセンターやインターネットショップで手に入れることができます。タイプは施工のしやすいタイル型がおすすめです。部屋の面積から計算して、必要な枚数を揃えましょう。

DIY向けのコルクタイルの中には、専用の接着剤で張り付けるタイプと、置くだけのタイプがあります。DIY自体に慣れていない方は置くだけタイプがオススメです。

下処理をする

まず最初にすることは、床の下処理です。

現在カーペットなどが敷いてある場合は綺麗にはがす必要があります。

この時、接着剤の後もへらなどで丁寧にはがしてください。

シミュレーションする

実際に、コルクタイルの並べ方をシミュレーションします。

コルクタイルは中心から壁側に向かって一枚ずつ並べていくことになります。

最終的の部屋の両端の余り部分が均等になるように調整します。

専用接着剤で張り付ける

コルクタイルは専用の接着剤が必要なので購入しておいてください。

また、接着剤は床に塗りつつ、コルクタイル自体にも塗って貼り付けます。

一枚ずつ丁寧に張り付けたら、接着剤が乾くまで待って完成です。

コルク床材のお手入れ方法は?

コルク床は適切なお手入れをすることで長期間キレイに保つことが出来ます。

手入れには、コルク床専用のワックスやクリーナーが必要です。

ワックスを使用する頻度は、数ヶ月から半年に1度を目安に行ってください。

定期的な手入れをすることで、コルクタイル自体に汚れが付きにくくなり、毎日の掃除も楽になります。

日常の掃除に関しては、普通に掃除機をかけたり、雑巾がけをしても問題ありません。

ただ、コルク床材の耐水性は優れているのですが、基本は木材なので、水滴をこぼしたまま放置するとシミになってしまうので、ご注意ください。

住む人を優しく包み込むコルク床材

コルク床材は、原材料のコルクが何度も再生可能な天然素材であることや、空気をたくさん取り込む性質を持っていることから、使う人にやさしさと温もりを与えてくれる床材だといえます。

実際に、コルク床材の上を裸足で歩くと、一歩一歩がしっかり床をつかむので歩きやすく、転倒の恐れが少ないことを実感できます。

自らの足で触れることで、理屈ではなく安心感を得ることができるのです。

これは、フローリングの床では得られなかった体験です。

現在、主流の床材といえばフローリングですが、エコロジーや地球環境への関心が高まるとともに、コルク床材への関心も広がっていくでしょう。家のリフォームや建築をお考えでコルク床材に興味がある方は、メーカーや工務店に一度ご相談されてはいかがでしょうか。

その際には、コルク床材を扱うことに十分な実績がある企業を選ぶようにしてください。コルク床材を扱う施工業者はまだ少ないので、きちんと情報収集をしてから行動に移すと良いでしょう。

人は年齢を重ねると運動能力も落ちます。そのため、若いうちからコルク床材のような安全性の高いを取り入れておき、安全な老後を迎える準備をしておくことも良いでしょう

あなたの住宅で、末永くコルク床材を使ったリフォームが成功することを願っています。